第99話

「アルネ、マルイル宰相達とロンリーヌまで戻ってもらえるか?まだ姉さん達もいるし」


「リオンは?」


「僕はこの城に残るよ」


「わかった」アルネが明るく返事を返して来た。

アルネがマルイル宰相と兵士三人を連れて空間移動をする。その1分後に1人で戻ると残りの4人カーリ、ルーニー、リーハル、ヒューズを連れて空間移動した。


「リオンと申したか?そなたの仲間が使ったのは空間移動魔法か?」

メシアル国王が聞いて来た。


「そうですが、そんなに珍しいですか?」


「珍しいの、ワシは久しく見ていない。そなたの仲間は凄い者が多いの」



そう言うとメシアル国王が戻って行った。その後部屋にメイド服を来た侍従が来た。


「リオン様、私は本日リオン様のお世話を仰せつかりました、カンナと申します。よろしくお願いします」


「カンナね、よろしく。今日僕が泊まる部屋は有るか?」短く挨拶をすると部屋について訪ねる。


「ハイ、準備出来ております」


「悪いがその部屋はキャンセルしてくれ。代わりに謁見の間を使わせてもらう。謁見の間まで案内してくれ」


「わ、わかりました」カンナが首をかしげながら謁見の間まで案内した。


謁見の間は以外に広く、外にもベランダが付いていた。

「あの、リオン様こちらでどうされるのですか?」


「今日はここに泊まる。カンナはこの後の予定は有るか?」


「私は何も。リオン様の側に要るよう承っただけすので、特に予定もありません」


「なら、昼飯にでもしようか?

ベランダもあるし解放的な気分で飯でも食べよう。僕は子供の頃に1度だけガレシオン公国に来たことが有る。其のときは海に行った。でも小さ過ぎてその頃の記憶がないけど。


カンナは海に行った事は有るか?」


カンナが嬉しそうに「私は海に近い地方の出身です。海に来ていただいた何て嬉しく思います」


ベランダに出るとブロックソイルを唱え簡易の台所を作る。


「リオン様?リオン様は料理もやられるのですか?」カンナが驚き聞いて来た。


「そうだけど、何か変かな?」


「ガレシオン公国では兵士は食事の準備はしないと聞いておりました。オーヂエン国は違うのですね」


「演習でも自炊する訓練を受けます。食べれるモンスター、動物、植物等うるさくしつけられますよ。国王のタイナー殿下ですら必要が有れば自ら食材を探し、調理をする。殿下ができて、僕が出来ない何て恥ずかしいでしょう」


「驚きました。そんな長期の遠征を行う何て。それだからオーヂエン国の兵士の皆さんはタフなのですね。こんな長く遠征されてもまだまだ余裕が有る何て凄いです」


そんな話しのなか、ミートフロックの肉を取りだし調理を始める、といってもリーンハルに前もって準備してもらったお出かけセットの中からミートフロックの肉、サラダ、パン、温めるだけのスープを取り出して準備るする。

サラダ、肉料理、パン、簡易スープを出してカンナに食べさせる。


「こんな大量の料理をこんな短時間で作る何て、リオン様は料理人泣かせですね」


「野営中はもっと簡素だよ、これはカンナの為に豪勢にしてみた。今日は嫌な役回り受けてもらい感謝します。

カンナは下級貴族の子だと勝手に思った。王宮に攻めて来た者の世話をしろなど、死んでこいと言われるのと変わらないでしょう。

だから少しでも、感謝を伝えたいと思った僕の気持ちです」


「良くお分かりですね。私は海の近くに領地を持つ下級貴族の3女です


上の方から言われたら断れ無いのが貴族です。この命に変えても使命は全うしないと我が一族に希望はありません」


「固く考え無くても良いですよ。僕はカンナと敵対する気持ちは今は有りません。その手マメや歩く仕草を見るとカンナは騎士でしょう? それもかなりやり手だと思います。腕の立つ者を側において隙が有れば殺せ。それがカンナが受けた命令。違う?」


「呆れました。そこまでわかっていて、私にお礼の為この食事を準備されたのですか?」


「もちろん、でも半分は1人で食事してもつまらないでしょ。

この肉料理はミートフロックを使った料理だ、ここに来る途中で見つけてね、食べた事はある?」


「いえ、初めてです」


「そう、まあそうだよね。普通は王や側近、高級旅館等でないと出て来ないからね」


カンナがドキドキしながらお肉を食べる。

顔を上向かせ、頬を赤くして足をバタバタとさせて喜んでいた。

「は、すみません。はしたない事をしました」足をバタつかせた事に恥じらいを感じたのか謝って来た。

「私、このようなお肉食べた事が有りません。リオン様有り難うございます」


「まだ沢山ある。お代わりも出きるし、良ければ夜もこの肉を使った料理を準備しますよ」

カンナの顔が期待と歓喜に満ちた顔をしている。

「お代わり下さい」恥ずかしそうにお皿を出して来た。


食事の後、カンナが王宮の中を案内してくれる事になった。よっぽどミートフロックが気に入ったようだ。


王宮の中は驚く程高級な装飾が施され見る者を圧倒させる。何処にこれ程の財力が有るのか不思議に思う。


王宮の庭に出てきた。この庭も珍しい植物が植えられ見るものの目を楽しませている。見た目が堅牢な要塞に見えるこの王宮が中から見ると全く違う姿を見せる。これ程であれば観光名所としての価値も有るだろう。


王宮を見渡し気付いたが生活スペースがこの王宮には存在しない。籠城することも、会食することも出来ない造りになっている。


「カンナ、普段この王宮で働く人は何処に住んでいるの?」


「住まいですか? 通常王家の方達はこの後ろに有る屋敷にいます。あの建物です。外の方達は囲いのように建てられた各々の屋敷で凄します」


「そう、僕達も伯爵の屋敷を抜けて来たけどみんな何処かの屋敷を抜けてここに入るのかい?」


「いいえ、あちらの窪地が見えますか、あれはトンネルと言って地下に道を作りそこの中を通って王宮に出入りします。興味が有れば案内状しますよ」


「お願いしても良い?」


「はい、おまかせください」


僕達がトンネルの所に来ると中から怒鳴り声が聞こえて来た。

「何故通れない、この方は辺境伯の執事長をされているマリクス様です。私は辺境都市でキルド副マスターをしている、レモン アルバニアだ。至急の用があり、こちらに来た通して欲しい」

入口を警備している兵士がどうしても本日は入れないと言って止めていた。


「カンナ、あの2人は僕の知り合いだ通してもらえるよう頼んでもいいか?」


「わかりました。なら私が参りますマリクス様とレモン様のお二人ですね」


「お前達、そのお二人を通せ」カンナが兵士に向かい指示を出した。


護衛の兵士がカンナを見て驚きながら確認をした。

「か、カンナ師団長?師団長が何故そのような格好を?」兵士がカンナのメイド服姿に驚きを覚えていた。


「私の格好は良い、それよりもそのお二人を通せ。私が迎えに来たのだ」


「はい」カンナの声に驚き兵士が2人を通した。


マリクスとレモンがトンネルを抜け出てきた。僕が挨拶をする。


「マルイル宰相の護衛を勤めております、リオンと申します。よくぞいらっしゃいました」


マリクスとレモンが驚いた顔で僕を見る。

「立ち話も何ですから中に入りませんか?」


「ご案内します」そう言うとカンナが言って王宮内に入り、謁見の間まで来る。

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