第179話 鬼女!?
「――涼風、先制攻撃!」
「うん!」
深紅さんの合図で、3人は攻勢を開始する。
その速度、手際は流石Bランクダンジョンのボスと言える。
だが涼風さんの速射を弾くので手いっぱいの般若は――。
「――ふっ!」
水を多分に含んだ美尊の槍が放つ突きを、体捌きで避ける。
だが着ている派手な着物は――穂先を避けた所で、ずぶ濡れになっていた。
そこへすかさず、美尊は氷魔法を追撃で叩き込む。
みるみる上着が氷に固まって行くが――1枚着物を脱いだ般若は、着物を美尊へ投げつけた。
濡れた着物が投げつけられ、美尊の視界を塞がれている隙に――般若は距離を取る。
だがそこには既に、小柄な
「――深紅ちゃん、今!」
「ナイス、涼風!」
風魔法を帯びた2本の矢が般若を襲うが――当たると思わせて軌道を変え、着物と床を
そうして一瞬、動きが止まった所で――。
「――そこぉおおお!」
深紅さんによる炎の魔力を宿した片手剣の白刃が――般若を襲う。
般若も縫い付けられた着物を破り、必至に回避して――
だが――。
「燃え盛れ!」
傷跡から炎が燃え上がり、般若はその表情を更にキツく歪めて
「やった! お兄様、今の連携はどうでしたから!?」
「うん、今までで1番スムーズに追い込めてる。でも、お兄ちゃんの意見を聞きたい」
「良い感じだよ! お兄さん先生、どうですか!?」
俺の方を振り向くでもなく、トワイライトが意見を求めてくる。
何を言おうかと考えていると――。
「――おわっ!? そこで俺の方に来るの!? さっきまでよりもメチャ早いじゃん!?」
今まで俺、なんの攻撃もしてない所か近付いてすらなかったのに!
なんで急に
それどころか身体中から魔素を漂わせ、目からは血の涙を流し憤怒に表情が歪んでいる。
俺が何をしたと!?
俺の頭に突いているVRカメラで映像を見ている人は、当然そんな世にも恐ろしい表情をした鬼女を眼前に見る訳で――。
〈怖い怖い怖い! メッチャ怖いぃいいい!〉
〈人型モンスターのが近付かれると怖いぃいいい!〉
〈
〈心臓を短刀で
メチャクチャ怖がっていた。
まぁ迫力はそれなりにあるよね。
「ん~、俺は邪魔をしないつもりだったんですけど……。なんで俺の方に来ちゃったんですかね?」
それが謎だ。
敵意も見せなかったから、弱そうと思われたのかな?
〈あ、般若って『嫉妬と憤怒の業火に燃える女性の念』がモンスターになったんでしょ? 女性の気持ちが一斉に地底人に向いたのを察知したんじゃない?〉
〈確かに、3人が同時に話しかけてたからなw〉
〈この般若さん、3股の浮気でもされた念が籠もってるのかな?〉
〈つか大神向琉さんは、なんでそんな冷静なの!? この距離で見る鬼女が怖くないの!?〉
いやぁ……。
怖くないの、とか聞かれましてもねぇ……。
「ん~……。この程度の鬼女っぷりでは、別に怖くないっすかね。そもそも見た目だけで女性に
〈草www〉
〈お姉様は恐ろしさも魅力なんですwww〉
〈大宮愛と般若の勝負は、大宮愛の大勝利ぃいいいwww〉
〈確かに、なまはげより姉御が来た方が泣くかもしれんwww〉
〈姉御は優しさと乙女を内包してるから! 怖いのは表だけだから!〉
〈↑その表が弟弟子からすると怖すぎて、般若にも勝る恐怖だと言うwww〉
お、姉御の名前を出してもコメント欄が荒れない。
みんな姉御の恐ろしさと同時に、優しさも理解してくれてるな。
そうそう。
見た目だけで人を判断したり、偏見を持つのは――。
〈¥200
大宮愛:ほう〉
――ハッ、内側から魂が喰われる気配!?
や、ヤバいぃいいい!
姉御、海外でお偉いさんと秘密の会議中じゃないの!?
せ、背筋に氷魔法がぶち込まれた感覚!
―――――――――――
ここまで読んで下さり、誠にありがとうございます!
楽しかった、続きが気になる!
という方は☆☆☆やブクマをしていただけると嬉しいです!
ランキング影響&作者のモチベーションの一つになりますのでよろしくお願いします!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます