第154話
ハマイルさんと2人、空間移動でラピスに戻る。不穏な空気もだいぶ薄まったように思える。
ハマイルさんと別れ拠点に入る。マリアが忙しく部屋の掃除していた。
かなり綺麗に見えるがこれが日課なのだろう。マリアが僕を見つけ入り口に急いで来た。
「お帰りなさいませ、ご主人様」
マリアを見て「ただいま。いつもありがとう。マリアは働き者だね」
マリアが顔を赤らめ照れている。
マリアは元々、スベルト王宮付き男爵の家付き。メイドとしての仕事から、警護、暗殺、諜報活動に至るまでをこなす達人だ。
「マリア、君やハマイルさんを付け狙った奴は減ったか?」
「はい、かなり活動は少なくなりました、が。しつこい者が若干名おります」
「そう、後で案内して、僕が直接話し合いに行くよ」
マリアが不思議そうな顔をしている。むしろ、それは話し合いではなく脅しではないか?そんな顔だ。
「わかりました。ですがご主人様が直接動かなくてもよろしいかと」
「いいんだよ。僕達は少人数で動いている。細かい事も自分たちで行うのが僕達のルールなんだよ」
「は、失礼しました。余計なことを言ってしまいました」マリアが膝を付き謝罪をしてくる。
「マリア、そんな顔をしない。
君は僕の事を余り知らない。だから仕方ない、少しづつ、僕達を知ってもらって覚えてちょうだい。また、皆を連れて来るから、楽しくやろう」
「はい」マリアが明るい表情で笑う。月に何度か会うけど、最近やっと笑顔が増えた気がする。
その日の夕方にマリアに連れられて辺境都市マリエラの住宅街にいた。ひっそりと立つ民家の前に来る。門番はいなく、鍵かきっちりとかけられていた。
マリアが鍵を道具を使いあける。流石は元隠密、手際良い作業だ。
中に入ると男2人が座っていた。
「なんだテメー」
2人の男が僕前に来る。その時マリアが男達を止める。男達がマリア見て顔色を変えた。
「話し合いに来ました」
僕がそう言うなり男達が口から泡をふいて倒れてしまう。
マリアが見て首を横にふる。毒だと思われるが自分で死んだのか? 何かの魔法だろうか?
部屋は1つしかない造りだか、マリアが壁を探り何かのレバーを見つける。そのレバーを引くとテイブルの下の床が落ちて通路が現れる。
マリアと2人通路におりて奥に進むと扉があった。扉を開け中に入る。
顔まで刺青をした男が1人でいる。
「珍しい客だな、男にマリアか? 何しに来た」
マリアが驚いた顔をしている。
「あんた、こっちの世界じゃ有名だぜ。そんな有名人は屋敷じゃ雇え無いだろ。仕事が欲しけりゃくれてやるぞ。
こっちの世界じゃ有名人でも表の世界じゃ無名だろう」
マリアが男を睨みつけて、冷静に話す。
「私は安く無いんでな、お前ら小賊どもには高嶺の花、何なら私がお前らを使ってやってもいいぞ」
男が立ち上がった所をマリアの単刀が首に刺さる。その後部屋をくまなく探すが隠し扉や部屋等は見あたらず。マリアがへこんでしまった。
「ご主人様、すみません。私はこの隠れ家が何処かにつながっていると思っておりました。常にこの家の入り口から多くの者達が出入してました」
「いい。上に戻ろう」僕と2人で上の部屋に戻り再度色々所を探すと裏に抜ける抜け道を見つける。
隠し扉を見つけ裏に行くと複数の家につながる通路を発見した。流石にここまで来るとライズを頼った方が良さそうだ。マリアを連れてギルドに行く。
ギルド職員にギルドマスターのオランさんを頼む。職員が僕の顔を見て呆れた顔をする。
「約束は、有りませんよね!! いつ戻られたのですか?」
「昨日です。大切な用件です、お願い出来ますか?」
職員が呆れた顔でオランさんを呼びに行く。
オランさんがすぐに出てきて部屋に呼ばれる。オランさんの部屋に何故かライズがいた。
「リオン、新しい女か? 相変わらず、すみにおけんな」
「ライズ、変な事を言わない」
オランさんが呆れたように僕を見て聞いてくる。
「で、今回はどんな用件ですか?」
僕が2人を向いて話す。
「ハマイルさんとこのマリアが辺境都市を中心に活動している、盗賊団に付け狙われていてね」
