第19話 初開拓配信!(5)いざ食料庫!



 コメントは引っ切りなしに流れ、洞窟内に響いている。


 進めば進む程、魔素が濃くなる。


 ドローンの光に照らされる壁の色も、これまでとは違う。魔素が貯まって変質しているのか、光沢こうたくがある。


 そうして15分程、歩みを進み続けると――50メートル四方しほうはありそうな、大きな空間へと辿たどいた。あちこちから魔素のモヤが噴出ふんしゅつしている。

 それだけではない。

 魔素がこれだけあるという事は――。


「多いですね……。数十匹はモンスターがいます」


 オーガ、ワーウルフ、オーク。このダンジョンに出現する様々さまざまなモンスターが徘徊はいかいし、壁から産み出されるようにき出てくる。


〈これ食料庫しょくりょうこじゃないか!?〉

〈モンスターが出現する場所だ!〉

〈食料庫、生配信で初めて見た!〉

〈数ヤバぁあああ! にげてにげてにげて〉

〈ああああああッ見てるだけでこえぇえええ〉


 これまでの数匹の群れと出くわすのとは、明らかに違う状況だ。


 コメントを聞く限り、ここはモンスターを産生する魔素が濃い地――食料庫という場所らしい。

 こうしている間にもモンスターが産み出され、ありのように壁へ空いた細い空洞へと入っていく。


「成る程……。ああやって色々な階層にモンスターが移動していたんですね。ここがモンスターの供給源きょうきゅうげんだったと……」


暢気のんきに解説すんなw〉

〈こわいこわいこわい〉

〈はよ逃げろw〉

〈いくらなんでもこの数は死ぬって! 命大事に!〉


「――あ、バレました」


 コメント読み上げ機能の声で、1匹のモンスターが俺に気が付いたらしい。

 鼓膜と肌がビリビリするような雄叫びを上げると、広場内にいた他のモンスターも気が付いたらしい。続き様に叫び声を上げている。

 そうして、ドッと波のように俺へ向かお押し寄せて来た――。


〈ああああああああ〉

〈忍ぶところでは自動読み上げ消せよぉおおおおおおお〉

〈VRこえぇえええええ〉

〈にげてにげてにげて!〉

〈イケメン地底人逃げて!〉

伊縫美尊いぬいみこと:お兄ちゃん、お願い。逃げて!〉

〈はやくしろよぉおおおおおおお〉

〈美尊ちゃんだぁあああ〉

〈お兄様、にげてぇえええ!〉

〈妹に死ぬとこ見られたくないだろ!? 逃げろって!〉


 コメント欄が今日1番の盛り上がりを見せている。

 美尊も来ているようで、これは――チャンスじゃないだろうか!?


「死闘チャンス到来だぁああああああッ!」


 俺はおどるようにモンスターの波へと飛び込む!


〈ぎゃああああ〉

〈あたるうううううう〉

〈攻撃あたるううううううう〉

〈こわいこわいこわい!〉

〈本人視点だと完全に飲み込まれた!〉

〈地底人視線への切り替えは止めろ! モンスターに囲まれてて、気がおかしくなる!〉

〈しんだしんだしんだ!〉


 モンスターの攻撃を紙一重かみひとえで避け、防ぐ。

 成る程、これは確かに……配信しながらだと、勝手が違うな!

 敢えてギリギリで避けて、防ぐ。

 これは――良い修行だ! しかし、だいぶ引きつけて避けるのにも慣れて来た。


「反撃だぁああああああッ! オラァッ!」


 ギリギリでかわし――的確に魔石を抜き取る。

 モンスターの魔素集約点しゅうやくてんを見極め――貫手!

 躱しきれないぐらいに押し寄せたら、宙に跳び避ける。

 これだけの大集団に一斉攻撃を受け、攻防を繰り広げると――それはもう、激しいダンスを踊っているような動きになる。


 もしかしてこれ、実質アイドル活動なんじゃ⁉︎

 歌ってはないけど踊ってるし!


〈ぉおぇええええええ〉

〈まだ生きている! 生きてる!〉

〈すげぇえええええええええ!〉

〈大神向琉視点にして2秒で後悔した。吐きそう〉

〈なんだよこれwww〉

〈ドローン視点だと、ダンスを踊るようにモンスターを蹂躙じゅうりんしている姿が見られますw〉


「皆さん! 俺、今アイドルしてますよ⁉︎ 歌ってはないですけど、踊ってるようです! これこそがアイドルダンライバーの正解なのでは⁉︎ イケます! これなら歌が苦手な俺でも! モンスターの叫び声が歌みたいだし」


〈そんな訳あるかwww〉

〈真面目に歌って踊るアイドルダンライバーに謝れwww〉

〈これが真の地下(笑)アイドルダンライバーwww〉

〈それは歌じゃねぇえええ阿鼻叫喚の嵐って言うじゃあああw〉

〈ぎぃんもちぃいいいいいいいいいいいいいいいwww〉

〈何がどうなってるのか分からんけど、無事そうwww〉

〈こんな時でも抜けない刀とか要る? さやごと殴れば?w〉


「――なんじゃと!? 誰じゃわらわをバカにしたのは! 折角、黙っていてやったのにぃいいい!」


「白星! 視聴者さんのリクエストだ!――やってみよう!」


「……へ?」



―――――――――――

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