第70話 人の世は、こんなにも――……
ケンタウロスは――槍を構えて突進してくる。
槍にばかり気を取られそうだが、猛スピードの
ここは――。
「――美尊、
「うん!――今!」
美尊は
猛スピードで
「――ふッ!」
すると、ケンタウロスの全身が
「ナイスな捌きだ、美尊!」
「お兄ちゃんもナイス連携。凄く戦いやすい!」
「いやいや、美尊が上手くケンタウロスの体勢を崩してくれたからだよ。
「ううん。もっと引きつけてからいなせるようにならないと、強い相手じゃ体勢を崩せない。今回も、お兄ちゃんのパワーがなければ致命的な一撃は与えられなかった」
「美尊は
「お兄ちゃん、褒めすぎ。……体勢を崩しきれなかったのに、助けてくれてありがと」
お互いに戦闘の反省をしつつ、
ダンジョンに誰かと潜ったのは今回が初めてだけど、1人でやるよりも良い修行になるな~。
何より、こうして話していると……美尊との空白の10年間を
でも――。
〈くっつくんじゃねぇよ離れろ〉
〈ベタ付きすぎだろ。美尊ちゃんから離れろボケ〉
〈兄妹で戦闘の反省してるだけだろ。頭わいてんのか〉
〈良い連携! さすが兄妹だな。
〈↑ちっとも微笑ましくねぇよ。アホなん?〉
〈美尊ちゃんの盾にならないで先に突っ込ませるとかそれでも兄貴なの? クソびびりが〉
〈気持ち悪いコメント大過ぎwww〉
〈それもこれも全て大宮愛のせい。こんなコラボをあのクズが決めなければ俺らもこんな事言わずに済んだ〉
〈大宮愛逃げんな。出て来て土下座しろ〉
〈さっきから過激なユニコーン発言してる奴、ほぼ同じじゃん。数人ブロックしたらコメ欄スッキリ〉
流れてくるコメントを見て、俺はまた――
美尊も同じ気持ちなのか、
「……お兄ちゃん、開拓を続けよう」
「……うん、そうしようか」
俺が魔石を拾い、美尊のドローンへと収納する。
それを終えると、また2人で列を作り進む。
コメント欄でも批判されていたから……今度は俺が前に出る体勢にしよう。
本当は後方からの不意打ちにも対処が出来て、戦闘全体を見渡せる後方の方が危険なんだけど……。
パッと見ると安全な場所で隠れているように見えて批判されるから、仕方がない。
「お兄ちゃん……。ごめんね」
美尊が謝る事じゃない。
これは姉御が
そもそも、誰にも叩かれるような事じゃない。
俺は分かっているようで――分かっていなかった。
兄妹が一緒に過ごすという、そんな当たり前の事が……こんなに誹謗中傷の嵐に
〈お前らが兄妹仲良くする事に反対するから2人も悲しんでるだろうが〉
〈だからそれもこれも大宮愛がこんな企画を無理強いしたせいだろ〉
〈私もお兄様みたいに強くなります! 美尊ちゃんも連携良かった! ナイスだよ!〉
〈今の動きだけみてもお互いに信頼してるのが分かる。頑張れ!〉
〈10年も会ってない他人といきなり信頼とかwww んな訳ねぇだろ○ス〉
〈お兄様を批判する奴は私を倒してからにしろ〉
〈大宮愛、どう責任取るの? オイ、周りの大人も責任取れよ。土下座まだ? それでも許さないけどな〉
胃がムカムカしてきて、凄く気持ちが悪い……。
これが大勢から、
姉御の言う通りだ。
今後、俺が長い年月をかけて誠心誠意お願いをした所で――お互いにファンが増えれば、もっと批判のコメントが増えるだけだ。
俺たちの仲が
それぐらい酷い、人の悪意ばかりを感じる。
感想を言うのは良いよ?
でも――悪口は違うだろ。
どうせ姉御や大人たちが頭を下げようと、土下座しようと……唾を吐いて叩き続けるんだろ?
自分の思う通りにならないのが気にくわないから、その言葉で人が傷つく事もちゃんと考えずに……。
学校でクラスメイト数名から批判されるだけでも辛いのに、なんでこのコメント欄の人たちは――人に迷わず悪意をぶつけられるんだろう?
迷わず悪意をぶつけられる人たちのモラルに、俺は信じられないという思いで一杯だ。
匿名だから良いのか?
俺たちが有名人だから?
俺たちがアイドル開拓者だから?
直接顔を見ない、気軽に叩けるネットの場だから?
誰であろうと――誹謗中傷されたら辛いんだぞ……。
同じ人間なんだから、当たり前だろうが……。
人の世は――こんなにも
―――――――――――
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