第94話 初スパチャ!

「あれ? この色が違うコメントって……。――まさか!」


〈¥1,000

うおおお! 収益化通ったぁあああ!〉

〈¥30,000

おめでとう! ご祝儀!〉

〈¥500


マルチバース社が遂に『あたおか』を認めたぞぉおおお!〉


「へぁ!? あ、あの!?」


 この色が違うコメントに付いてる数字って、その額を配信者にプレゼントするって事だよね!?

 3割が手数料で引かれて、残った額の1割が手元に入るとしても……ヤバいって!


「ちょちょ、皆さん!? お金、大丈夫なんですか!? お金稼ぐのって大変なんですよ!?」


〈¥2,000

そうだよな。大宮愛にイジメられて大変だよな〉

〈¥10,000

これはスポンサー代!〉

〈¥5,000

ダンジョン飯も良いが、美味しい物食べて!〉

〈¥10,000

これは美尊ちゃんの装備代に当ててくれw〉


 はわわわ!?

 嬉しいけど、怖い!

 こんなに簡単にお金が手に入るとか思ったら、自分の情操教育に良くない!

 怖くて震えるんだけど!?


「み、皆さん。1度落ち着きましょう! 収益化申請が通ったのは嬉しいです! 地上に上がり、美尊と一緒に居られるようになるまで……。そして収益化が通るまで、皆さんには沢山支えてもらいました! 本当にありがとうございます! だから1回、お金は落ち着きましょう!?」


〈¥3,000

そうだなぁ、色々あったよな。本当に報われて欲しいよ〉

〈¥50,000

人類を恨んで当然なのに、こうして楽しませてくれてありがとう!〉

〈¥10,000

美尊ちゃんとのコラボでの炎上とか、今に辿り着くのに苦労しただろうな……〉


「いや、その! 確かに美尊と今のように過ごせるようになるのには、凄く苦労したり人の想いに支えられましたが!」


〈¥5,000

これは美尊ちゃんとのランチ代!〉

〈¥30,000

ならこれは美尊ちゃんとの洋服代!〉


「ちょっと待ってぇえええ!? 皆さん、そんなお金持ちばっかりなの!? お金は大切にしないと行けないんですよ!? 自分と大切な人を幸せにする為に使う物なんですよ!?」


〈¥50,000

その通りだな、幸せになる為に使うぜ!〉

〈¥10,000

ここが投げ時とみた〉

〈¥50,000

お兄様ぁあああ! 転生したらお兄様の妹としてお尻を眺めますぅううう!〉


「ぁあああ! 止まらないよ!? 何これ、怖い! 転生してまで尻を眺めるとか言ってる人もいるし、怖いって!」


 5万円を投げて言う事がそれで良いの!?

 ダメでしょう!?


〈¥50,000

お兄さん。これは先日、相談に乗っていただいたせめてものお礼です!〉


「い、いえいえ! 相談なんていくらでも相談枠で乗らせていただきますから! その、最近はコメントも増えてきたから全員とはいかなくて申し訳ないですが……。お金は結構ですよ!? プライスレス、お金に換えられない価値がある! そうでしょう!?」


 1回気持ちの整理をしたい!

 止まってぇえええ!


〈¥50,000

お前ら、あたおかが止めろって言ってるだろ!〉

〈¥10,000

これ少ないけど返済費用に〉

〈¥1,000

お、そうだな。止まれよお前ら!〉

〈¥50,000

お兄様ぁあああ! ああ、お兄様の通帳に刻まれる幸せぇえええ〉


 止まれって言いながら、自分も投げてるじゃん!?

 なに、このノリ!

 そしてお兄様と呼んでる人の中で、1人ヤバい応援の仕方をしてくれてる人がいる!

 アカウント名、覚えたぞ!?

 というか、スポンサーとしてTシャツに書いた人の1人だ!


