第77話 白星
正直、久し振り過ぎて存在すら忘れてたけど――。
「――
大神家に
「ふんっ……。このままだと、ほぼ間違いなく向琉は死ぬ。お主の望む通りにな」
「……だろうね」
「……じゃが、それでは折角
「――協力?」
「
それは……。
俺が、ずっと知りたかった謎だ。
こんな
ましてや、そんな
今になって考えても、意味が分からない。
それに、俺の1番のトラウマ――
まさか冥土の土産にそれを教えてくれるのが、協力だって言うつもりじゃないだろうな?
「
「なんッ!?」
危なかった……。もし今、隙を見せれば――お互いに致命傷を与え合う事になる。
「あのような
「それが出来れば、苦労してない……」
俺は――ジジイが死んだ時、
その時だって、刀身は5分の1も抜けなかったんだぞ!
ジジイが俺を破門同然にした理由は――なんとなく分かった。
どうせ太祖しか触れられなかった御神刀に、俺が触れられたから――俺が太祖同様、人の世で生きるのが認められないような、化け物として迫害される未来を怖れたんだろうさ。
ああ、
「
「……くっ」
「今は
太祖というのは、天心無影流の創始者なんだろうね。
つまりは、俺の遠いご先祖様。
人の世で生きていけないぐらいの強さを持つ者でしか――封印できなかった相手。
それが
だが俺は――10年間、俺の精神が壊れないように
だったら――。
「――はぁあああああああああッ!」
抜けろ、抜けろ、抜けろぉおおおおおおッ!
なんだ、なんなんだよ、この硬さはッ!?
でも、ここで刀身を抜けなければ――美尊が死ぬ!
「抜けろよぉオオオオオオオオッ!」
「なっとらんのう……。天心無影流の
天心無影流の体得すべき物――神通力に、武器を選ばず一体となる教え!
そうか、力任せではダメなんだ!
魔力や無駄な力みを排除しろ!
身体中の
抜けるのは当然の結果。
自分の身体なんだから、
「――半分と少し、か。……現状の神通力の扱い方で考えれば、上出来じゃな」
まるでドライアイスを一面に
「向琉、刀へ込めた神通力での
俺の膝下までを埋め尽くす広い煙……。
その中に立つ、1体の――くつくつと笑う、モンスター?
「失礼な……。下等なるモンスターと
神秘的な迄の美しい銀毛、身震いするような魔力。
だが――。
「――ロリじゃん」
俺の背丈の半分……は言い過ぎか。
でも、腹ぐらいだから……140センチメートルにも届かないぐらいかな?
「だ、誰がロリじゃ! この無礼者めが!」
「あ、このテンション。間違いなく
さっきまでの無駄に格好付けた重々しい感じは――らしくない。
これでこそ、
うん、愛されるイジられキャラ!
「だ、誰がイジられキャラ――」
――ドッペルゲンガーに背を向け、身体一杯俺に抗議している白星の背後から鋭い拳が飛んでくる。
白い靄から突如として現れた拳に、
「――そうじゃった。……お主には、
ちびっ子の顔でニタリと笑った
暴れても暴れても、その
つまり――あそこで
見た目こそ可愛いロリだが、やっぱり
「さぁ――ゆくぞッ!」
いや、そう感じる程――
技もへったくれもない。
実際には、
だが、それだけで――。
「――ふぅ。……もう
ギュオンッと、まるで空気清浄機に吸われる煙のように――
カチンッと、
残っていたのは……
そして――。
「――みみみ、美尊さんっ!? その姿は!?」
「……えっ? あれ、無い?」
―――――――――――
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