第168話 トイレ発、神話級の戦い!
「え、嘘!? まさか見えてた!? 俺、ミュート切ってなかった!?」
焦りながら真っ暗闇のドームをベタベタと触るけど――穴とかはない!
え、見える隙間なんか無いはずだけど……。
なんでコメントはこんなに大騒ぎなんだろう!?
自動読み上げが止まる気配も無く叫んでいる腕時計を見詰め、首を傾げてしまう。
〈あたおかぁあああ外を見て外ぉおおお!〉
「え、外?……あ、もしかして俺の姿が見えてた訳じゃない? 良かったぁ~……」
ホッと一安心。
こんな下らないミスでBANなんてされたら、姉御に殺される。
配信を期待してくれるファンを裏切る行為にもなるし、文字通りの汚名だ。
汚名をそそいでも、ずっとトイレ関連でイジられそう。
最悪の事態を避けられて良かったけど……。
「一体、外に何が有るって言うんすかね?」
岩壁に指でブスッと穴を空け、外を覗き見て――目が合った。
「うおっ!? えっ、えっ!?」
ブス、ブスッと複数の穴を空けて外を良く観察すると――。
「――な、なんじゃこりゃあああ!? ユニコーンの群れに囲まれる!? 鼻息をフゴフゴさせて紫電がバッチバチ!
視ればブチギレて今にも襲いかかってきそうなユニコーンの群れが――俺の
あまりの剣幕と予想外の状況で、流石にちょっとビビってしまった!
え、1時間に1頭しか出現しないんじゃないの!?
どう考えても、50頭はドームを囲んでるんすけど!?
も、もしかして――。
「――清らかな処女しか本来、入る事が許されない空間で……俺が汚らしい排泄なんかしたから!? だから、例外のトラップを踏んだ!?」
いつぞやの死霊系モンスターの裏ボスでも、大量出現のトラップがあった。
ワイトキングが持つ王笏を先に壊さないでダメージを与えると、無限に死霊系モンスターを召喚すると言う物だ。
「え、ここの大量出現の技って――
どどど、どうしよう!?
完全に予想外で動揺してしまったけど――……あれ?
これって――チャンスじゃね?
だって、アイテムドロップ率が10パーセントのユニコーンが、大量に出て来てくれたんでしょ?
丸1日籠もって出会った数より、今現在ドームの外に居る数の方が多い。
俺は改めて、排泄を片づけ済みなのを確認して――。
「――ふっはっは! 計算通り! 罠に嵌まったなぁあああ!?」
ドームをぶち破り――空中へと跳び出す。
ミュートも解除したし、後は――葬るだけだ!
〈な、なんだってぇえええ!?〉
〈ま、まさか計算――んな訳ねぇだろwww〉
〈酷い偶然で状況を打破する手段を見つけたなwww〉
〈あたおかにも程があるwww〉
〈お兄様の排泄物が不浄とでも言うつもりかおん!? 馬ゴラァアアアッ!?〉
〈↑流石に落ち着こう? 貴女はトイレ関係のネタは控えよう?〉
〈↑この流れ、常連だから分かるけどワロタwww〉
「ひゃっはぁあああ! 汚物は消毒だぁあああ!」
〈それはユニコーンのセリフwww〉
〈画面で大量に舞う
〈ユニコーンもジャンプ力エグいし、神話の戦いみたいw〉
〈↑排泄から始まる神話かよwww〉
〈うわぁ綺麗(現実逃避)〉
〈これでアイテムドロップするかな~(遠い目)〉
くっ……。
コメント欄も、流石に展開が酷くて冷めている!
でも、ここは開き直るしかない!
全て計算通りだった事にして――全員、殲滅だぁあああ!
『よし、良いぞ向琉! これだけおれば妾の汚名返上も叶うじゃろう!……叶うよな?』
「今、汚名とか汚物とか言わないの! お行儀が悪いですよ!?」
〈ワロタwww〉
〈
〈いやこれは流石に出る! これだけで50連以上。合計で70連はしてるんだし、排出率10パーセントなら出る!〉
〈↑今は排出率とか言うの止めてくださいwww〉
「く……ぬぅうう! 汚れキャラみたいになってるぅううう! なんで、こうなるんだぁああ!?」
〈あたおか涙を拭けよwww〉
〈とか言ってる間に、もうユニコーンが片手で数えるほどに減ってきた件w〉
〈ダメだ、悪いとは思ってても笑うw トワイライト3人娘の為に格好良い事をしてるはずなのにwww〉
くそぉおおお!
俺はどうせ、三枚目キャラだよぉおおお!
「――見つけたぁあああ! 出た、遂に、遂に……。ユニコーンの一本角、取ったどぉおおお! 耐久、終了じゃぁあああい!」
やった!
幻想的な草原の上へ輝きながら横たわっていた白銀の一角を手に取り――俺は
〈
〈あたおか、やっぱリアタイで視てて良かったわw〉
〈白星ちゃんもこれには感涙だなwww〉
〈白星ちゃんの汚名返上!www〉
〈なんか不憫なんだよなwww〉
〈耐久クリア、おめでとう!w〉
『……妾まで穢された気がする』
うん、巻き込んでゴメンね?
悪いとは思ってる。
でも……白星とアイテムドロップをゲットする瞬間、喜びを共有出来て良かった!
イジられるのとか、俺たちは慣れてるもん!
視聴者が喜んでくれるなら、それで良いさ――。
―――――――――――
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