第186話 気骨、意気、粋
「天下の権力者であるダンジョン庁長官様が、私のような
『この度は、感謝します。――ギルドを
「……成る程、それならば誰も違反にならない。唯、あなたは大きな損ですなぁ……。これだけの質の魔石、量だ。相場である3%の仲介手数料と消費税をギルドに払い、魔石価格を旭プロに払う。その上で再度仲介手数料と税を引かれた額でギルドへ売却となると……。だいぶ、あなたの赤字額がデカイですぜ?」
『それでも命よりは比べ物にならんほど安いですな。何せ、金なら稼げば良い。大切な者の命は、金と違い
「――
『…………』
「
『……ほう』
「だが
『……心より、恩に着ます。……つまりこれは、たとえ柔軟で気骨ある貴方が規律を重んじる開拓者ギルドを
「……成程、ね。それは涙腺も崩壊しますなぁ。この魔石は全て、スタンピードの時に大神さんが倒したモンスターの魔石を、旭プロがネコババしたものだった。元から正当な所有権は大神さんにあった。そう事務処理を押し通したくなるぐらいに、ねぇ」
な、なに、この2人の会話……。
これは――俺も期待に応えなければ!
美尊、涼風さん、深紅さん――そして、旭柊馬社長。
俺が行くまで――生きていてくださいね!
『向琉、聞こえるか?』
「は、はい! 聞こえてます!」
『ダンジョンに入ったら、お前がカメラを流せ。アホ
「りょ、了解です!」
「……はん。どっちが粋な人物かね……。ありがたく、
『弟くん、いや……
「エリンさん、居たんですか……」
『勿論、誰が愛くんに知らせたと思っているんだい!? 私にも心打ち震える感動と、愛くんがここまで
声がデカイ!
耳がき~んとする!
なんてしている間に――最後の魔石鑑定が終わった。
結果は――。
「――査定と開拓者カードへの反映が完了しました! 開拓者ランクは……Cへ昇格です! これで大神向琉さんのAランクダンジョンへの進出を認められます!」
ギルドが
川鶴さんも地面にへたり込み、喜びを顕わにしている。
まだ助けてもいないのに……もう全員が生還したかのような騒ぎだ。
みんな気が早い。
それなら、いっちょ期待に――応えてみせようじゃないですかぁあああ!
「――よっしゃ行くぜぇえええ! 皆さん、
俺は配信リンク式腕時計を操作し――早速、配信を始める。
瞬く間に起動したドローンは、しっかり俺の後ろを付いてダンジョンへと入っている。
〈え、え!? これもしかして!〉
〈あたおかぁああああ! 信じてた、信じてた!〉
〈深紅ちゃんの配信切れて終わったと思ってた泣いてたけど、あたおかが走ってるなら可能性あるんよな!? なぁ!?〉
〈左腕を失ってる姿でも良い! 深紅ちゃんやトワイライトを助けて!〉
〈頼む、深紅ちゃんや涼風ちゃん、美尊ちゃんを死なせないで、助けて大神さん〉
「3人は、まだきっと生きている。俺の教え子たちは、そんな死に急ぐような戦い方をするような……
〈大神さんも泣いてる?〉
〈あたおか辛いのを
〈風を切る音、ジェットコースターみたいな景色。普段なら怖いのに、今は頼もしい〉
「俺の妹、大切な教え子――誰1人として、死なせてたまりますかぁあああ! 無茶だろうとなんだろうと、沢山の意気に応えずして――何が『あたおか』ですかぁあああ!」
トワイライトを愛し、応援するファンの皆さん。
娘を想う――旭社長。
そして――全てを動かしてくれた、支部長さん。
全ての想いに応える為にも、足掻いて最後まで諦めない!
絶対に――諦めちゃダメだよ!
3人に生きていて欲しいと願う人が、こんなに居るんだから――。
―――――――――――
ここまで読んで下さり、誠にありがとうございます!
楽しかった、続きが気になる!
という方は☆☆☆やブクマをしていただけると嬉しいです!
ランキング影響&作者のモチベーションの一つになりますのでよろしくお願いします!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。