第18話
カーリさんから「良く倒したね。このモンスター、Sランク相当だよ」と褒められた。
最近、カーリさんが凄く優しい。
テイマーはわりとマイナーな職業だ。だか、モンスターの知識は凄く豊富で、マウンテンドラゴンも生まれたばかりの子を 2年間、飼っていた事がある。
テイマーとしての知識はかなり役に立つ。
アルネさんがギルドに連絡を入れてくれた。
ギルド職員が解体と買い取りの為に出張してくれる事になった。
待つ事1時間、来たのはギルドマスターのオランさんだ。
基本的にマウンテンドラゴン等出る事の無い場所にマウンテンドラゴンが 出てしまった、その理由を探る為に来たようだ。
オランさんが呆れたように「リオン、これは貴方が倒したの?」手に水晶を持ち聞いてくる。
「ハイ、1人で倒しました」
オランさんが水晶を見る。さらに呆れた顔でこっちを見る。
「1人で倒したのは本当ね。で、どうやって倒したの? 魔法は使っていないようだけど」
「首の下から刀を入れて切り落としました」 オランさんが水晶を見る。嘘が無いかの確認だ。
「ちょっと。アルネ、カーリ。1人で倒せるモンスターじゃ無いでしょ。何で一番ランクの低いリオン1人にやらせたの?」凄い剣幕で2人を怒る。
「だってぇ。リオン強いし、私達よりモンスターの知識豊富だから1人でも問題無いよ」カーリさんがおずおずと話す。
「そうそう、私の魔法じゃ倒せないし、カーリの戦闘術も効かないし。まあ倒したから文句言わない♡」アルネさんがテヘペロしている。
オランさんが体を震わせ、わなないている。 「良いこと。明日必ずギルドに来なさい。カーリ、特に貴女、逃げるなよ」オランさんが鬼の形相で怒る。
オランさんの威嚇にやられたのか付近からモンスターの気配が一気に消えた。流石は元Aランクの冒険者。迫力が違う。
ギルドの職員が一気に解体してマウンテンドラゴンを運んで行く。甲羅と鱗はかなり貴重な物らしく防具や武器の材料として特に高値で取引される。
オランさんが近くに来た。笑顔だけど何か…怖い。
「リオン。貴方が責任を持って2人を連れて来なさい。良いわね」 凄く穏やかに、そして優しく言う。
でも圧が強すぎてギルドの職員数人が気を失う。
そして、見える範囲からモンスターの気配が完全に消えた。 何か、怒らせてはいけない人を怒らせたらしい。
翌日、アルネさんとカーリさんを連れギルドに行く。受付でオランさんをお願いすると、受付嬢が確認しに行く。
受付カウンターで待っているとまたハートックスが来た。後ろに厳つい男2人を連れてきた。
カーリさんとアルネさんが睨みを効かせると。190cmを越える男が一瞬たじろぐ。そして2人ではなく僕の所に来た。
「おい、小僧。ちょっとこい」ハートックスから声をかけられる。
「僕には用事が無いのでお断りします」
ハートックスの後ろにいる戦士風の男が
「おい、聞こえなかったかお前に言ってんだ」
そう言って胸の上を掴んで来た。
「もう一度言いますが、僕には貴方達に用事が無いのでお断りします」
僕の服を掴む男がさらに怒り殴りかかって来た。周りはこの騒ぎを聞いてざわつき始める。
ギルドで騒ぎを大きくするのは良くない、ライズやオランさんにも迷惑をかける事になる。
ハートックスを中心に、威嚇をかける。
僕は威嚇はわりと自信がある。威嚇は魔力と気を織り交ぜ相手に脅威を与える技だ。
テイマーには必要不可欠な技術、この威嚇を使いモンスターをテイムする事もある。まして弱いモンスターなら僕の威嚇で気を失う事も有る位だ。
ハートックスが膝を付き苦しそうに息をして、他の2人は気を失っている。
「所で僕達はオランさんに呼ばれてギルドに来てます。貴方達とお話する時間が無いです。よろしいでしょうか?」
ハートックスが苦しそうにわかったと返事をした。 威嚇を解く、ハートックスがふらつきながらギルドを出て行く。
オランさんが執務室から騒ぎ聞きつけ受付に降りて来ていた。
「リオン、今後ギルドの中で威嚇は使わないように」注意を受けた。
オランさんの執務室に入る。昨日のマウンテンドラゴンの討伐と報酬についての話だった。
マウンテンドラゴンはサイズにより、1m以下がDランク 1~2mがCランク 3~6mがBランク 6~10mがAランク10m以上がSランクと別れる。
今回は計測した結界 20mを超える超大型の個体と判明した。
オランさんが呆れている。
「ねえリオン。少し私の気持ちも考えくれると嬉しわ。
貴方を預かってる身にもなって。確かにあの威嚇をみる限りBランクの力は有るとは思う。
実力もこの2人が認めている位だから強いのもわかった。そこでいつまでDランクのままでいるの?
貴方がAランクの称号を取れば誰も貴方達にちょっかい出さないでしょ」
そう言われ3人で顔を見合せうなずいてしまった。今まで考えたことがなかった。
「と言うことで、マウンテンドラゴンなんだけど、実はギルドに特別依頼が出ている案件になるの。
まあ、今Sランクの冒険者はこの国にはいないから、討伐不可で返そうと思っていたけど、タイミング良くリオンが討伐してれて助かったわ。
今回、ライズ辺境伯とも相談したんだけど。 リオン、貴方のランクを2ランク昇格して Bランクにする事にしました。
ギルドカードを更新するから貸してちょうだい」
何か良くわからないうちにBランクになることになった。ギルドカードをオランさんと渡す。
アルネさんが「良かったねリオン。目標に近付いたね。これでナーラ国のリュックニーのダンジョンに行けるよ」
カーリさんと3人で盛り上がる。
オランさんが「なに? リュックニーに行きたいの?あそこはAランクパーティー以上しか入れないよ」
「「「え!!!」」」みんな固まってしまう。
「ナーラ国の中央ギルドから最近モンスターが凶暴化してるって通達があったのね、ここ最近 Cランクパーティーが3組無くなってるらしくて調査も含めAランクしか入れない事にしているみたいだよ」
カーリさんが「よし、なら私達ももっと強くなってAランクパーティーになろう」
と立ち上がった。
「それなら、ここのラピスダンジョンの地図作成をお願い出来るかしら? Aランクになるにはギルド指定の高難度の依頼を複数こなしてもらわないと行けないから。
今、ギルドで把握出来ているのが20階層まで。階層ボスがミノタウロス。それも複数で連携して出てくると聞いてくる。
1階~20階までの正確な地図が1つ。もしクリア出来たらさらに下の階層まで調べて欲しい」
「21階層から先は何処まで潜っても問題が無いけど死なないように。それと適度にモンスターも間引いてもらいたい。この2つをクリアしてくれたら。マリエラのギルドからAランクに推薦してもいいわ、やってみない?」
考えてもしょうがない。「やらせて頂きます」あ、カーリさんとアルネさんに聞くの忘れてた。
恐る恐る2人を見る「リオン少し男らしくなったね」とアルネさんに抱きしめられた。
何が良かったのかな?まあ良いことにしよう。 その後新しいギルドカードをもらい一旦帰る事にして明日再度来ることになった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます