第210話 野焼き、山火事!
よし、言えたぁあああ!
後は野となれ山となれだ!
〈はぁああああああ!?〉
〈移籍? シャインプロやめるってこと!?〉
〈姉御のイジメに耐えきれなくなったのか!? 理不尽債務にか!?〉
〈ざけんな! 今度こそ大宮愛を弾劾してやる!〉
〈↑大宮愛は誰よりも大神向琉を推してると既に判明してる。債務も嘘説濃厚。落ち着け〉
〈旭プロって言った!? あの人をバカにしてる旭鹿奈の!?〉
〈旭柊馬のたった1度の善行で帳消しに出来ないレベルの不祥事が、ガツガツ出てんだろ!?〉
〈なんで、あたおかがそんなとこに!?〉
〈お兄様が決めたなら、どこでも良いです。お兄様が見られるなら、それだけで天上に勝る幸せ〉
〈美尊ちゃんはどうすんの? 2人の兄弟愛に感動したから、応援すると決めてたのに〉
〈深紅ちゃんを捨てるのか!?〉
〈↑残ったら残ったで、旭深紅との仲を糾弾するくせに〉
いやぁあああ!?
野焼き、山火事状態になってるぅううう!?
野となれ山となれとは言ったけど、燃えろとは言ってないんですがぁあああ!?
これは、手に負えない!
コメントが、ぶぅわああああ~と流れて、止まらない!
動体視力が鍛えられる……とか、言ってる場合じゃない!?
「いや、あのですね? 移籍って言っても――」
慌てて補足説明をしようとする俺の目に、赤い文字が映った。
〈¥50,000
旭深紅:嘘ですよね冗談ですよね冗談と言ってくださいお兄様。ウチのせいですか? ウチが迷惑をかけたから、しつこいからシャインプロを去ると言うなら、ウチが去ります。オーナーとお兄様に恩返しをしながら一流の開拓者として成長します。気持ちにも硬い蓋をします。だからお兄様が去らないでください。お願いします、ウチはお兄様から何も奪いたくない。お兄様に辛い思いをさせるぐらいなら、ウチは1人独立してダンジョンに籠もりますから。お兄様の笑顔が奪われるのなんて見たくないんです。考え直してくれませんか、考え直してください。寮の前で土下座してお待ちしますから、どうか御再考をお願いします。いや、嫌です。ごめんなさい、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい〉
〈¥50,000
伊縫美尊:お兄ちゃん、どういうこと? 私も行くんでしょ? 連れてってくれるよね? もう妹を1人ぼっちにしないよね? ブラコンなめないで〉
〈¥2,000
那須涼風:2人とも、落ち着いて! 本当に落ち着いて! 私のスマホが壊れちゃうから、メッセージを秒単位で連発するのも1回やめようね!? お兄ちゃん先生なら、これからキチンと説明してくれるよ!〉
色つきコメント。
それは他のコメントと違い、瞬時に流れることなく、暫く画面で存在感を放ち続けるコメント。
所謂、スパチャと言う課金コメントだ。
シャインプロの看板、トワイライトの3人娘。
俺とは師弟関係や友人と近い状態にあり、中でも美尊に関しては、生き別れの妹。
そんな娘たちから、切羽詰まったコメントが投稿されていた。
もうね、冷や汗が止まらないよ!
「ちゃ、ちゃんと最後まで説明させてくださいぃいいい! 実は、実はですね――」
俺は、姉御から聞かされた事情を、一から十まで説明した。
あたふたとしていたけど、意味は伝えられたと思う。
旭プロの窮状と、国の未来を思えば、再建が必要だと言うこと。
そして俺自身の目的――ジジイを殺した黄色い龍へ仇討ちを成す為にも、一針正樹を含む羅針盤と臨時パーティを組むこと。
そして、あくまで再建目処が立つまでのレンタル移籍に過ぎないことも。
特に最後の、レンタル移籍と言う部分が聞いたのか。
コメント欄も、トーンダウンしてきた。
こ、怖かったぁ~……。
「そういう訳で、俺の魂はシャインプロにありますから! 大恩ある人たち、仲間や妹を捨てて行く訳じゃありません!」
〈そう言うことか……。でも、あたおかばっかり、なんでそんな目に〉
〈それだけ、あたおかの実力が買われてるって事なのかもだけど、野郎ばっかの環境になるのか〉
〈考えて見れば、今まで地上に戻ってから、あたおかの周りって女ばっかだったもんな〉
〈↑あ? お兄様を女たらし扱いしたか?〉
〈してないから落ち着け。男友達も出来た方が良いよなって事だよ〉
〈↑そういう事なら、お兄様が幸せになるなら、男友達は大切♥〉
〈あんた、この状況で……。よっぽど衝撃で情緒ぶっ飛んだんだなぁ……〉
〈冷静にと言い聞かせつつも、情緒迷子になる気持ちは分かる〉
ふぅ……。
まだ暫く波紋を呼びそうだけど、落ち着いたみたいで良かった。
立つ鳥跡を濁さずは無理だろうな~とは思ってたけど、予想以上に気疲れしたなぁ。
お腹も空いた。
軽食じゃ、俺の膨大なパワーを生み出すカロリーには足りないみたいだ。
気を張ってた上に空腹だから、思考力が……。
糖分が欲しいなぁ……。
〈¥50,000
伊縫美尊:そういう事情なら、我慢する。寮で毎朝、一緒に御飯を食べられる。毎日会えるなら、妥協する〉
「え? 美尊? 俺、羅針盤メンバーとシェアハウスするから、暫くは寮に戻れないよ?」
さっき、言わなかったっけ?
あれ、言ってないか。
次の瞬間、再び大炎上した――。
―――――――――――
ここまで読んで下さり、誠にありがとうございます!
楽しかった、続きが気になる!
という方は☆☆☆やブクマをしていただけると嬉しいです!
ランキング影響&作者のモチベーションの一つになりますのでよろしくお願いします!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます