第59話

今、目の前にいるシルバーバックはマウンテンバックに数えられるサイズで20m以上はある。その巨体から信じられない位に動きが早く、知能も高い。何より恐ろしいのはその腕だ、優に15mはあるだろう腕は体のどの場所より太く力強い、その一撃で殆んどのモンスターが殺られる。マウンテンバックが入るエリアはほぼモンスターはいない、その強さに怯え逃げ去るか、弱いモンスターが身を隠し静かに暮らすかのどったかだ。


マウンテンバックに見つかったみたいだ。こっちを見て警戒している。

アルネとカーリに手を出さないように伝える。

「ちょっと聞いていいかな? 君のような強い魔物が何故この低階層にいるんだい?」


マウンテンバックが驚いたように僕を見る。「ふん、人間風情に話しかけられるとはな。俺は今機嫌が悪い。お前達を逃がす気は無い」


「要するに君達は住みかを終われて来た。そう言う事だね。オーガロードを追っている。見た事はないか?」


「オーガロード? あんな小物を追ってるのか? 俺を倒したら教えてやるよ」


「倒したら、答えられないだろう。先に聞きたいな」


「ブホーーーーーーーッ」

マウンテン バックが怒りの雄叫びをあげる。刀を抜いて構えると、マウンテンバックがその巨体を前に倒し噛みついて来た。

後ろに飛んでかわし、地面にかぶりついた顔の眉間を切る。眉間から鮮血が吹き出した。


マウンテンバックの毛は鉄より硬いと言われる程硬く、武器や防具を作るのに重宝される素材でもある。その硬い毛を通り抜け額を切られた事に驚きと怒りを持ったようだ。


マウンテン バックが両手を前に出して地面におろし、腰を少し上げピョンピョンと軽く飛び跳ねる。

マウンテン バックが本気になった証拠だ。


いきなり大きな手を真横に降って攻撃してきた。手ですら3mは有ろうかと思えるサイズで、木や岩何かをなぎ倒しながら凄い速度で迫って来る。


物理結界を前に3段階に分けて作り、階段を登る要領で上に飛び跳ね。無防備な顔を目掛けて攻撃をする。避けられ無いと思ったのかそのまま僕の攻撃を顔で受け止め右の目を失う。

マウンテン バックは気にもせず、両手を顔の前に力強く出し、両手を合わせる。何とか挟まれずにすんだが両手が合わさった事の衝撃で地面に叩き付けられた。


起き上がりマウンテン バックと向き合う。マウンテン バックは静かに僕を見て出方を伺っているようだ。


警戒心がでたのか少し慎重になっている。僕が右前に向かい動くと左腕を上から降りおろすしてくる、さらに右側に避けて刀を構えて上から腕を狙い降りおろす、マウンテン バックの左腕が地面についたと同時に刀が腕を切る、流石にその太い腕は1回では切り落とす事が出来ず、マウンテン バックが体を起こすのに合わせてさらに左腕を切って腕を落とした。


マウンテン バックはその強い腕で体を支えながら行動する。腕が片方無い事でかなりのダメージだろう。僕の攻撃についてこれず傷を追う回数が増えて来た。


刀に火の魔法 ファイアーをかける、刀身を炎が覆う。マウンテン バックが僕を捕まえようと飛びかかって来た。マウンテンバックの右腕をかわし眉間に刀を突き刺しファイアーボールを唱える刀の先から直接マウンテン バックの体内にファイアーボールを叩き込む。


マウンテンバックの頭が後ろから破裂して倒れる。何とかマウンテンバックの討伐を終えた。


マウンテン バックこと、シルバーバックをマジックバックにしまい奥を目指す。

「リオン、少し休まなくていいの?次オーガロードと対戦する時は何もしないで見てる?」カーリが心配そうに聞いて来る。


「次が4階層だよね。4階層に降りたら休んでから進むよ」

階層の繋ぎ目はモンスターが出ないポイントでもある。そこを上手く使って回復をしないとね。


3階層はシルバー のバックお陰でモンスターがいない。もしかしたらオーガもシルバー バックを恐れて違う階層に来たのかも知れない。

今日は何とか5階層に到着してゲートを確認しないと、中途半端にすると帰りが面倒だろう。ジャングルを奥に進むにつれてコボルトやワイドウルフ等Eランク相当のモンスターがちらほらと見え始める。

ダンジョンの奥まで喜多所に下に下がる階段をみつける。階段の近くで休憩を取る。


「ねぇ。さっきのシルバー バックどうするの? ギルドに報告する?」

アルネが心配そうに聞いて来た。


「いや、ギルドには報告しない。それと昨日の2階層のモンスターの原因もわからないから、ギルドに報告しても駄目でしょう。ハマイルさんにでも卸すよ」


「リオンってほんとハマイルさんのこと好きだよね」カーリがカラカラと笑いながら言う。


「いや、借りてる部屋もただで借りてるし、何かしないとね。高い宿代払うのも辛いし」


「確かにそれ有るかもね。ハマイルさんのお店もっと沢山出来ると有りがたいのにね」「そうそう」

アルネの言葉にカーリが頷いた。


少しの休憩を挟み4階層に降りる。降りると直ぐにジャングルが広がっている。3階層と違い高い木が多く、木と木の間は50m位の感覚がある。草も背は高くなくある程度見渡せるようになっている。


かなり奥から土煙があごっている。モンスター同士で戦っているのか、ここからは確認も出来ない。注意しつつ前に進むと、ドドドドドドっと土煙は上げ何かが迫ってきた。ミノタウロスの集団、モンスターロードが起きたようだ。モンスターロードはモンスターが何かから逃げる事で起こると言われる現象で時に数千と言う単位のモンスターの行進である。


アルネとカーリに声をかける。

「魔法で大半のミノタウロスを消す、アルネも僕と一緒にに攻撃魔法。カーリはうち漏らしたミノタウロスを倒す。いくよ」


フルを肩に乗せ「ファイアーバート」と詠唱、ファイアーバートが横一列に並びミノタウロスの集団に襲いかかる。


アルネは「ソイルカッター」と詠唱。土の円柱に螺旋状のカッターがついた円柱が次々飛び出し上としてからミノタウロスを攻撃する。先頭の何列かは倒してが後からどんどんと別のミノタウロスが押し寄せる。

「アルネ、カーリ先頭の攻撃は任せた、僕は中腹辺りに飛び込む」


「「OK」」

モンスターロードの脇を逆走しながらフルを手に乗せ、ファイアーボールを打ち込み前に出る。20m位進み刀を取るとミノタウロスの群れに切りかかる。ミノタウロス自体はそんなに大変な分けでは無いが数が多すぎる。フルも肩に乗ったままファイアーボールを出し続けている。

僕が中程に来てミノタウロスを倒し続ける事で後ろがつまり始めた。後ろから来るミノタウロスは僕を目掛けて来る者が増えた。

フルを使い詠唱をする。

「ファイアーラビリンス」フルの魔力も加わり20本近いファイアーラビリンスを出し手飛ばす。


取りこぼしのミノタウロスを刀を使い倒す。3人で戦い続けて約1時間程で全てのミノタウロスを倒し終える。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る