第103話 俺の望む報酬は――
「勿論、やりますよ! やらせて頂きますから頭を上げてぇえええ! もうダンジョン災害みたいなのは、嫌ですからね! 深紅さんのような被害者も、作りたくありません!」
「そうか、ありがとう。……通常、スタンピードはその異常なモンスターの数から、開拓者ランクの1個下のダンジョンへと配置されることが推奨される。……だが今回、活性化が観測されたダンジョン数は異常だ。――正直、高ランクで実力を有する開拓者が足りない」
本来なら、Dランク開拓者の俺は……Eランクのダンジョン担当だったのかな?
そのレベルだと自衛隊だけで対処が出来るモンスターだろうから、不参加も有り得るな。
俺が任される所は本来――Bランク開拓者が担当するようなダンジョン。
しかもそれが5個とは、特例だなぁ~。
「姉御は、俺なら出来ると見込んで言ってるんすよね?」
「……その通りだ。――300体のモンスターを連続3回、合計900体のモンスターをパフォーマンスしながら倒した実績がある向琉なら、1人でも対処可能だと見込んでいる」
さ、昨夜の配信……姉御視ていたのか。
川鶴さんから報告を受けたのもあるかもしれないな。
俺の筋肉が、惜しげもなく姉御のお目々に……。
「――しかし今回は、移動も含めた時間の勝負でもあるんだ。遅れると人が死ぬというプレッシャー。単純な武力以上の苦労も負担する事になる」
成る程、ね。
単純にモンスターと戦うだけなら、姉御もこんなに申し訳なさそうにはしない。
本来なら、俺に余計なプレッシャーを掛けるような仕事は任せたくないから……これ程に申し訳がなさそうなのか。
「姉御が俺なら出来ると思っているなら、俺はやりますよ? その間、姉御も遊んでいる訳ではないんでしょう?」
「当然だ。……私は
「Aランクを2つ!? つまり、600体ものAランクモンスターを相手にするって事っすか!?」
Aランクって事は、俺が住んでたダンジョンのモンスターと――1つしか能力が変わらないんでしょ!?
あのレベルが300体一斉に襲って来たら、俺は死ぬかもしれん!
600体なら、まず死ぬ!
あれより少しは弱いだろうとは言え、移動も含めて2つ!?
姉御は流石だなぁ……。
これも――ダンジョン庁を騒がせた禊ぎの1つなのかもしれない。
「ああ。……日本にもう1人居るAランク開拓者、旭プロ所属の
「そ、それなら俺もAランクを片方――」
「――向琉は、まだBランクダンジョンすら経験していない。Sランクのモンスターより間違いなく弱いが、数や特性の違いで不覚を取らないとは限らんからな。……それに、政府やギルドなどの上層部は兎に角、前例や実績を
そうだった。
確か、3階級以上ランクが高いダンジョンへは潜っては行けないんだった。
それを
だから俺も、やっとBランクへ潜れるぞ~と楽しみにしてたんだ。
「……よって、向琉にはCランクダンジョンを複数任せようという話が上から降ってきたのだ。どうか、5つのダンジョンからモンスターが地上へ
ダンジョン庁の上――おそらく防衛省さんも、公安も……バッチリ俺の監視をしているなぁ~。
つまり俺の視聴者の中には、役所のお偉いさんも居ると言う訳で……。
俺のフィジークも――真面目な報告書にしたのかな?
そうだとしたら、
「美尊たちのパーティ、トワイライトもCランクダンジョンを任される事になっている。他、いくつかのパーティ開拓者と一緒にな」
今日、そんな事は美尊が口にしてなかったけど……。
まぁ久しぶりの
話に花が咲いている中、
「成る程。勿論、俺も美尊たちと同じように頑張りますよ! 5カ所、引き受けさせていただきます」
「そうか。ありがとう、助かる。……これで私は、Aランクダンジョンへ専念が出来るな」
え、もしかして俺が断ったら――Cランク5カ所とAランクへ行くつもりだったの?
人間、止めてない?
流石に自衛隊に任せるとかであって欲しい。
Cランクモンスター1体で、最新武器を備えた精兵1人と同等って言われてるんだから。
数の事だけを考えた単純計算なら、自衛官が300人以上居ればなんとかなる筈だしね。
とは言え……だ。
俺がギルドやお偉いさんから、デタラメを押しつけられているのなら――。
「喜んで引き受けますが――望む成功報酬があります」
「聞こう」
即座に答えた姉御に、俺は眼に力を込めて――。
「――ジジイを殺した……黄色い龍。その居場所などの情報を求めます」
そう望みを口にした。
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