第28話 side トワイライト(4)
「……ウチは
「……うん」
「ダンライバーを
「……お兄ちゃんは、普通の開拓者じゃないよ?」
「……それは、分かってる」
10年間。開拓者ではなかったけど――お兄ちゃんはSランクダンジョンで生き抜いた。
それだけでも
そんな
事務所の方針か災害か。
「……お兄ちゃんと旭マネジメントの成功例……看板ライバーの『
「――そんな事、分かってる! 美尊のお兄様は旭マネジメントみたいに金儲けが目的じゃないことぐらい、分かってるよ!……でも、無茶なやり方で強くなったのは同じ。これが広まれば、真似をした開拓者が命を落としちゃう。……それに、
ギュッと、爪が食い込みそうなぐらい強く拳を握り込んだ。
過程は違えど――結果は同じか……。その通りなのかもしれない。
危険度が実力より高いダンジョンに挑んで、一気に強くなる。
そしてランクに
「
堅実に積み重ねる事こそが大切。
そう
「……なんなんだよ、
「このままじゃ、ウチらの登録者100万人も、あっという間に抜かれちゃう。ダンライバーとして、開拓者として求められる全部が否定されるなんて……。そんなの、嫌だ。……嫌なんだよ」
ああ、そうか。
お兄ちゃんとシャインプロが育てる開拓者とは――もっと決定的な違いがあるのに。
きっと深紅は、今のお兄ちゃんしか見ていないんだ。
「……深紅。深紅は目の前に突き付けられた
「――うるさいッ!」
子供のように頭を振り回し、深紅は勢いよく立ち上がった。そのままギルドから外へ出る扉へ
私はソファーから立ち上がり深紅の背中を見つめたまま――
ちょっとビックリして、動くのが遅れちゃった。
「……ゴメンな。
「そんな事はない。お兄ちゃんは特別。……でも
私が視線を向けると、
やっぱり、みんなちゃんと深紅の積み重ねて来た努力と実力を認めてくれていた。嬉しい。
「ただお兄ちゃんは、もっと強いだけ」
「みみみ、
「ちょっ、
事実を言わないのは、悪い事。
優しい嘘なんて、結局は最後に傷つけるだけなのに……。なんでこんなに焦ってるんだろう? 私が間違っているのかな?
深紅は「ふっ」と
「――普段はさ……
背を向けたまま苦しそうに語る深紅に、私たちは何も言葉を返せない。
川鶴さんが車を運転して涼風を家に送り、私と深紅を寮に送り届けるまでの間、車内には
川鶴さんを
言葉を発する空気感ではない。
特にお兄ちゃんが配信を始めてからの車内は、本当に息が詰まるような空間になった――。
―――――――――――
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