「穏やか話しじゃ無いね。私の街で盗賊団ね」ライズが手を頭の上で組んでふんぞりかえる。
「さっきそのアジドに踏み込んだけど、すでにものけのからでした。
どうやらそこは出入口のかわりに使われているだけらしんですが、その後のつながりが広すぎました。
流石に僕達2人では何とも出来ない状態です。それでお二人の力をお借りしたく来ました」
マリアが僕の直ぐ後ろに来て僕の肩を抑え小さい声で言う。僕が通路に誰かいるのを察知した、そのタイミングでいう。
「ご主人様、私の元同僚です」
「そ、なら中に入れてあげて」僕がリラックスしてマリアに言う。
マリアがドアを開け、職員の1人を中に入れる。
オランさんが職員を睨むが、僕がオランさんを抑える。
この職員は特段目だ立つ所がなく、大人しく、清潔で皆知っているが印象の薄い職員だ。だが冒険者や職員から可愛がられている人だ。
それを見てらいずか言うそれも即答だ。
「私は乗った。リオン貸し1つだぞ」
「私も乗りましょう。リオン君。今度手伝って下さい」
「良いですが、早くても来年ですよ。中々帰ってこれないですからね」
僕の言葉に。いつでも戻れるくせに2と人が呆れた顔で文句を言う。
その日の夜にライズの兵とマリエラのギルド付き冒険者達によって盗賊団が壊滅された。
ライズの兵は本当に強い者が多い。辺境都市を守る中でも、最も強い兵団に数えれるその手腕を見せられた。その後、マリアを拠点に送ってアメールに戻る。
ランバートさんと会い話しをしてから部屋に戻るとルーニーとリーンハルが待っていた。
「お帰りなさい。マリエラは大変でしたか?」
リーンハルが聞いてくる。
「だいぶかたずいたよ。こっちは?」
「はい、不穏な空気も消えました。これなら帰っても問題無いと思います」
そうリーンハルが答える。
翌日、2人を伴ってアメールを後にする。ダンサールの拠点に戻ってアルネとカーリに事の次第を報告した。
アルネがハマイルさんが巻き込まれた事に驚きを覚えていたが、無事に対処出来た事に喜んでいた。何でもハマイルさんにお願いしたい事があったらしい。
◇◇◇◇◇◇◇
拠点に戻っては数日後、アルネから相談を持ちかけられた。
シールズマウンテンの卵を半分ハマイルさんに渡せないかと言うことだ。この珍しい卵と交換でオリハルコンの宝珠が欲しいと言う話しだった。オーヂエンを出る前にハマイルさんにお願いしたいたもので結婚式の前にどうしても準備をしたいらしい。
後日、アルネとカーリを連れてラピスにくる。ハマイルさんのお店に入りハマイルさんと宝珠の話をする。
ハマイルさんはシールズマウンテンの卵に興奮しており僕達の話を聞いているかわからない程の状態だった。
ハマイルさんがオリハルコンの宝珠を取りに奥の倉庫行き戻って来る。
「リオンさん、流石ですね。世界で類を見ないと言われるシールズマウンテンの卵の殻なんて。
これはタイナーにすら秘密ですね。この卵のからは私の一存でよろしいですか?」
「構いません。後、これをハマイルさんにプレゼントです」
そう言って世界樹のしずくを渡す。
「これは"世界樹のしずく"です。取って来るのは今回が最初で最後になると思います。なのでハマイルさんにもらって欲しいです」
ハマイルさんが蓋を開け1滴、世界樹のしずくを飲む。少し体を震わせ咳き込むが、体が軽くなったのか目を輝かせて喜んではしゃいでいる。
「本物じゃないですか? こんな貴重品をもらってもいいんですか?」
「構いません。また持ってくる事がで来ない物なので、それにこれは私が貰えた最後の"世界樹のしずく"です。ぜひハマイルさんにと思って持ってきました」
ハマイルさんとがっちりと握手をしてお店を出る。オリハルコンの宝珠を持ってダンサールの拠点に戻るとアルネに小言を言われる。
「リオン、ハマイルさんとできてるみたい」
いやいや、お互いに恋愛対象は異性です。
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