第30話 2回目配信!え、深夜枠?(2)企画発表!あれ?

伊縫美尊いぬいみことだああああ〉

〈本物妹来たあああああああwww〉

〈お兄様。私も妹です〉

〈最悪とか言われてるw〉

〈偽妹ダウト〉

〈伊縫美尊:借金返済は悪くない。何がとは言えないけど、かくタイミングが悪い〉


「た、タイミング!? むしろ開拓者ランクが低くて、普通に魔石集めても赤字な今こそ最適さいてきなタイミングだと思ったんだけど!? と、兎に角、ごめんなさい! 俺の事を嫌いにならないで!」


〈www〉

開幕かいまくから面白いw 開拓は全く関係ないけどwww〉

〈兄妹喧嘩はラメェエエエw〉

〈タイミングは開拓者的にも債務者的にも、今は金儲け狙うべきだと俺も思うわw 魔石は重さ売りで普通に開拓配信やっても収益化通ってないから赤字だしw〉

〈真面目にランク上げろって事じゃね?〉

〈兄妹喧嘩よりまるでカップルの喧嘩みたいな謝り方w〉

〈あ? 美尊ちゃんとカップルだと?〉

〈表出ろよ美尊ちゃんを賭けて勝負だ〉

〈前回の配信観てないの? お兄様のダンス相手志願しがんとか。さてはお前、あたおかだな?w〉


 こ、これは……コメント欄が荒れている。

 俺と美尊が家族として親しくするのを快く思わない人たちか……。

 でもなぁ、風見鶏かざみどりで嘘吐くのは嫌だし……。ちゃんと伝えなくちゃな。


 ――わらわは止めておいた方が良いと思うぞ。火に油を注ぐ言動はな。


 あ、白星はくせい……。ダメかな? 美尊を家族として好きだから認めて欲しいって言うだけなんだけど?


 ――言うにしても、今のタイミングではないじゃろうな。刀となって長い妾でも、それぐらいの空気は読める。


 そっかぁ……。じゃあ、また見計みはからって言うか。

 そうだよな。結婚発表とか不倫騒動みたいに、直ぐに伝えるべき話でもないかぁ。


 それにしても、今日は念話なんだね。前回の配信でイジられたのが効いた?


 ――……。今日、妾は黙っておる。むしろしばらくは黙っておるからなぁあああッ!


 あぁ……。ご機嫌をそこねちゃったか。分かったから、腰で暴れないで?

 まぁ仕方がない。

 鞘から刀を抜けないのは俺が未熟だからなのに……。

 童貞剣だの処女剣だのと、前回の配信コメントで好き放題にイジられてたからなぁ。


 気を取り直して、企画の続きを説明しよう! ここまで来たら、もう引けないし!


「え、えぇ~……。あの、大切な妹である美尊に嫌われるのは怖いですけど……。発表した以上、後には引けないと言うか……。楽しみにしてくれる人に不誠実ふせいじつなので、目標の詳細を説明しても良いですか?」


〈お兄ちゃん涙目www〉

〈いいよw〉

〈視聴者にはマジで誠実だなw〉

〈妹と妹のファンにも誠実であれよ?〉

〈ああ、落ち込むお兄様。可愛い。みつぎたい〉

〈さっきからクッソヤバいガチ恋勢が湧いてて草〉


 なんか一部、怖いコメントもあるけど……。

 話が進まないし、了承も得られたらしきコメントが多いから、先に進めよう!


「どうやってお金儲けするかなんですが、俺も考えました! 姉御から言われたようにモンスターを毎日300匹倒すのは――見つけるのが大変で現実的じゃないです! アイテムドロップ狙いとの予想も100体に1回ドロップが落ちるか落ちないかなので、不正解です!」


〈倒すんじゃなくて見つけるのが大変ってw〉

〈食料庫で倒して寝て起きて倒して繰りかえせばワンちゃん〉

〈お? ミコミコチャンネルのF.Nを呼んだか? ワンワン〉

〈伊縫美尊ファンかなり流れてきてるなぁ。ダル〉

〈トワイライトの配信直後だからだろw〉

〈アイテムドロップ率って1パーセント以下なの? 他の配信見てると10パーセントはあるだろ〉

〈ボスに限っては100パーセントって言われてた。昨日までは〉

〈ドロップの歴史を塗り替えた、あたおかw〉


 え?

 モンスターが素材アイテムをドロップする確率ってそんな高い?

 経験則的に、かなり低くて割りに合わないかなと思ったんだけど……。

 俺の倒し方が悪いのかな? 後で他の配信者のアーカイブを視て勉強しよう!


「と、兎に角! 今日の金儲け方法はズバリ! 採掘、採石です! 前回配信で視聴者さんのコメントであったように、換金率が高いのは稀少鉱石らしいので!――これも用意しました!」


〈おお、特殊合金とくしゅごうきんピッケル!〉

〈これも高額リースじゃねぇだろうな?w〉

〈良いと思う! ピッケルはギルドで2千円ぐらいで借りられるし〉


「貴重な情報、ありがとうございます! 採石場所も実は検討がついていまして、今日はそこへダッシュしたいと思います! モンスターは見かけたら倒します! では~Let's Go!」


 テンション高く宣言した俺は、ピッケルを担いで目的の地点までダッシュする。

 道中、モンスターを見かける事もあったけど……。このダンジョンランクのモンスターで熱いバトルシーンをお届けするのは難しい。


 核である魔石をすれ違い様にサッと身体から抜き取り駆け続ける!

 俺は――風になるんだ!


 そして15分もしないうちに、目的の場所まで辿り着いた。


 走り込み、気持ち良いね! 

 ジジイに指示された修行メニューで、山々とか洞窟を巡った日々を思い出すなぁ~。


「さぁ、着きました!」


〈着いた? 死ぬかと思った……w〉

〈15分のジェットコースターとか、VRゴーグルしたままなら死んでたw〉

〈ストレス吹っ飛ぶわw きんもちぃいいいいいい〉

〈あれ? ここって昨日見つけた新しい道?〉


「お!? 早くも気が付いた方が居ますね~! そうです。ここは昨日、開拓者らしく拳で切り開いた道です!」


〈開拓者らしくとはw〉

〈間違ってないけど、この地底人が言うとおかしく聞こえる不思議w〉

〈実際、未知を切り開いたから開拓者としての功績ではあるw〉


「マネージャー社長と共同管理のSNSにもコメントをいただいたんですけど――昨日ツルツルした触感の岩盤がんばん! あれが高額で買い取りされる鉱石だと分かったんです!」


 情報社会に感謝だ。

 確かに魔素が多量に含まれている岩だなぁ~とは思っていたけど、俺だけなら気が付く事はなかった。


〈あ……〉

さっし〉

〈アレか……〉


「……え、あれ? 皆さん?」


 勢いよく発表したのに、思ったような反応が返ってこない!

 なんで、なんで盛り下がってるの!?



―――――――――――

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