〈¥50,000

お兄様。少ないですが、これは本日の講師費用です〉


「あなた、もしかしてジャイアントブラックパイソンの時の人ですか!? あんなの、配信者として当然ですので……無理しないでください!」


〈¥50,000

お気になさらないで下さい。ウチもそれなりに稼いでる開拓者ですから〉

「あががが!? もうこれで10万円!? なに、開拓者ってそんな稼げるの!?」

〈¥50,000

本当はもっと送りたいのですが、これが上限で〉


「もっと送らなくて良いですから! あなたが命を賭けた開拓で稼いだお金、大切にしてください!」


〈¥50,000

今後とも、至らぬウチに色々と教えてやってください〉


「もう土下座しながら教えます! 合計20万円って……。もう、泣きそう! 嬉しさと申し訳なさで! 返金して欲しい時は、俺の手元に残った分は全額お返ししますから! メッセージくださいね!?」


 怖すぎる!

 いくら大金を稼ぐ開拓者とは言えど……。

 ポンッと出して良い金額じゃないよ!?

 そうして慌ててると――。


〈¥50,000

伊縫美尊:お兄ちゃん。収益化おめでとう〉


 俺の妹、美尊がスーパーチャットしてくるコメントが映し出された。


「美尊ぉおおお!? お兄ちゃんに5万円渡したらダメぇえええ! お金は自分のやりたいことに使いなさい!」


〈¥50,000

伊縫美尊:私が開拓配信で稼いだお金。お兄ちゃんに助けられてるし、こう使いたい〉


「へぁあああ!? ちょちょ!? み、美尊! 待ちなさいよ!?」


〈¥50,000

伊縫美尊:慌ててるお兄ちゃんも可愛い。大丈夫。私もそれなりに稼いで来たし、開拓以外に使わないから結構貯めてある〉


「にしてもよぉおおお!? こうなったら、禁じ手だ!」


 俺はポケットからスマホを取り出し、通話ボタンを押す。

 数回のコールの後――。


『……お兄ちゃん。開拓配信中に通話は、ちょっとダメなんじゃないかな?』


 スピーカーから美尊の美しい声が聞こえた。


「ダメなのかもしれないけど、それ以上に妹から10万円のスーパーチャットをもらうお兄ちゃんの方がダメだと思うのよ! 明日、お金の使い方について一緒に話そうね!?」


『うん。明日、地上に戻ってから初めての街ぶら……。楽しみにしてる』


「うん、俺も楽しみにしてるよ。それじゃ、今日はもうお金を使うことなく寝なさい!?」


『うん。……お休みなさい』


 はぁ……。

 可愛い。

 少し眠そうにお休みなさい、とか。

 明日の午後、街でお茶をするのが楽しみだ。


〈¥50,000

兄妹音声コラボ尊い〉

〈¥2,000

こんなファンサービスないわ感謝!〉

〈¥50,000

明日兄妹で街をぶらぶらすると聞いて。よかったなぁ、あたおか!〉

〈¥500

皆に比べると少ないけど、せめてもの〉

〈¥50,000

向琉。食費に充ててくれ〉

〈¥3,000

少ないけど、スポンサーとしてせめてもの気持ち!〉

〈¥5,000

じゃあこれはスポンサーとしてプロテイン費に〉

〈¥10,000

プロテインwww〉

〈¥30,000


じゃあこれはロリ銀狐の養育費に! 身長はそのままでお願い!〉


「へ、へぁああああああん!?」


 美尊との通話を切った後、滝のようにスーパーチャットが流れてきた。

 気持ちの整理が追いつかないから、もう勘弁してくれとカメラに向かい土下座し続け――もう1度現れたシルバーバックを倒したのを最後に、今回の配信は終わりにした。


 ボスの間でやるべきじゃなかったね!

 うん、反省!



―――――――――――

ここまで読んで下さり、誠にありがとうございます!


楽しかった、続きが気になる! 

という方は☆☆☆やブクマをしていただけると嬉しいです!

ランキング影響&作者のモチベーションの一つになりますのでよろしくお願いします!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る