祝 第100話

王宮の中に入り、謁見の間にくる。


「マルイル宰相は、現在ロンリーヌに戻っております。代わりに僕がお話を伺います」


マリクスとレモン副マスターの話しを聞くとオーヂエン国に移民を訴える陳情が殺到していると言う事だった。


僕からマルイル宰相、国王 タイナー殿下に直接伝える事を説明。


僕が冒険者のクラン、勇者の盾について聞くと結構な数が流れているらしい。


元々僕達と対峙して、逃げたした多くの冒険者が勇者の盾のクランメンバー。様々なパーティーがクランに参加しているようで全ては把握出来ないらしい。


移民の陳情に対し僕が指定したことは、勇者の盾に加入が有る、昔加入していた者は入国禁止。親族が加入している。以前加入していた者も入国禁止。


勇者の盾と付き合いの有る冒険者、商人、貴族、移民希望の領民についても入国は禁止。いかなる理由があって入国後に関係性がわかった者は皆死刑にする。


これが最低条件と説明。その他についてはマルイル宰相、陛下から追って連絡が入ると伝えた。


雑談として、ここに来るまでの兵士の配置、トンネルの中の様子を聞いて別れた。


夜になると宮廷料理人が僕のところに来た夜の食事について希望があるか聞いてきた。


「料理については、自分の物は自分で準備します。僕の事は気にせずに」


「我々の事は信用できないと言う事ですか?」料理人が怒りをおさえ聞いてきた。


「僕は冒険者です。冒険者は元来疑り深い人種です、まして食は簡単に人の命を奪う事が出来る物です。敵地に入り敵地の料理人から食事の提供を受けるなんて自殺行為ですよ」


「わかりました」料理人が帰って行く。

少し時間を開け、貴族らしい男が入って来た。


「失礼します」


「ハイ」カンナが緊張気味に返事をした。帯刀してはいないが反射的に剣を持とうをする仕草を見せる。


恰幅の良い、凄みの有る男が入って来た。およそ名の有る武将と思う。この男が敵としていたらこんなに早くはこの場所に居なかった。そう思わされた。


「お兄様、何故こちらに?」


カンナがホッとした表情になる。


「リオン様、こちらは私の兄、トルネール ルッツでございます」


トルネールが平伏して挨拶をする。

「私はルッツ地方を納める男爵をしておりますトルネールと申します。妹がご迷惑をおかけしていなかと思い心配をしておりました」


「僕はリオン レース レインと言います。しがない冒険者をしております。今回はオーヂエン国の特使、宰相の護衛として参りました」


カンナが驚き「リオン様って、本当に冒険者なのですか?国王陛下とも仲がよろしくこのような大役を仰せつかった方なのに?」


「カンナ、リオン様がお困りだぞ。」トルネールがなだめる。

「リオン様はあの戦慄のアルム殿の弟君だ、オーヂエン国の公爵様のご家族だ。カンナ、くれぐれも失礼の無いようにな」


「は、はい!」カンナが緊張して敬礼した。


思わず素が出たのだろう。メイド服で足を肩幅まで開き胸を張り、威厳を漂わせた敬礼をしている。


思わず笑ってしまった。

「ハハハハハハ」「カンナ、今まで通りにしてもらえるか? メイド服を着た兵士も面白いが、今までのカンナの方が接しやすい」


「は、はい」カンナが顔を赤くしてはうつむく。


「トルネールさんは兵士ですね、それも凄腕の」僕が確認をする。


「はい、お兄様は海兵です。ルッツ地方は三方を海に囲まれた土地で、私兵の多くが海兵です。」カンナが代わり答えてしまい、トルネールは少し困った顔をしていた。


「そうでしたか。オーヂエンには海がありません。1度海に行ってみたいと思っていました」


「何時でもお待ちしております」トルネールがニコニコと笑いながらに言う。


「それで、トルネールさんは今日は何をしに要らしたのでしょう?」


トルネールの顔に緊張が走る。

「この度のロンリーヌ進行に反対した、貴族や兵士たちはみな領地を没収され我が領地に集まっております。国の再興の時に兵士、貴族達を取り上げてもらいたく、陳情に参りました」


