第122話 初対面、旭深紅さん!
翌朝。
俺は自室にてスーツに白ワイシャツ姿で、美尊と朝食を摂っていた。
ネクタイと
緊張で食事を持つ
お
なんでかな。
足が
そうして食事を食べ終え、
生徒にイジメられそうな変な所はないかなと、あら探しをするように鏡を見詰めていると――。
「――お兄ちゃん。そんなに鏡を見なくても、ちゃんとイケメンだから大丈夫」
「だ、大丈夫かな!? 変って指さされない!? 教室に入ろうとドアを開けたら、上から
「無いよ? もし合っても、お兄ちゃんなら回避も出来るし、ラップも突き破れそうだね」
「ああ……。驚いて
「……どうしよう。悩みのレベルが私の
美尊は
「――はい、動かないで」
「………ひゃい」
俺の首にネクタイを回し、締めてくれる。
ああ、あの!?
距離が近くて良い匂いがして、幸せが
「あ、あれ?」
自分のネクタイを締めるのとは
何度かやり直す美尊がまた――キュート!
我が妹は女神なのかもしれない!
「よし、出来た。……そろそろ
「う、うん!」
もう一度、忘れ物が無いか
電気の消し忘れも無い。
窓のカギも締めてる。
よし、行こう!
同じマンションの
それなので深紅さんとは、マンション前の道路で待ち合わせをしているらしいんだけど……。
同じ事務所でも、深紅さんとは初めましてだから――緊張が凄い!
心臓どころか
そうこうしている間に、深紅さんの姿が見えた!
制服のスカートを
ど、どうしよう!?
まずは講師役である俺の出勤時間に合わせ、何時もより30分も早い待ち合わせに応じてくれた深紅さんへの謝罪と感謝を――。
「――おはようございます、美尊のお兄様。……いえ、大神先生」
「すいませんでした! ありがとうございます!」
「……え? あ、いえ? あの、ウチなにかされましたか?」
「……お兄ちゃん、落ち着いて。初対面でも怖くない。はい、深呼吸」
美尊が俺の背を優しく撫でてくれる。
ああ、秋も深まって来たからかな……。
触れた手の温もりで、緊張も心も蕩けていくようだ……。
「あ、あの……。早い待ち合わせ、すいません。それと、ありがとうございます!」
言えた!
見たか、コレが兄妹の連携だ!
ポカンとした表情で俺たちのやり取りを見ていた深紅さんは、小さな身体を丸めながら――。
「――あははっ! 本当に大神先生は
身体がデカイ俺がオドオドしているのが、
いや、
悪意なんて感じない――それどころか、目の奥には燃える
俺が怖いタイプの学生とは、だいぶ違う。
接しやすい――追いこまれた
それに姉御から聞いていた、
成る程、ね。
「キャラ設定なんかじゃないんですよ! で、でも……深紅さんとは初めましてなのに、気が合いそうです!」
「え? ウチと気が合う?」
「はい! 深紅さんは、俺の幼い頃と似ていて……武人って、緊張が和らぐもんなんですね!」
己との共通点が多いから、他人とは思えない。
安心して全身の力が抜けていく。
まずは全校生徒2500人分の1名をクリアしたと行っても過言ではない!
「……お兄ちゃん? そんなに深紅の事を気に入ったの?」
「あ、あの……。美尊? なんでそんな、目を細めてジトメを使って来るのかな?」
「美尊は大好きなお兄ちゃんが、ウチに取られないか心配なんでしょ?」
深紅さんは
何を言うかと思えば……。
ウチの美尊は、色気より闘気。
恋愛より家族愛の、優しい~娘なんですよ?
そんな……何でもかんでも恋愛と絡めて生きる学生とは違いますよ!
「いやいや、まさか。美尊がそんな色恋ばかりにかまけた
「――そう。深紅とお兄ちゃんは、あくまで臨時講師と生徒の関係。……他は事務所の先輩と後輩の関係だけだから。お互いアイドル同士という事を忘れないように」
「美尊ぉおおお!? お兄ちゃん、ビックリだよ!?」
え、何!?
美尊さん、
心配しなくても、お兄ちゃんの妹は美尊だけよ!?
―――――――――――
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