第20話 初開拓配信!(6)伝来の御神刀

「おらぁあああああああッ!」


「わ、妾を木刀ぼくとうのように使うなぁああああああああああッ!」


〈www〉

伝来でんらいの御神刀がwww〉

〈京都土産の木刀扱いだw〉

〈でもここに来て1番役に立ってる瞬間w〉

〈大草原www〉


「ぁああああああッ! 向琉あたるッ! 後で覚えておれよぉおおおッ!?」


「仕方ないだろぉ!? 他に白星はくせいを目立たせてやれる機会が無いんだから! 目立ちたいって言ったのは白星じゃないか!」


「こんな目立ち方、妾は望んでいないぃいいいッ!」


 敢えて込める神通力や魔力を少なくして――モンスターを次々と魔石へと変えていく。換金素材かんきんそざいは大事ッ!


 そうして10分程が経過した時、広場内には数十の魔石と俺だけが存在していた。


「よし! 魔石を大量にゲット! いやぁ~、ピンチをなんとか乗り越えましたよ! 皆さん!」


嘘吐うそつけw〉

白々しらじらしいwww〉

〈なんとか、とはw〉

自演乙じえんおつw〉

〈やっぱ合成じゃないの?〉

〈う~ん、でもリアルタイムで答えてるしなぁ。ここまで精度高いCG作れる債務者さいむしゃが要るか?〉

〈62億債務者だもんなw〉

〈マジでこれやってるとしたら、頭おかしいよ……〉

〈良く分かってるじゃねぇか。おおかみあたるは、あたおかなんだよ〉

〈あたおかwww〉


 なんかひどい事を言われている気もするけど……。

 流行っている配信者や伸び始めている配信者の枠ほどコメントらんが荒れがちなのは、もうリサーチ済みだ。

 これから伸びていくのに必要な過程だと思うとしよう。


「――さて、魔石も拾い終えましたし……。次ですね。また進んで行きましょう! 開拓開拓ッ!」


 ここまでゆっくりと進んで来たけど……何階層まであるんだろう?

 配信も単調にダラダラ長く流していれば良いというもんでもないだろうし、そろそろ終わりにしたいんだけど……。


〈お? そのダンジョンだと、次がボス階層だぞ〉


「え、本当ですか!? 情報ありがとうございます!」


〈なるほど、視聴者が教えてくれれば、入口で地図やガイドブックを買わなくて済むのかw〉

〈危険すぎるw シャインプロは教育しなおせよw〉

〈悲報、発見が昨日。教育期間1日未満が生んだあたおか地底人〉

〈www〉


「あの……。俺も傷つく事はありますからね? でも、次がボスかぁ!……こ、ここまでボロボロになりながら来たけど……なんとか、なんとかボスを倒すぞッ!」


胡散臭うさんくさいw〉

〈さっきまでの元気さがあるんで、手遅れですね〉

演技力えんぎりょく無駄遣むだづかいw〉


 うん、バレました。

 でも……配信のピークは多分、さっきの食料庫の戦闘じゃん?

 これを越えるとなったら、死に物狂いで進んで激闘げきとうを繰り広げるしかないと思ったんだけど……。


 そうか! 昔の熱血漫画のような展開を目指そう! そうだよ、ダンジョンのボスならいけるだろ!


 新たなエンタメ戦略を考えながら、俺はダンジョンを更に潜っていく――。


 そうして階段を降り終えると、10メートル程度の空間が広がっていた。

 進めそうな道は1つだけ。重厚じゅうこうな金属の扉だ。高さは5メートル程度。普通の人なら、重くて開けられないような造り。


 何処どこからどう見ても、ここから先がボス部屋ですと言わんばかりの造り。……姉御には怒られるけど、まるでゲームのようだなと思う。


「それでは、行きます! 俺の全力をぶつけてやりますよ!」


 重厚なドアを開くと――中は半径25メートルぐらいの円形空間になっていた。

 中央には人の身長ぐらいある巨大なおのを担ぐ、牛頭ぎゅうとうのモンスターが座っている。


 それは――俺でも知っている有名なモンスターだ。


「ミノタウロス……」



―――――――――――

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