「反対された方の数は?」


「はい、全部で6万人を数えます」


あまりの出来事に驚きを覚えた。国の半分を捨ててロンリーヌに進行した、そう言う事か。

「反対側のリーダーは誰ですか?」


「はい、私とマリクス様です」


「マリクスの役職は?」


「宰相をしておりました」


「聞いても良いですか?貴方とマリクス宰相がこの国のを納める考えはなかったのですか?」


トルネールが顔をしかめる。

「私とマリクス宰相は国王。メシアル様に忠誠を誓いこの国の発展を目指して来ました。ですが皇子達は違いました。他国との海上貿易を始め、強い国とつながりを持った事で勘違いをしてしまいました。


我が国は強いと。


先程、魔族の国、ナーラ国より貿易停止の知らせがまいりました。どちらもオーヂエン国とは争うつもりは無いと語っておられたようです。


私達の考えは他国に攻め要るより、国の発展を願っております。田畑を増やし、産業を強くし、技術力を伸ばす事を目的としていました。

その結果、皇子達の反感を買いこのような結果となってしまいました」


「話しはわかりました。明日、タイナー殿下、マルイル宰相もいらっしゃいます。会談の前に貴方を会わせます。判断は陛下がなされる。それでも良いですか?」


「有り難うございます」


「所でトルネールさん、今日の予定は何かありますか?」


「いえ、このまま戻る予定ですが?」


「なら一緒に食事をしましょう」


「は、はい? 食事ですか?」


「ええ、カンナも一緒にお昼を食べました、トルネールさんもご一緒にどうですか?」


「そこまで仰るならご一緒させて頂きます」


ミートフロック、蜂蜜蟻、ミートミノを出し料理を始める。

トルネールさんが驚きの声をあげる。


「リオン様、貴方が自分で料理をなさるのですか?」


「そうです。僕のパーティーは皆料理をします。ただ普段は料理が得意なメンバーが中心でやってくれますが」


「いやいや、考えられません。こんな手際良く。


我々は料理専任の兵士が各班に1人配置しておりました」


カンナが自信ありげに話す。

「お兄様、この違いが、我が国の敗北の1つだと思われます。リオン様のお話だと、国王陛下も、野営等の時に、ご自身でお作りになるそうです」


「リオン様本当ですか?」トルネールが信じられないと言った顔をしている。


「ええ、陛下のお考えでもあります。夜の焚き火はどの位の距離から見えるか。竈の後からどの位の数と日数いたか等、参考になる事ばかりですよ」


トルネールが黙ってしまった。料理ができた頃、真剣な顔で僕の方を向く。

「リオン様、不躾なお願いではありますが、我が妹、カンナを嫁にもらっては頂けますか?」


「ゲボ ゲホ」カンナが驚き顔を赤く染めて立ち上がった。


「お待ち下さい。僕の妻は4人おります。こちらに来た時に動向していたパーティーのメンバーです。僕は現在の妻達が凄く大事です。これ以上増やすつもりはありません」


「そうでしたか。残念です。妹はこの通りがさつで、男勝りでやんちゃな奴です。ですがリオン様の前では乙女の顔をしておりました。・・・・」


「この国にも良い者は沢山おります。お兄様の眼鏡にかなわないだけです。それとカンナは1人の戦士です。私に同行しながらも常に僕の命を狙っています。

そんなカンナと一緒にいては僕が参ってしまいます」


「カンナ、もう国王からの命令は終わりだ。先程、国王自ら国王の座を辞退された。


正式にカンテール フィン ガレシオン様がつい先程をもって、国王に即位された。王位継承の立ち会いはオーヂエン国、タイナー殿下がなされた。


本日、この時間をもって全国民に発布されたよ」


「そうでしか。では私は師団長の座を退いてよろしいのですか?」


「そうだ」


カンナがこっちを向く。

「リオン様、私からも正式にお願いします。リオン様が奥様を大事にされている事はわかりました。

妻でなくても良いです。妾でも問題ありません。遊びに来るだけの女でも問題はありません。どうぞ私ともお付き合いをお願いします」


_____________________________________________________

まさか、第1部で100話になるとは。自分でも驚いております。


いつも応援して頂いている皆様のおかげです。

本当にありがとうございます。

もっと、楽しい、面白い。そう思って頂ける物を書けるように頑張ります。

ありがとうございます。(^ω^)

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