生き別れの妹とダンジョンで再会しました 〜10年間ダンジョン内で暮らしていたら地底人発見と騒がれた。え、未納税の延滞金?払える訳ないので、地下アイドル(笑)配信者になります〜
第104話 別にアレを倒してしまっても――
第104話 別にアレを倒してしまっても――
「
「はい。あの黄色い龍だけは……必ず討ち果たす。ジジイの
これだけは、地上に上がって幸せな生活をしていても……
ダンジョン災害の起きた日、俺の眼前で事切れたジジイの
あいつは、この世に存在して良い存在じゃない。
今はダンジョンに居るのか、外に居るのかも分からない。
たとえボスモンスターのように復活しようとも――2度と復活が出来ないぐらいに叩きのめす。
「分かった。――開拓者ギルドとダンジョン庁の総力を上げて情報を探そう」
「ありがとうございます!」
よっしゃ!
実質、国の全ての情報が揃うじゃん!
やったね!
「いや……礼を言うのは私の方だ。正直、その条件を提示してくれて助かったぞ」
「……と、言いますと?」
「ダンジョン庁の力を使おうと、私は
あれだけの巨体なら、
龍にやられた血だらけのジジイが道場へ飛び込んで来た直後、災害が起きたからな。
あの場所の近辺は『
目撃者も、被災してしまったのだろうか。
「ダンジョン庁はダメでも――開拓者ギルドなら話が別だ。ダンジョン庁よりも余程、あちらの方が
「そうなんですか?」
正直、違いが良く分からない
「ダンジョン庁は災害後、数ヶ月経ってから出来た組織。ダンジョン災害の事や、初期の情報はかなり少ない。それに私が
へぇ……。
そう言う違いがあるのか。
つまり、開拓者ギルドとダンジョン庁は協力関係の仲良しで居たいって事か。
「それなら、期待が出来そうっすね」
「うむ。開拓者の中には、ダンジョンの何処かで黄色い龍を目撃した者がいる可能性もあるからな。報酬要求を伝え、大急ぎでギルドにも調べさせよう」
「大急ぎって……。ちなみに、そのスタンピードは何時なんです? 目安とかあるんですか?」
ずっと待っていろと言われても、キツい。
日付が分かるなら、それが1番だ。
「言いにくいのだが……明日の朝だ」
目線を
あと1日もないのか。
成る程。
急な話だという事もあって、引け目を感じていたのかな。
「今回のスタンピードは、かつてない程に活性化の速度が速い。テロ組織サイドも、ダンジョンの
ダンジョンは、そもそも存在から謎だ。
ただ――世界で一斉にダンジョンが出来て、這い上がってきたモンスターが人を殺してまた一斉に戻って行った。
それだけだと聞いている。
姉御に言われて見ると、ダンジョン誕生時の現象にはスタンピードと共通点も多い。
テロ組織は、そのメカニズムに近付いているという事なのかな?
「長く待たされるより、余程良いっすよ! そもそも、常在戦場でしょう?」
グッと、親指を立ててそう言う。
なんなら、俺はこれから直ぐ戦いでも良いぐらいだ。
姉御は、そんな俺の姿を見て
「明日の光景、向琉は配信をしても構わない。人類側には心強い味方がいると、反テロ組織へ知らしめる結果になるだろう。同時に――スタンピードを
「垂れ流し配信って……。確か、何か作業をしている
「うむ。……明日はコメントを拾おうとは考えるな。魔石を出そうとも欲張るな。その分、十分な見返りは用意する。いつものように
成る程、
結果的にそれが1番、10分間の制約をクリアするのに繋がるだろう。
それより――。
「姉御? 俺に……
「ああ、言った。それがどうかしたか?」
これは――あの
「
言えた!
決まったぁ~!
これ、地上に居た頃に視たアニメですっごい
「ああ、全て
しかし、姉御は普通に返事をしてきた。
うん……。
姉御は知らないだろうからね?
こういうのは、知っている同士じゃないと盛り上がらんわな……。
「あ、はぁい……。頑張りまぁす」
「何を落ち込んでいる? それと当日、万一5番目を終えて余裕があれば――もう1つ、Cランクダンジョンへと応援へ向かって欲しい。ここだ」
姉御が指さした地点は、5個目からほど近いCランクダンジョンだ。
「別に良いっすけど……他の人が担当するんじゃないんすか?」
「ああ……。そうなのだが、そこは旭プロが全て任せろ、と言ってきてな。正直、あそこは信用ならん」
「
今思えば、あんなのは口約束でしかない。
移籍を
「あれだけの好条件を出したのに断られるとは、
「いえ、全く? あ、そう言えば聞きたかったんですよ。
正直、姉御が
やり過ぎ感があったのも否めない。
「ふん。取り分契約が2割や3割だとしても、旭プロは全員が必須でパーティを組ませる。そうすれば、2割の報酬を山分け。仮に4人パーティなら……向琉が受け取る額よりも少ない。数字のマジックだな」
「おおう……。成る程、
美尊とパーティを組ませる提案にも、そういう意図があったのか。
個人チャンネルじゃなく、パーティのチャンネルをほぼ毎日のように稼働させるのか。
パーティでより高ランクダンジョンに挑ませる事で、より高い報酬も目指せるのかもしれない。
「それに向琉の
「……と、言いますと?」
「男性アイドルや女性アイドルだけだった事務所が、急に1人だけ男性アイドルを
超有名なアイドル事務所と、そのファンを思い浮かべる。
そこにたった1人、特例で異性が所属するとなったら……。
あ、それは――死ぬな。
―――――――――――
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