生き別れの妹とダンジョンで再会しました 〜10年間ダンジョン内で暮らしていたら地底人発見と騒がれた。え、未納税の延滞金?払える訳ないので、地下アイドル(笑)配信者になります〜
第35話 溜まった泥は出さないとダムも機能しない
第35話 溜まった泥は出さないとダムも機能しない
「い、いえ。
「そうなんですか。……でもそれは、川鶴さんもですよね?」
「わ、私も……ですか?」
「はい。今日、最初に川鶴さんの顔を見た時、疲れているのかなと
「い、いえ……。私は、その……」
「やっぱり、思い悩んでるんですね。もしかして……担当の問題、ですか? 俺も
「あ、その……。私はマネージャーですから。当然の事をしているだけです!」
「そうですか……。大した事も出来ませんけど、俺にも川鶴さんの悩みを分けてくださいね? 姉御の
「――お、大神さん……」
川鶴さんはメガネの奥で瞳を潤ませ、俺に視線を向けてくる。
あ……。いくら慣れて来たと言いましても、見つめ合うのはまだハードル高いです。
俺が目線を斜め下へ逸らすと、川鶴さんはソファから立ち上がった音がした。
「大神さん。ちょっと楽にして待っていてもらえますか?」
「え、はい」
川鶴さんはカフェスペースからギルド受付へと行き、何ごとかを話している。
直ぐに戻って来るかと思ったけど、脇にずれて何かを待つように立っている。……どうやら長くなりそうだ。
時間が惜しい。自分のスマホで他の開拓者の配信アーカイブを視て勉強するか。
10分程、動画を視ながら
「――お待たせしました」
満面の笑みを浮かべた川鶴さんが、両手でお
お盆の上は――カフェスペースで軽くお茶をする、なんてレベルじゃない。
もうね、
これから友達とパーティでもするのかってレベルだ。
川鶴さんはテーブルにお盆を置くと、向かいのソファーへと腰掛けた。
「あの、川鶴さん。このご飯にお菓子、ジュースの山は一体?」
「2人分の食事と飲み物です。ここは私が
さっきの川鶴さんの力になりたいって言葉かな?
だとしたら、
「は、はい、俺で良ければ喜んで! むしろ、ご
「ふふっ。……本当、こんなパーティーみたいな時間は久しぶりで嬉しいです。それでは、乾杯」
互いにソッとジュースの入ったコップを当て、乾杯する。
うわぁ……。俺、こんなの初めてだ。
災害に
本当にささやかに誕生日祝いをもらったり、おめでとうと言われた覚えはあるけど。……あれ? なんだか目頭が熱くなって来た。
か、過去に
兎に角、腹を割った相談を、楽しく充実した時間にしよう――。
「――若い子の気持ちなんて分かんないですよ!? ナイーブになってるから、何を言った所で結局正解なんて無いんですから!」
「は、はは……。成る程ぉ~」
俺は――
相談を交わす?
いえいえ、今の時間は
ドロドロとした愚痴や苦言、弱音が
俺は
奢ってもらっているし、これはこれで川鶴さんという人物を深く知るチャンスだから、良い時間だとは思うけどさ。
「まだ私も若いですけどね!? 若いんですけどね!?……でも女子校生は別の次元なんですよ!」
「べ、別の次元ですか」
それにしても、おかしいなぁ……。
アルコールなんて入ってない、唯のジュースのはずなんだけど……。昔、テレビとかで見た酔っ払いその者だ。
雰囲気で酔っちゃうぐらいストレスが溜まってたんだろうなぁ。
川鶴さんも開拓者登録をしてくれれば、俺のストレス発散モンスター狩りツアーに連れて行きたい。
視聴者さん曰く、ジェットコースターや絶叫マシーンのような感じらしいから。きっと叫んでストレスを置き去りにするぐらい喜んでくれるだろう。……よし、いつか実現させよう!
「結局、こっちが何を言っても聞く耳を持たないんです! 言いたい事を言って、黙って聞いてるのが正解! よっぽど追いこまれる
「流石、沢山の人を支えてる
「いえいえ! 私なんて……大神さんみたいにルックスも良くないし、華もない存在ですから。うぅ……。こういう風に、ご飯と飲み物を突きながら黙って愚痴を聞いてくれる大神さんは、
その時、流しながら話を聞いていた俺の頭に何かが引っかかった。
そして、ビシッと――。
「――これだ!」
まるで電流が走ったように、
そうだよ、スリルある配信が出来ないなら――無理に作らなくて良いんだよ!
―――――――――――
ここまで読んで下さり、誠にありがとうございます!
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