生き別れの妹とダンジョンで再会しました 〜10年間ダンジョン内で暮らしていたら地底人発見と騒がれた。え、未納税の延滞金?払える訳ないので、地下アイドル(笑)配信者になります〜
第128話 学生生活で飯に誘われる? ファンタジーか?
第128話 学生生活で飯に誘われる? ファンタジーか?
そうして4組――600人の授業を終えた昼休み。
「人数、多いなぁ……。これでまだ3年生がやっと終わっただけとは……」
「お疲れ様です。大神先生」
「あ、ありがとうございます」
結局、ずっと傍に居てくれたな、教頭先生。
俺の傍でサポートをするのが、今日の仕事なんだろうか?
でも、お陰様で教頭先生には少しだけ慣れた。
少しだけね?
「大神先生は、お昼は弁当ですかな? それとも食堂を使われますか?」
「あ、えっと……。出来れば、食堂を。その、妹と――」
「――お兄ちゃん。迎えに来た!」
美尊の声、気配!
バッと振り向くと、肩で息をした美尊が体育館の入口で手を振っている。
「……あれは、
教頭先生は、困ったように表情を
確かに、4時間目の終業チャイムは先ほど鳴ったばかり。
美尊には、俺から注意しておくか?
うん、そうだな。
どっかからブーメランが突き刺さってるぞって言われそうだけど――ルール違反はダメだからね。
身内の俺から注意しないと。
俺と教頭先生は、館内入り口に立つ美尊へと歩み寄って行く。
「美尊? 廊下を走ったらダメだよ? ルールだからね」
「お兄ちゃんにだけは、ルール違反で怒られたくないかも」
「……だよね~。俺、
思わず「はっはっは」と笑ってしまったが――教頭先生の視線が痛い!
い、今は教師なんだし……。
過去の事は横に置いといて、注意をしないと!
「美尊ちゃん! やっと追いついた!……もう、ダメだよ」
「あ、涼風」
あ、俺が注意しなくても那須さんがしてくれそう。
うんうん、那須さんは真面目そうだしね。
仲間内で注意し合う
いやぁ~。
ブーメランを自分に突き刺しながら注意しなくて済んで、良かった~。
「
「……ごめん。気を付ける。今日だけ、どうしても抑えが効かなかった」
「「ちょっと待って?」」
俺と教頭先生の声が奇跡的にハモった。
今、なんて言った?
廊下を走るより、もっとエキセントリックな移動方法で来たとか何とか……。
「美尊? 人間らしい移動をしなさい?」
「う~ん……。反省はしてるんだけど、ね? それもお兄ちゃんとか愛さんにだけは――注意されたくない、かも?」
「……だよねぇ」
またしても、ブーメランでした!
そうよなぁ……。
俺もそう思うよ。
俺と姉御は、屋上どころか宙を駆けてる訳だしなぁ……。
俺――教師に向いてないのでは?
いや、歩く
「美尊。俺の事は――反面教師と思って注意を聞きなさい!」
「いや、大神先生? その注意方法は
教頭先生が頭を抱えてしまっている。
そんな事を言われましてもねぇ……。
改めてよく考えたら、人に注意を出来るような常識的で
それだけの話なんですよ!
「ごめんなさい、教頭先生。お兄ちゃん。……もう、しません」
ふざけすぎたと思ったのか、美尊は深々と教頭先生や俺に頭を下げてきた。
うん、俺より人間が出来ている。
謝るべき時には、しっかりと謝れる人間であるべきよね!
妹の成長が嬉しいよ!
教頭先生は頭が痛そうに「午後の授業開始時刻には、またこちらへお願いします」と告げて去って行った。
あの人からは魔力を殆ど感じないし、多分開拓者としての資質というよりは教育者としての経験から教頭になったんだろう。
晩年になって、自分の常識外の生徒たちの中に放り込まれるなんて……。
教育者も大変だなぁ~……。
「――美尊、涼風。やっぱり、ここに居た」
「あ、深紅だ」
「深紅ちゃん! 今、私もメッセージを送ろうとした所だよ。食堂行こう」
2人を迎えにきたらしい。
制服姿の深紅さんは、苦笑しながら飛び込んで来た。
言葉から察するに、この3人――トワイライトの面々は、学校でも食事を共にするぐらい仲が良いんだろうな。
「……大神先生。先程はご指導、ありがとうございました。勉強になりました」
「あ、いえいえ。身体は大丈夫?」
ビシッとした動きで深紅さんは頭を下げてくる。
先ほど
しっかりした子だ。
肩が脱臼するような痛みって、かなりキツく疼くはずなんだけど……。
靱帯をぶち破るような脱臼の仕方だったし、俺の治癒魔法では
「はい、大丈夫です! ウチも開拓者ですから、痛みには慣れてますんで! それに、気持ち良い痛みでした! 大神先生、上手いですね!」
「言い方ぁ! 授業で肩が外れた痛みだからね!?」
なんで少し
美尊や涼風さんに誤解されないように、慌てて
「ん? どうしたの、お兄ちゃん。なんで慌ててるの?」
「あ、いえ……。なんでもありません」
首を傾げキョトンとしている美尊を見ると、自分が汚れている気分になる。
俺、やっぱり教師に向いてないのかなぁ……。
涼風さんは、俺の背後に寄り小声で――。
「――美尊ちゃんは
そう真顔で
涼風さんは――R指定の知識、がっつりありそうね?
もうちょい恥ずかしそうに言うか、そう言う話題に抵抗が在る方が教師としては安心なんだけど……。
「大神先生。食事が終わったら、少しでもまた指導してくれませんか? ウチはどうしても強くなりたいんす! 手合わせでなく、指摘された事の修正を図る1人稽古を見てもらうだけでも構いません!」
「あ、はい。喜んで」
「ありがとうございます! 貴重な休み時間なのに……嬉しいです! さ、ご飯行こう!?」
深紅さんもまた、強さへ純粋。
「お兄ちゃん先生。――なんかこれ、ハーレムみたいですね?」
「こ、コラ! 俺をからかうのは止めなさい?」
からかうように言う涼風さんが1番、学生を
と言うより、一般の感性に近いバランサーなんだろうな。
あらゆる場面で、極端な2人をサポートしている。
そんな気がしながら――俺は3人と食堂へ向かった。
―――――――――――
ここまで読んで下さり、誠にありがとうございます!
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