生き別れの妹とダンジョンで再会しました 〜10年間ダンジョン内で暮らしていたら地底人発見と騒がれた。え、未納税の延滞金?払える訳ないので、地下アイドル(笑)配信者になります〜
第115話 姉御の報酬は? やってやるぜぇえええ!
第115話 姉御の報酬は? やってやるぜぇえええ!
俺は姉御と
姉御も配信が終わったなら、俺を守る為に悪役を演じる必要もない。
そうやって、少し気を緩めてくれたようだ。
とは言え――常在戦場の精神は忘れていない。
周囲のモンスターへの警戒は
「……済まんな、向琉。私が
「いえ、俺こそ……。俺が
「ふっ……。何度も言うが、気にするな。私が好きでやった事だ」
「でも……。姉御は俺が地上で自由に生きて行けるように環境も整えてくれて……。美尊と居られるようにもしてくれたのに。収入だって、契約を見直したり更に整えてくれると言ったり……。そんな大恩ある姉御に、俺は何1つとして恩返しが出来ていないっす」
つくづく、自分が情けなくなる。
この上、姉御が開拓者やダンジョン庁長官として情けないみたいな印象を配信で流す事になるなんて……。
「恩返しなどと、
背中を合わせ、連携をして戦ったからだろう。
姉御が
俺の成長を肌で感じられ、浮かれているのかもしれない。
「
「お前が言うな」
冗談に冗談で返す姉御の表情は、優しいものだった。
まぁ……そうね。
自衛隊の装備で、火を吐いたり水を生み出し大気を凍らせたり、姿を消したり目にも止まらぬ速度で動くモンスターに対応出来たとは思えない。
お互い、この10年で人外になったもんだなぁ……。
「姉御の言っていた通り、
「うむ。
「はい! 特に姉御と戦った時には、一段階上のステージに昇ったのを感じましたよ!」
視覚に頼らず肌に触れる触覚や空気を流れる聴覚まで取り入れ、
姉御の動きを間近で体感して合わせられたのは、本当に良い経験になった。
Sランクダンジョンに落ちてた時は、
「うむ。神通力の
「や、やっぱり……さっき姉御が罰金と決めなかったら、その可能性もあったんでしょうか?」
「少なからず、な。功績は功績として報酬は与えられるだろうが、同時に1ヶ月ぐらいの
「は、はい。……居ても経ってもいられなくて」
「それならば、
お、おう……。
成る程。
俺が思っている以上に、ランク以上のダンジョンへ潜るのは重いルール違反のようだ。
「罰金と確定させたとは言え……。こうしている間にも、
そう言って姉御は、魔石を拾い出す。
そして拾った魔石を、俺が持ってきたドローンの収納箱へ全て入れる。
「あ、あの……姉御? それは俺の収納箱っすよ? 自分のに入れないんですか? あ、それとも地上で換金後に報酬を分けるとか?」
「何を言っている。私は要らん。向琉が全て持って行け」
「で、でも!
「――気にするな。言っただろう? 金の使い道に困るなら、貯めておけ。美尊と幸せに暮らせる環境を早く手に入れる為に、な」
「で、でも……。それじゃ、姉御の報酬が……」
俺は申し訳なくて俯いてしまう。
姉御はそんな俺の様子を眼にし、魔石拾いを中断して――歩み寄って来た。
「私の報酬など、気にするな。
15センチメートルぐらい身長が高い俺の頭に、姉御がポンと手を乗せて
そうして優しく俺の頭を
「――……これは、まさか!?」
俺の頭に設置していたVRカメラが手に当たったのか、大きく目を剥いた。
姉御……
そうして俺は、ミュート状態にしていた配信リンク式腕時計の自動読み上げ機能を――音声ありに変更する。
思わず――ずっと我慢していた笑みが
―――――――――――
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