第84話
僕がマシューさんにお礼を伝えると空間移動をしてアメールギルドの前に移動する。
ギルドの中に入ると珍しくランバートさんが受付にいた。
「ランバートさんお久しぶりです」
「リオン?え、全員揃って入るのか?」
「はい。どうかしましたか?」
「リオン。リーンハルとルーニーにもちゃんと説明済み何だな?」
「何処までの事を言っているかはわかりませんが今回の事は説明してます。その上でここに来ました。流石に拠点はハマイルさんに迷惑がかかりますから」
「ふ~」
ランバートさんがうつ向いてしまった。
「確かにハマイルは戦闘向きじゃ無いからな。今お前が頼れるのはここしか無いか」
「リオン。どの位ここにいる?」
「予定は決まってません。これからタイナーに会う予定です」
「リオン。ここに泊まるのに条件がある。この人の護衛をお願いしたい」
ランバートさんがそう言うとサンリューチュさんが若い女性の兵士を連れてきた。
僕がその兵士を見て驚いていると「リオン、部屋に入って話そう」
そうランバートさんから提案を受ける。
応接室には入るランバートさんとヒューズ ホォン ビルルマが向かいに座り。
僕とカーリが椅子に座りアルネ、リーンハル、ルーニーは椅子の後ろに立って入る。
「ヒューズ ホォン ビルルマ様お久しぶりです。
その様子を見るに、良く生き残っていらっしゃいました。私はライズ辺境伯の元にいると思っておりましたが何故このような所にお一人で?」
「リオン、この人はどういう人?」カーリが訝しげに聞いてくる。
「ヒューズ様、僕が説明しても?」
「はい。構いません」ヒューズが力強く言う。何処か覚悟を決めた人の強さを感じる。
「ヒューズ ホォン ビルルマ様は現宰相の孫で、お父様のサリンジャー ホォン ビルルマ様とロンリーヌ地方にお住まいの方です」
「ただ、マルイル ホォン ビルルマ宰相殿下とサリンジャー ホォン ビルルマ様はお互いの考え方が合わず対立なさっています。恐らくヒューズ様はその対立に巻き込まれたと考えられます」
「やはりリオン様は耳が早い。既に色々な情報もお持ちのようですね。本日ラピスに現れたガレシオン公国の騎士達は父の命令で私をとらえに来たのです。
私は父の暴挙に絶え切れず先々月よりタイナー陛下の元、首都ラアドに避難しておました。私が首都ラアドにいることがわかると。父がガレシオン公国の騎士を国内に招き入れた次第です」
「ちょっと良い、何で他国の騎士を使うの?自分達の私兵は使わないの?」カーリか口を挟む。
「えっと~、貴女は」ヒューズが僕を見る。
「この子はカーリ、僕のパーティーメンバーです」
「貴女がカーリさん。では後ろのダークエルフの方がアルネさんですか?」
「はい」「は、はい」カーリとアルネが少し混乱したような返事をする。
「私ったらはしたない」そう言いつつもヒューズが尊敬の眼差しを向ける。
「アルム公爵とのAランクの試験は私もお伺いいたしました。1度お二人にお会いしたいと思っておりました。
お二人は何故そのようにお美しく有るのに、その様にお強いのでしょう?
我々子息令嬢にとってリオンさんを始め貴女達は憧れのまとでございます」
ヒューズが熱く自らの思いを語る。そしてこの国においてアルム公爵に対抗出来る唯一の存在として僕達は見られていると説明を受けた。
「ヒューズさん落ち着いてくれるか?カーリの質問にまずは答えよう」
ランバートさんがヒューズをたしなめる。
ヒューズがランバートさんに謝り姿勢を正す。
「我が父は名ばかりの貴族です。お祖父様のマルイルが父の考えに共感出来ず、私財等全て没収した上で旧ロンリーヌ公国の領地を父に与えました。
父に一から領地をまとめ、領地を繁栄させ、民の暮らしを豊かにしろ。それが出来たら辺境伯の爵位とビルルマの領地を譲ると言ったのです。
国は民あってのもの、それがお祖父様の口癖です。
約2年前に私財を没収された父は働きもせず大声を出し領地を搾取し始めました。その結果、父に従う者は少なく私兵を持つ等できぬ程、領民に嫌われております。
そこに目を付け、父を取り込もうと計らって入るのがガレシオン公国です。父は何事も父の考えを尊重するガレシオン公国に傾倒していき、勝手に私とガレシオン公国、第二王子の婚約を決めました。それまでは良かったのです。
現在、ロンリーヌはガレシオン公国の貴族達の屋敷が立ち並びガレシオン公国の一部のようになってしまっております。
私はその現状が嫌で首都アラドに来ました。その後は皆様の知っての通りです」
ヒューズは自らの思いも全て吐き出し少しスッキリとした顔になる。
「ランバートさん、護衛の話を受けたいと思います」
「ルーニー、リーンハル。君達がヒューズ様の護衛をする事。何か問題なんか有れば何でも相談するように」
「はい」「わかりました」
ルーニーとリーンハルがしっかりとした声で返事をする。
「リオン、この2人でいいのか?」ランバートさんが不安そうに聞いてくる。
「問題有りません。この2人はアルム並みに強いです。それとヒューズ様とも年が近いですから気を使わずにすむでしょう。アルネとカーリはこことハマイルさんの事をお願いするつもりです」
「リーンハルさんとルーニーさんですね。ヒューズ ホォン ビルルマです。これからよろしくお願いします」
「「よろしくお願いします」」
「さて、みんな宿の部屋に行って荷物をおろして来るよ、その後は各々ゆっくり羽を伸ばしてね。
僕はタイナーに会って来る。夜にまた、話会おう」
「リオンさん、少しギルドの依頼こなして問題無いですか?」ルーニーが聞いて来た。
「ヒューズ様はどうですか? ヒューズ様がよろしければ問題無いです」
「私も少し戦い方を学びました。ご一緒したいです」ヒューズが目を光らせ答える。
「ルーニー、ギルドの近くでね。100mも離れないように」
「わかりました」ルーニーが嬉しいそうに答える。
「アルネ、カーリ。僕が首都に入る間、頼んだよ」
「任せない。私もカーリも強いから」
「そうだよ。少しお姉さんのところにでも行ってゆっくりしてきなさい」
2人そう背中を押される。
ギルドを出るとサンリューチュさんから声をかけられる。
「リオンさん。無理は禁物よ。ここは貴方の家何だから何時でも頼っていいのよ」
「はい、有り難うございます」
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