114話

オルフィはオーヂエン国にいた時はテイマーとして有名だった。過去にミノタウロスを自力でテイムした経験も有る、何が出てくるか楽しみだ。それにレベルは40を越える強者だ。久しぶりに楽しめそうだ。


白狐を抜いて構える。オルフィは動かないのか黙っている。


オルフィのそばに行く。オルフィが苦しそうに呼吸をしている。


良く見ると脂汗を流し、カタカタと少し震えている。オルフィ殿下から距離を取と一旦オルフィ殿下の動向を確認、その上でダリアさんを呼ぶ。


「オルフィ殿下大丈夫か?たってるのすらきつそうだぞ?」「対戦して良いのか?」


ダリアさんがオルフィ殿下の前に立ち、少し話をする。そしてすぐに戦いの中止を宣言した。


国王がダリアさんの元に来るとすぐにオルフィ殿下の元に駆けつける。オルフィ殿下はタンカに乗せられて闘技場を後にする。


つまらなそうにする兵士達にダリアさんが声をかける。

「どうだお前達、我こそはと思う奴は出てこい。リオンさんに手ほどきをしてもらおう」


「俺が出る」1人の男が立ち上がった、男が出てくる。

「俺は、魔族の国との国境で兵士長をしている。あんたが強かろうと魔族よりは弱いだろう。俺と対戦しよう」


「わかった」そう伝えると白狐を鞘におさめ練習用の刀を出す。


兵士長はバトルアックスを出す。長く槍としても使えそうだ。


重いバトルアックスを軽々と振り回し迫ってくる。上から振り下ろされたバトルアックスを左手で受け止め刀で右側からお腹を叩く。


兵士長は悶絶しながら膝をついてしまう。

「それまで、医務室につれていけ」

ダリアさんの声が響いた。


他をさがすが誰も出てこない。ダリアさんが

閉会を宣言した。


仕方なくオルフィ殿下の私邸に戻るとオルフィ殿下が休んでいた。


「殿下、大丈夫ですか?」僕が声をかける。


「リオン、やっぱり化け物だな。アルムが言っていた以上だな。正直、リオンを前にした時、魔王と対峙した時と同じ恐怖を覚えた。確かドラゴン属の第3魔王、ガンスだったか。あの時と同じ恐怖を覚えたぞ。


所でリオン、嫁をとらんか?私やダリアでも良いが、もっと若いピチピチした者がよいだろう」


「私もまだまだピチピチしてます」ダリアさんが何かの抵抗をしている。


「申し訳ございません。僕には妻が4人おります。この4人以外には考えられません」

そう言ってお断りをする。


「なら、めかけでも大丈夫だぞ。そうだ、ダリアが嫌ならメルシャンかオリオンでもどうだろう?」


「もっと駄目です。僕は妻を裏切るつもりは有りません」


「リオン、固い事を申すな。妻のいぬ間の心の洗濯は大事だそ」


? どっかで聞いた言葉だ。


何とか2人をなだめ部屋に戻ると邸宅の屋根まで空間移動をする。


屋根でうたた寝しているとモンスターの魔力を感じて目覚める。


昨日会った牙ウルフだ、昨日別れた場所近くに空間移動をする。


≪リオン、来たか≫


牙ウルフが僕に気が付きしげみから出てくる。


「どうしたの?」


≪今日は寝床を案内しようと思ってな。仲間にも会ってくれ、懐かしい奴は余りいないけどな≫


「わかった、ありがとう。じゃあ、いこうか」

牙ウルフが走り出す。


僕も走ってついていきながら確認

「場所は遠いの?」


≪多少遠い≫


「なら急ごう。朝までに屋敷に帰らないと行けない」


牙ウルフについて走る。整備されていない道を走り続ける。


小一時間程走り洞窟につながる家を発見。そこが寝床らしい。


≪リオン、わしらに付いてくるなんて凄いな

ちなみにここが寝床だ≫


「オオーン」遠吠えをするとサンドキヤットが出てきた。僕が家にいた時にはいなかったモンスターだ。


牙ウルフについて家に入る。1人の女がいた。痩せ細り動けなくなっている。


「この人は?」


≪ベリスの女だ。目が見えなくてな。捨てられた≫


近づいて見るとすでに亡くなっている。


≪我々は人と接するとこが長かった。だからこの女も捨てれなくてな。あんなベリスでも、我々とは兄弟のように育った。


そのベリスの女だ、食う分けにもいかない、かといって捨てる事も出来ない。


人は死んだら埋めるだろう。リオン、人のやり方で葬ってくれ≫


僕が女に近付こうとするとサンドキヤットが女を守るように遮る。


「君の家族かい」


≪人の癖に言葉がわかるのか?≫


「この人を葬って欲しいと牙ウルフに言われた」


≪お節介な奴らだ。こいつはな俺の命の恩人だ。最後まで俺が守る≫


「それが希望か?」


≪そうだ。ウルフ達にもう、戻らなくても言いと伝えて欲しい≫


「なら入り口から全て塞ぐが言いかい?」


≪かまわん、俺もこいつが死んでから何も食べてない。俺も間も無くだろう≫


「わかった。ベリスの彼女か…」


牙ウルフを外に出す。部屋の入り口から全てロックソイル塞いでしまう。


「お前達はこれからどうする?」


≪気ままにくらす。我々は千里を走る牙ウルフだ旅が我らの喜びだよ。

リオン最後まで世話になった≫


「ああ、気を付けてな」


牙ウルフ達がいなくなる。改めて周りを見ると民家のような建物後がかなりある。夜が明けてから再捜索するか。


オルフィ殿下の屋敷に戻ると部屋の前にダリアさんがいた。見つかると面倒なので空間移動で部屋の中に入る。こっそりと部屋に鍵をかけ、窓を閉め、ドアが開かないように細工をしてから寝る。


翌日、部屋を出ると目に熊を二体も飼い慣らしたダリアさんがいた。

「ダリアさんおはようございます」

「リオン君? 部屋にいたの?何時帰ったの?リオン君?」


「ダリア!! 貴女は寝なさい」

オルフィ殿下の声が廊下に響く。


「ふぁい」そう言うと僕の部屋に入り布団に入って寝てしまった。


この人って?

行動はカーリににてるけど何か怖いな。


朝食を食べながらオルフィ殿下に今日戻ると伝える。ここに泊まっても良いけど、不安は拭えない。


朝食後、国王陛下に帰路の挨拶をする。相変わらず僕を見る目は様々だ。お城を出て人気の無い所に移動すると空間移動を行う。目的地は昨日の牙ウルフの寝床だ。


やはり、民家の跡だ、中を覗くとすでにモンスターに食べられたかつて人だった物の残骸だ。何件か周り中を見ると少し大きな屋敷を発見する。


中に入ると段幕がかかっていた。


勇者の盾だろう。盾の絵に剣が交差するように2本画かれていた。


良く見ると地下室がある。中に降りる。


スカルプとリーナだろう。服を来て、ミイラのようになっている。ベリスは全てをやり直したいと思ったのだろうか?

僕に、スカルプ、リーナまで替え玉を作り、その替え玉のスカルプとリーナが捕まり死刑判決を受けたそう言う事なのだろう。


不思議と涙も何も無い。


・・・・2人の指にお揃いの指輪がある。


どうも僕には割り切れ無いようだ。地下室を出ると声をかける。


「フル、力を貸せ」


≪わかった≫


「ファイアー」≪ファイアー≫


建物全てを焼き付くし灰になるまでその場で待つ。


その後歩いてオーヂエン国の国境まで来た。入国手続きに時間がかかり入国するのに4時間も時間を費やした。

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