第174話
「リオン」
元気を取り戻したエバーが急に抱きついてくる。
そして怒ったように文句を言う。
「リオン、私がいないうちに結婚したって本当?
どういう事? 昔は私と結婚するって言ってた癖に(怒)」
昔の記憶をさかのぼるがそんな事を言った記憶か無い。困っているとハーマンレディが助け船を出してくれる。
「姉さん。リオンが子供の時の話でしょう。困らせるのは止めなさい。
本当、姉さんって、リオンの事になるといつもおかしくなるわね」
「しょうがないでしょ」エバーが珍しくふてくされている。
◇◇◇◇◇◇
エバー ヤルトの視点
リオンが姉さん(ルカリオ サンム サーチ)の所から帰って来た時、完全に記憶を失ってしまっていた。そのリオンを助ける為にそれまで仲が悪かった2つのグループが一つにまとまった。
ギル マルスと私のグループ。ガンズとカード バハルが率いるグループだ。
お互いに争ってはリオンが救えない。そう思って強力するとこになった。
リオンが生まれた時、私達4人は生まれたばかりのリオンに頭を下げ忠誠を誓った。
それは本能だと思う、リオンは龍の王だ。
生まれながらに持つ絶対的な力。それを持った人だった。
出来ればドラゴン族から出て欲しかったけど、わがままは言えない。だから私達がリオンを守る事になった。
だか、あの事件が起きた。
先代の国王による、リオン暗殺事件。ドラゴン族や他の亜人族から、忠誠を集めるリオンの存在を恐怖した先代国王によって、スカルプが騙された、スカルプは知らず知らず姉さんの命を奪おうとした。
毒を盛り姉さんと、幼いリオンを殺そうとしたのだ。効き目の遅い遅効性の毒だ、その遅効性の為、誰もそれが毒と気付かずにいた。
その後、姉さんが自分の事をかえりみず必死にリオンを守り、ダンジョンに身を隠す。
その時、姉さんは禁呪を使い、自らの命をリオンに与え、リオンは生き長らえた。けど、自我を失った姉さんの体は、アンデトットドラゴンとなった、腐蝕した姉さんの体の中で暮らし、完全に人としての何年間を失った状態で、スカルプの父親であるアンバール達によって発見された。
リオンは、ドラゴンの言葉を話しドラゴンが使う魔法を使い姉さんとの暮らしを楽しんでいたらしい。
そこからリオンに人族の言葉を教え、暮らしを教え、やっと人との暮らしができるようになった時、スカルプが来て、リオンを連れて行った。
また、先代の国王にそそのかされてしまったのだ。親から継ぐことが許されない爵位を求めて、先代の国王の言いなりになった。
その後、リオンがたくましく育った姿が見れた。国王が代わり、兄のように国王を慕う。
一緒に狩りに出かけ、剣術の稽古をしている姿は我々に安らぎを与えてくれた。
そのリオンが今まさに龍の王として帰って来たのだ。我々が畏怖したあの強さをもって。この姿に興奮しない者はいないだろう。
私の役目はそんなリオンの子供をもうける事。種族に繋げて行くことだ。それが私の夢なのだ。
「姉さん。姉さん、なに?ぼーっとして顔を赤くしてるの?
もしかしてリオンの子供が欲しい何て思って無いよね? 姉さん、もうピチピチしてないんだから諦めなさい」
「そんなことは無いよ。私はまだまだピチピチだぁー」
エバー渾身の遠吠えが木霊する。
妹のハーマンレディが呆れている。
「姉さん、諦めな。私より300年も年が上なんだから。
それに見てご覧なさい。リオンの奥さん。みんな若くてピチピチして可愛いじゃない。
この若さであれだけの神聖魔法や剣術を持つ子何て珍しいわよ。
おばさん。ワクワクしてきちゃった。やっぱり、強い男には強い妻が似合うわ」
ハーマンレディが何故か嬉しそうに話す。
「どれどれ、貴女がアルネね。魔力が凄いわね、現在、エルフ族で、貴女に勝てる子はいなそうね。
貴女がカーリね。あら、メルニより貴女の方が強いんじゃない?
凄いわよ姉さん。リオンとこの子達だけで世界制服出来る位強いわよ。
私とアイルはアルメニア王国に有る隠れ里にいるの。貴女達がくるなら案内するわね。
でもリオンは駄目よ、うちの若い子達がみんな、ついて行きそうだもの」
僕が前田 流言から聞いた事を確認する。
「ハーマンレディ、聞いても言いかい? ナーラにいる前田 流言からおばあさんの話を聞いた。もしかしたらまだ生きているかな?」
「生きているわよ。私の夫のお母さんになるけと、私の旦那は貴方のお姉さんの弟よ。だいぶ年は離れて要るけど良かったら案内するわよ」
「え、リオンって、俺の従兄弟にあたるの」アイルが驚いていた。
「ありがとう。先にやらないといけない事をやってからだね」
エバーをはなして元の隠れ里に帰るように伝える。僕達はここから歩いてホルスメン大陸のギルド本部から和議の国まで対応したいと思う。
歩きながら先に進む、和議の千人大将の部下だろうか、僕達の回りを一定の距離を保ちながら付いてくる。
カーリが僕に付けてくる奴をほおっておくのかと聞いてくる。
「カーリ、彼らはほっといていいよ。僕が怒ったらどうなるか、話して伝えてくれる人がいないと困るでしょう。
彼奴らは何処までも後悔してらうよ」
僕が言う言葉に、みんな冷めた目で見ている。流石に僕がそこまでやるとは思っていないようだ。
ホルスメン中央ギルドが管理する地域が見えて来た。国境みたいな施設がある。
白狐を抜きその施設に向かい歩く。
鳳凰が僕の背中から羽だけを出す。右手に持つ白狐の柄から9本の尻尾が出る。
ここに来て、アルネ達は僕が本気で怒っている事を理解した。
ギルドの出入口を守る兵士に声をかけられる。
「まて、ここからはホルスメン大陸中央ギルドが管理する土地だ、中に入るには許可がいる」
「どんな、許可ですか?」
静かに僕が聞く。アルネが前に出ようとするのを僕が止める。
「アルネ、みんなを連れて下がれ。後ろの連中をどうにかして欲しい。勢い余って君たちまで殺したくない」
僕の言葉にアルネが仕方なく後ろに下がる。
出入口にいる兵士は普通の人達なのはわかる。おそらく彼らは誰も悪く無いのだろう。何も知らずここを守っている。それだけだ。
声をかけてきた男は、50代位。
「悪い、間も無く許可がおりる……っと」
男の首が体から離れる。そう、話しを聞く気がない僕が兵士の首を落とした。
回りの兵士が驚き声を失う。少し離れた場所にいる兵士が緊急警報をならす。兵士や冒険者達がぞろぞろと出てきた。
兵士や冒険者に声をかける。
「お前達の親玉は僕の逆鱗に触れてしまった。ここから立ち去れば殺しはしない。残るなら皆殺しだ。オーヂエン国 Aランク冒険者。リオン レース レイン
ホルスメン大陸中央ギルドを敵と認め、攻め込ませてもらう」
冒険者や兵士達が僕に向かってくる。僕が魔力を込めて白狐を振り抜く。切っ先から飛び出す、鋭利な刃物より良く切れる魔力によってたちまち屍の山をつくる。
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