第53話

その頃、災害の渓谷ではラーネ ハバルが2人を質問責めにしていた。

「お二人はリオンさんと、どういう関係?」


ルーニーが答える

「私達は今、リオンさんの生徒になるかな」


「そう。生徒ね。と、所で、今はって言ってましてけど、どういう事ですか?」ラーネがさらに話を聞く。


カード ハバルが落ち着くようになだめる。


「今回、生徒を卒業することになりました。卒業後は私達もリオンさんのパーティーメンバーになります」


「教えて下さい。パーティーメンバーとはどういう関係ですか?」ラーネの質問が終わらない。

「パーティーメンバーは仲間になることを言います。私達はすぐに行動を共にするわけでは無いですが、必要な時に集まったり、何か有る場合にすぐ助け合う仲間と言った所です」


「すみません、リーンハル。ルーニー。私もリオンさん達のパーティーに入れて貰えないですか?」

「私はリオンさんに命を助けて貰いてました。なので何か御手伝いしたいと真剣に思っています」ラーネが意を決してお願いする。


「そうは言っても決めるの私達じゃ無いし、困ったね」リーンハルがルーニーを見て考えている。


「これ、お二人が困っているじゃ無いか。リーンハルにルーニーと言ったね。どうだろう娘のラーネと戦わないか。君たちが勝てばラーネが君たちの村まで送って行く。君たちが負けたら村に送くる代わりにリオン君に娘のパーティー入りを聞いてもらえるかな。


パーティーに入るのは当然リオン君の判断だ、良くても駄目でも問題はない。娘も直接リオン君に聞いた方がすっきりするだろう」カード ハバルがそう提案する。


「わかりました。私達としては送ってもらえると凄く助かります」

カード ハバルの提案ををリーンハルとルーニーが了承した。


「よし、では私が立ち会いをしよう」カード ハバルがドラゴンから人の姿になる。


ラーネも人の姿になって準備をする。

最初はリーンハルが対戦する、リーンハルがマントを外す、ハンキーさんからもらった防具を着けていた。全身に魔力を纏い構える。


カード ハバルが驚き声を上げる。

「驚いたね。アルム以外に魔闘気を纏える人が要るとは知らなかった」


「魔闘気って何ですか?」ルーニーが初めて聞いた言葉に反応する。


「魔闘気は魔力とオーラを全身に纏う技術の事だよ。さらに上級者になると属性魔法を全身に纏い戦う事が出来る。リーンハルと言ったね、あの子。凄い努力だ、これは簡単に取得出来るものでは無いよ」カード ハバルが感心して言う。


ラーネが仕掛ける。リーンハルに対し突きの連打を放つ。リーンハルは動かず受けるがラーネの攻撃は効いてはいないようでラーネの様子を伺っている。

ラーネが一旦距離を取ったタイミングでラーネに近づき掌ていを打つ。ラーネが倒れて試合が終わった。


ルーニーが近づきラーネにヒールをかける。ラーネが起き上がると信じられないと言った顔で自分の手を見ている。


「ラーネってもう少し実戦練習をした方がいいと思うよ。まだ相手の動きについていけてないから、慣れるともっと強くなる気がする」横で見ていたルーニーが指摘する。


「そうそう。私達3日間の時間が有るから何回でも練習しよう、落ち着いたらルーニーと対戦ね。色んな戦い方に慣れた方がいいよ」


カード ハバルが「良ければ二人の対戦を見せてもらえるか?ラーネは二人のスピードについて行けていない。まずは二人のスピードを知る事が大切だと思う」


「どうする?」ルーニーが聞くと

「いつもの練習で良いんじゃない」


ルーニーは杖ではなくミスチル性の剣を持ち、リーンハルもミスチル性の剣を手にもつ。


2人が激しく打ち合う。どちらも相手の攻撃を避け傷を着けずにいる。

ルーニーとリーンハルの動きについて行けないラーネが目を丸くしながら戦いを見ていた。


およそ5分の練習をおえてラーネを見る。

「ごめん、私自信無くした。何であんなこと簡単に出来るの?私には理解が出来ない」

ラーネが悲しげな顔で言う。


「ちょっと待って。私もリーンハルも最初からできた訳じゃ無いよ。正直、私達だって、スライム倒すのに苦労したり、コボルトの群れで死にそうになっていた時にリオンさんにあって、ここまで強くしてもらったの。私達人族は最初から強い人はいない。だから諦めずに強くなるの。ラーネが強くなりたいと思うなら、私達は強力する、ここで諦めるなら強力は出来ない。ラーネはどうしたい」ルーニーの真剣な言葉にラーネが動く。


ラーネが悔し涙を流しながら言う。

「私にはわからない。ドラゴンの一族は生まれた時の強さが優先されるの。だから生まれてから強くなる。そういう考えがないの。ごめん少し考えさせて」


「分かった、私達3日目に帰る。ラーネが選んで、それに私達は合わせる。当然ラーネの考えを尊重するよ」


「私を嫌ったりしない?」ラーネがふせがちに聞く。


「なにバカな事言ってるの。私もルーニーもラーネの友達だよ。ラーネの決断は優先するし、嫌いになったりしないよ」


カード ハバルがリーンハルとルーニーに見て「リーンハル、ルーニー有り難う。ラーネは幼い頃から姫と呼ばれ親しい友がいなかった。親である私が言うのもはばかれるが、これからもラーネの友して接してくれるか?

出来ればラーネをしかってくれて共に笑ってくれて、共に歩んでくれる友を私はずっと探していた。これからも共に歩んでくれないか?」


「難しい事はわかりませんし、約束も出来ません。だって友達って契約ではなく心でつながっているものでしょう。だったらすでにラーネは私とリーンハルの友達です。それを否定する奴は私とリーンハルでぶちのめしてやります」


カード ハバルが笑いながらラーネを優しくかばう。常に仲間の上に立ち、友達もいなかったラーネに初めてだった友ができた。


「ふう、リオンまた、大きな借りができた。必ず受け取ってもらうぞ」カード ハバルが独りごちる。


ラーネがリーンハルとルーニーに抱きつき泣き崩れた。ひとしきり泣いた後のラーネは希望に燃えた顔をしていた。

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