生き別れの妹とダンジョンで再会しました 〜10年間ダンジョン内で暮らしていたら地底人発見と騒がれた。え、未納税の延滞金?払える訳ないので、地下アイドル(笑)配信者になります〜
第164話 初めてのBランクダンジョン配信!
第164話 初めてのBランクダンジョン配信!
迎えた日曜日の午後21時。
今日は――俺にとって初のBランクダンジョン開拓配信だ。
既に準備は万全。
「さぁ――始めますか!」
左腕の配信リンク式腕時計を操作し、配信を開始する。
すると、ドローンに付いた液晶ディスプレイへコメントが流れ出す。
〈きたぁああああああああああああああ〉
〈
〈1こめぇえええええええええええええええ〉
〈久々のあたおか開拓配信がキタァァアアアアアアアア〉
うおぉ……。
凄いコメントの量だ……。
チャンネル登録者数も既に80万人を突破したからな……。
毎日潜って生配信をしていた時だけじゃなく、この1週間はアーカイブ動画から流れて来た登録者が爆増していた。
やっぱり動画の編集って大切よね!
「み、皆さん、こんばんは~! 久々の開拓配信になってしまい、すいませんでした!」
〈もう待ち焦がれたよぉおおおおおおお〉
〈ホントだよwww〉
〈臨時講師に写真集、イベント諸々お疲れ様ぁあああ!〉
〈お兄様ぁああああああああああ! この手は一生洗いません!〉
〈↑あんた、マジで握手会に行ったのなw トイレから出たら手は洗え?w〉
改めて考えると、凄まじく密度の濃い日々を過ごしてたなぁ……。
臨時講師に写真集撮影イベントって……。
最後に開拓配信をしたのが遙か遠い過去に思えるよ。
具体的には1ヶ月ちょいぐらい。
「今日は――待ちに待った、Bランクダンジョンへ突入します!」
〈888888888〉
〈うぉおおおおおおおお〉
〈とは言ってもAランクダンジョンで姉御と無双してるのを観てるからなw〉
〈無双配信になる結末は予測が出来てるw その上で来てるからw〉
ふっふっふ……。
そう、普通にやれば――何の捻りもない無双配信だったでしょう。
「残念ながら――今回は、俺も大苦戦しそうなんです!」
〈な、なんだってぇえええ!?〉
〈ふりだろ?w〉
〈Bランクで『あたおか』が苦戦するのが想像出来ないってw〉
「実は――今日の俺は、関東に居ません!」
〈え、マジで?〉
〈遠征って事? 何処のダンジョン、それ?〉
〈ダンジョンって基本は人口密集地に多いよな? じゃあ大阪とか名古屋?〉
〈まさか福岡に来てくれてる!?〉
〈いやいや仙台へウェルカム! 牛タン通りにない美味い店にも連れていくよ!?〉
そう、ダンジョンは――基本的に人口密集地帯にある。
だからこそダンジョン災害の時には、人々に甚大な被害が出たんだけど……。
今日は、そんな中では数少ない――かつての観光地にあるダンジョンへとやって来た。
「今日は、ですね――北海道は知床にあるダンジョンへやって来ています!」
〈ええええええwww〉
〈東京から何時間かけて行ったんだよw〉
〈あ、知ってる! 自然が綺麗な所だ!〉
「いやぁ……。流石に空を駆けるのも疲れましたね」
〈マジで?〉
〈え、流石に飛行機であって?w〉
〈昨日の夜21時まではトワイライトと居たよな。そっから飛行機と車?〉
〈↑北海道の広さを知らんな? 車でもギリッギリの時間だぞw〉
〈あたおか過ぎぃいいいいいいいいい〉
「実はここにですね? とある裏ボスがいると耳にしたんです! そして今回は――耐久です! 題して、『裏ボスが目的のアイテムをドロップするまで、北海道から帰れません』です!」
〈いやいや、今まで落盤以外でドロップアイテムを得た事もないのにw〉
〈腰の刀、
〈Sランクの魔物でも、かなりドロップ率が少なかったと自分で言ってたやんw〉
〈Bランクダンジョンの裏ボスなら、Sランク魔物並はあると見込んだのかな?w〉
「果たして食いしんぼ白星が魔素を食べるのに、Bランクの裏ボスは耐えられるか!? 裏ボスが落とす、とあるアイテムに狙いを定めて――Let's Go!」
そうして俺は姉御が開拓者時代に仕入れた情報――裏ボスが居る特別な間へのルートを辿っていく。
道中――ラミアとかが居たけど、即座に魔石を引き抜いて終了。
もうね、今更こういう分かりきった戦闘は映しても仕方ないかなって……。
〈もうその辺のモンスターは相手もしてもらえなくて草〉
〈やっばぁ……。動画を観て来た新参だけど、編集じゃなくてガチじゃん……〉
〈やっぱSランクで10年の年期は違うわwww〉
うん。
ぶっちゃけ苦戦している演技をしても、皆は笑ってくれないでしょ?
だから今回は、別の方向でエンタメを提供する事にしたのよね。
本当に必要なアイテムで、出るか出ないか――戦闘の度にワクワクとしちゃう感じだ。
「……お、ここかな?……見えますか? 微妙~に、ですけど……。岩のここ、波打ってるの分かります?」
〈マジだ。なにこれ?〉
〈言われないと絶対に気が付かんなw〉
〈え、カメラの不具合とかじゃないの?w〉
うん。
カメラの不具合を疑いたくなるぐらい、本当~に微妙な違いだよね。
俺も言われてなければ気が付かなかったかもしれない。
でも――良く探ると、ここだけ魔力が異常を起こしている。
「これ――
〈条件?〉
〈選ばれし者的な?w〉
〈選定の勇者か? それともミッション系か?w〉
「勇者でもミッションでもありませんよ~。ここを通れるのは――
〈じゃあ無理じゃんwww〉
〈あたおかは性別からか〉
〈え、その条件って……。なんか、そんな伝説の存在を聞いた事あるぞ?w〉
お、勘の良い人は気が付いたかな?
これだけのヒントで気が付くなんて凄いなぁ~。
「――さて、では無理やり広げて……っと!」
〈無理やりは、らめぇええええええええええw〉
〈サラッと岩肌の歪みを広げるなよwww〉
〈え、波打った空間を手で広げた!? マジで!?w〉
〈↑それどころか、足を突っ込んで不法侵入しようとしてますw〉
〈清らかな処女しか入っちゃダメなら、あたおかは招かれざる客じゃんw〉
そう、俺は――招かれざる客だ。
〈うおおおおおお幻想的ぃいいいいいい!〉
〈すげぇ……。
〈暗い夜。輝く大きな湖に、光を発する草原? 綺麗……〉
〈裏ボスの空間って、なんでこんなダンジョンっぽくないの?w〉
なんでダンジョンっぽくないのか迄は知らない。
取り敢えず今日、俺が用事があるのは――。
「――お、出ましたね~。やっぱり、入る要件を満たしてないからですかね? メッチャ怒ってます」
そう。
清らかな処女で、敵意が無ければそのまま帰れる。
そうでなければ
「――会いたかったですよぉ、ユニコーン! さぁ、早くその一本角をアイテムドロップしてくださいね? 耐久、スタートです!」
抜群の知名度を誇る存在に向かい、俺は指をクイクイッと曲げ挑発をした――。
―――――――――――
ここまで読んで下さり、誠にありがとうございます!
本作、カクヨムコン9に参加中です!
現在、読者選考に大苦戦中でして……。
楽しかった、続きが気になる!
という方から☆☆☆やブクマを賜れますと幸いです! 何卒、よろしくお願い致します!
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