第22話 初の換金!

「それでは、今日の戦果コーナー! はい拍手!」


〈8888888〉

〈今日の開拓の頑張りが分かる時!〉

〈Dランクとは言え結構な数の戦闘をしたからなw〉


「さて、配信用ドローンから収納箱を取り出しまして――見えますでしょうか!? これが今日の戦果です!」


 床にドシャッと成果物を広げる。

 その全てが魔石というのは、他の配信者と比べれば偏っていると思うけど……。


〈ぉおおお! 凄い量!〉

〈全部魔石w ドロップないとか運が悪過ぎるw〉

〈換金率が低い魔石だけw〉

〈Cランク以下の質が低い魔石は重さで売値が決まるからな? こんだけあればかなり頑張ったよ〉


「ま、まぁ……。今回は運悪く魔石だけでしたが、一体何グラムあるのでしょうか!? 魔石は1つが巨峰ぶどうぐらいの重さ、サイズですかね? とは言え、数もあります!――それでは、地上に上がって換金してきます!」


〈いってら〉

〈いってら~〉

〈……あれ? 配信ミュートにしないの?〉

〈あ、知らないんだろうな。換金中は音を切る慣習があるの〉

〈可愛いw まぁ犯罪じゃ無いし動画編集で後から切れば良いんじゃない?〉

〈草w〉


「――……ぁッ! こ、これ……かん、かんきんを!」


 ダダダッと音を立てて地上へと上がり、そのままダッシュでギルドのダンジョン入口支部へと換金に走る。


 知らない人に話しかけると思うと、まだ上手く口が動かない。早く人間に慣れないとなぁ……。


 ギルドのお兄さんは若干、気圧されたように困惑していたが、すぐに営業スマイルを浮かべた。


「換金ですね? 全てCランク以下の魔石だと重さで買い取り価格が決まりますが、よろしいでしょうか?」


 俺は「うん」という意思を、頷く事で示す。ボディランゲージも、使いようだよね。


「それでは、重量を計りますね。――全部で800グラム。1個辺り約10グラムの魔石ですので……。80体分ですか!」


 おお!?

 お兄さんの反応を見る限り、これは中々報酬が期待出来るんじゃないだろうか!

 帰ったら美尊にお茶を煎れて、座布団ぐらい用意してあげられるんじゃないの!?


「凄いですね~。買い取り査定金額は、現在100グラムで1万円となっておりますので……。8万円ですね。こちらの金額でお引き取りしてよろしいでしょうか?」


「ははは、8万円!? 是非、お願いします!」


 凄い!

 時給千円のアルバイトで80時間分を、僅か数時間で稼いでしまった!

 これはもう、普通の仕事は出来ないなッ! 開拓者になれって勧めてくれた姉御に感謝だッ!


「では、ギルドカードのご提示をお願いします」


「ぁ……は、はい」


 僕は鞄から財布を取り出し、作っていたギルドカードを手渡す。


 裏面を見れば、勝手に開拓者ポイントが貯まっている。


 棒グラフ的にはEと書かれた所までは、残り75パーセントぐらいかな? モンスターとの戦闘で勝手に貯まるシステム、便利だ!

 でもFランクの格上を結構倒したと思うんだけど……1つランクを上げるのって、結構大変なんだなぁ。

 アレかな、高レベルの人と数回だけ潜って、急にランクを上げたりが出来ないように対策してるのかな?


 お兄さんは受け取ったギルドカードを読み取ると――。


「――銀行口座、保険証との紐付けも完了しておりますね。今回の買い取り金に応じて、一部が開拓者ポイントとして付与されます。それでは入金を――……あれ?」


「ぇ……」


 入金と言った途端、お兄さんの顔が曇った。


 なに、なんなの!?

 何か問題が起きたとか?


「あの……。失礼ですが、シャインプロモーション所属の大神向琉さんでお間違いないでしょうか?」


「は、はい……」


「そ、そうですか。……ご苦労をなさっているんですね。それでは、ご入金が完了しました。明細をどうぞ」


「ぁ……ぁりがとう、ございます」


 何か不穏な気配がしたけど、無事に入金が出来たようだ。

 明細を受け取り8万円の使い道を考えていると――。


「――な、なんじゃこりゃぁあああッ!?」


 思わず明細書を見て絶叫してしまった。


 だって――8千円しか振り込まれてないんだから。


「あ、あの! 8千円!? 8万円、じゃ!?」


 冷や汗をダラダラと流しながら、お兄さんに詰め寄ると――お兄さんは苦笑を浮かべた。


 え……。何、その苦笑!?

 これ、手違いじゃないの!?



―――――――――――

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