第118話 素晴らしい仕事の依頼だ!
スタンピードから一夜明けた朝、俺は姉御に呼び出されてダンジョン庁長官室へとやって来ていた。
今日は多くの仕事が休みになる日曜日のはずなんだけどね?
姉御は――あれから
修行時代から思ってたけど、ヤバくない?
俺が知っているだけで、少なくとも2日間は徹夜してるよ?
俺も戦闘や修行なら数日寝なくてもいけるけどさ……退屈な事務仕事は無理よ。
「昨日は良くやってくれたな、向琉」
「い、いえ」
「流石に6カ所のスタンピードを請け負ったのは、向琉でも骨が折れたか?」
「1番骨が折れたのは、姉御の教育的指導……。次点で、旭プロの人たちとの交渉でしたけどね」
「……まぁ盗撮に動揺して組み手を追加したのは、悪かった」
本当っすよ。
対モンスター相手と対人では、全く弱点や動きが変わる。
とは言え、人型のモンスターもいる。
姉御のようにぶっとんで強い開拓者なら、人外の動きもするからな。
魔力や神通力も使って来るから、ぶっちゃけモンスターと大きく変わらない。
姉御との組み手は、実は地上に上がってから1番実力が向上した修行時間だったりした。
乗り越えた今となっては、そう言えるんだけどね……。
またやれと言われたら、
「
「なんか美尊が電話でそんな事を言ってましたね~。なんでも、取り分で揉めたとか」
「ああ、向琉の配信を見返して会話は聞いた。……その場の諍いは深紅が上手いこと収めたらしいが……。その
それは……間違いないな。
四肢欠損などの大怪我を除けば、心は治癒魔法でも治せない厄介なものだ。
一生付きまとい、姉御ほどの強者をも弱らせる。
「姉御は旭深紅さんをシャインプロへ迎え入れた経緯から、表だって動けないんですもんね?」
「うむ。まぁ……私らしく力で制圧するような
それはそうだろう。
それ以外の方法が無い。
やむを得ない状況とは言え、自分が酷い状況の中で姉御らしく力――多分、武力で救い出したんでしょ?
姉御を神のように崇め、武力が無ければ奪われると
「
「現状、姉御だけだと。それはキツいですね……。今回、俺を呼び出したのも……そこら辺の理由ですか?」
俺に何が出来るかは分からないけど……。
前に姉御は、深紅さんの件でもいつか頼み事をするかもしれないと話していた。
姉御なりに、その件で頼みたい何かがあるのかな?
「もしかしたら関係する事もあるかもしれんが、違う。今回は3件、仕事の依頼だ」
「え、仕事? またっすか? それも3件も?」
昨日、スタンピードを収める仕事を終えたばかりなのに。
良いんだけど、最近は自分の配信が出来てないなぁ……。
ダンジョンが自己修正をする前に、
「1つはダンジョン庁としての依頼。もう2つはシャインプロとしてだ。先にダンジョン庁としての仕事を説明する。……当然、話を聞いてから断ってくれても構わん」
「受けますよ? 姉御の所で切らないって事は、良い仕事なんでしょ? 俺は姉御を信頼してますから」
「向琉……」
姉御は、僅かに頬を緩めた。
なんだろう、当たり前の事を口にしただけなのにな。
「ま、まあ……そうか。では一応、説明しよう。
「講師? 俺、高校中退レベルの学力ですよ? それにまた、突然ですね」
「やるのは戦闘訓練のみだ。組み手をして指導をしてもらう。……今回のスタンピードを、各ダンライバーが配信したのだがな? 開拓者への実戦的教育の充実を望む国民の声が、無視できないレベルで押し寄せているらしい。元よりそれは
「羅針盤は、旭プロの所属パーティ。今回の旭プロの
「正にその通りだ。……誰が派遣されるかを民間に公表していなかったからと、
姉御は頭が痛いと言わんばかりに、こめかみを手で押さえている。
シャインプロは姉御の経営方針で、
一番ランクが高いトワイライトは女子校生。
その他は、単独Cが数名にDランクが大量に居る印象だ。
俺もそのDランクの1人なんですがね!
多分、俺が見た感じだと……あと数年もすれば全員が少なくともワンランクは上に上がってるんじゃないかな~ってぐらい、
「俺もDランク……低ランク開拓者ですよ?」
「数字上はな。向琉の実力は今回の一件で、広く認められた。……ルール違反ではあったが、Aランクのスタンピードであれだけ暴れる映像を流したんだ。上も実力は認め、納得するに決まっている」
あ~……。
完全に自分で自分の首を絞めたパターンかぁ。
でもなぁ……。
俺に出来るのかなぁ?
自慢にもならないけど――人見知りだよ、俺?
女子校生ブランドって良く言うけどさ……俺みたいな20代半ばの男からしたら、凄く怖い存在のブランドなんだよ。
美尊は別として『この人、
そうでなくても『あいつキモくない?』とか
「
「やります。絶対やります! 俺にやらせて下さい!」
美尊と同じ学園に通えるだと!?
上手くすれば
うわぁ、頑張ろう……。
超頑張ろう……。
子供の体育祭で張り切るお父さんの気持ちが分かったわ~!
―――――――――――
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