第171話 マッドサイエンティスト?
「産まれも国籍もアメリカ人で、愛くんとは魂を捧げ合った仲さ!」
「た、魂!?」
「
「お、おう……」
変態と言うのは……時には褒め言葉だ。
1つの分野に特化した――他を寄せ付けない興味関心と情熱を注げる、そんな希有な人間を指し敬意を込めて言うケースもある。
「愛の身体の細胞、
「この人、マジでやべぇ。これは変態だわ」
どうしよう……。
初対面なのに、
「まぁ……こう見えて限度は
「マジッスカ?」
「……ちなみに向琉がシャインプロを辞めてアメリカ合衆国へ渡る事になったら、エリンに面倒を見てもらうよう頼んでいたぐらいには信用している」
「マァアアジッスカ!?」
え、えぇ……。
あっぶねぇえええ!
無意識系圧力の姉御、変態テンション
俺――姉御の方に残っていて良かった!
「そんな嫌がる事はないんじゃないかい!? 自分で言うのも難だがねぇ、私はこう見えて義理堅いよ! 愛くんが『大切な弟弟子を、もしかしたら預ける事になるかもしれん。私に出来る見返りはなんでも用意しよう。だから諸々と取り計らってやってくれないか?』。そんな、しおらしい〜事を言うもんだからね! 私も気合いを入れて準備をしてしまったんだよ!?」
「え、姉御が……そんな事を!?」
「おい、エリン!」
「はっはっはぁあああ! マルチバース本社の最先端技術開発室は、この世で1番安全なセキュリティを誇る場所だ! そこを丸々一室、住居にも使えるよう改装してね……。弟くんの為に研究チームを別の場所へ異動させてまで、私はウキウキしながら待っていたんだがねぇ。……どうやらフラれてしまったようだ」
「そ、そこまでしてくれてたんですか……」
確かに、国家から狙われるとか……。
日本の重要戦力と思われてたなら、危険なトラブルに巻き込まれそうだもんな。
世界一の大企業、マルチバース本社の最先端技術開発室なんて――聞いただけで警備が厳重だろうと伝わってくる。
下手に忍び込もうとすれば、赤外線レーザーで細切れ肉にするような罠だってあるかもしれない。
「しかしまだノーチャンスではないらしい! どうやら私の力を借りたいそうじゃないか!? だからこうして私からアプローチをかけに来たって訳さ!……ああ、そうだ。そう言えば、だ。愛くんに呼ばれて東京へ行くと言ったら、愛くん宛ての手紙を預かったっけな。確か白衣のポケットに……あった。ほら、これだよ」
「エリン、お前……。手紙がグチャグチャじゃないか」
「良いじゃないか。読める事に変わりは無いんだ。手紙としての機能を果たせれば十分だろ?」
「……これは。成る程、メールやスマホの通話では話せない内容だな。万一の漏洩も許されん。今週末、国外でテロ対策の密談とは……。全く、我が国は何時も振り回されてばかりだ……」
「プレジデントやCEOが重々しい顔をしていたよ? ヤツらも最近、以前にも増して活発化してるからねぇ。同盟国同士で情報の共有と連携を取りたいんだろうさ」
「全く……。直ぐに予定の調整をせねばな」
姉御が痛そうに頭を抑えてる。
サラッと聞こえたけど、それって国家元首……大統領とか、超大企業の最高経営責任者から密談を申し込む手紙って事よね?
そんな後世に貴重な資料として残されそうなもんを、パパッと書いたメモ帳のように白衣へ突っ込んでグチャグチャにしておくとか……。
う~ん。
終始、姉御がペースを持って行かれるなんて……。
やっぱりエリンさんって――武とは別の分野で、
「――それでエリンさんは、何の御用で未だにここへ留まっているので?」
俺がそう尋ねるとエリンさんは――にやっと、怪しい微笑を浮かべた。
こわぁ……。
もしかして俺、実験用のネズミ?
ちゅ、ちゅうちゅう……。
逃がして、ニガシテ、ニンゲン……。
―――――――――――
ここまで読んで下さり、誠にありがとうございます!
楽しかった、続きが気になる!
という方は☆☆☆やブクマをしていただけると嬉しいです!
ランキング影響&作者のモチベーションの一つになりますのでよろしくお願いします!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます