第174話 コラボ開始!

 配信用ドローンに着いたディスプレイに、コメントが流れ出す。

 それを視て、俺は――。


「――どうも、今日は鬼教官になる大神向琉です。……うん。やってはみましたが、これ偉そうですね? やっぱり止めます」


〈出落ちwww〉

〈サングラスは格好良いけど、上から目線が似合わないwww〉

〈そもそもダンジョンでサングラスって、サンないだろwww〉


 ま、まぁ……予想とは違いましたけど?

 それでも、笑いを取れたようで良かったかな。


 このサングラスをくれた姉御も満足だろう。


 今日の服装は、黒と白を基調とした登山服。

 スノーボーダーとか、スキーヤーに見えなくもない。

 サングラスにも合うし、指導役っぽくて格好良いかなぁ~なんて選んだ衣装だけど……。


 うん、俺がサングラスかけるのは、まだ慣れないね。

 袋に入れて、仕舞っておこう。


 静々とサングラスを袋に収納し、上着の内ポケットへ入れる。

 そんな様子をドローンカメラの向こうでトワイライトの面々は楽しそうに眺めている。


 さっさと3人を紹介しちゃいますか。

 みんな今日の配信で何をやるかは告知で知ってるだろうからね。

 焦らすこともない!


「え~、サングラスは姉御からのプレゼントです。今日の企画にも関係あるんですが、姉御と言えば鬼。鬼と言えば鬼教官をイメージしました! さぁ、それでは改めて今日は――コラボ企画です!」


〈うおおおおおおお! 待ってましたぁあああ!〉

〈あたおか先生ぇえええ、その人たちは誰ですかぁあああ(棒読み)〉

〈お兄様の直接指導羨ましぃいいい!〉

〈良いなぁ~。これシャインプロの福利厚生みたいなもんだろw〉

〈うおおお!……って、え? 手ぶら?w〉

〈おいおい、まさか今日は『あたおか』流に素手で教えるとかじゃないよな!?〉

〈加工が間に合わなかった? まぁ1週間もなかっただろうから無理ない〉


 コメントには素手でやるのかって突っ込みもあるけど、そんな訳はない。

 エリンさんも言ってたけど肉体の作り込みや魔力、神通力のまといが甘ければ、素手でモンスターにダメージなんか通らないらしいからね。


「もう皆さん、ご存知でしょう! トワイライトのお三方です!」


「お兄さん先生にご指導いただきます、那須涼風なすすずかと申します。得意武器は弓、得意魔法は風属性魔法です!」


「お兄ちゃん唯一無二ゆいいつむにいもうと伊縫美尊いぬいみことです。得意武器は槍、魔法は水と氷をよく使います」


「皆さん、こんばんは! 旭深紅あさひみくです。今日は美尊のお兄様……学園でも指導してくれた大神向琉先生にお世話になりますっ! 得意武器は片手剣、魔法は火や応用の爆発系統ばくはつけいとうをよく使います! どうぞ、よろしくおねがいしまっす!」


 今日はトワイライト式の『おはようございます』と言う開幕挨拶は使わないらしい。

 俺のコラボ枠だからかな?


〈この3人の隣に『あたおか』が映ってるのメッチャ良いぃいいい!〉

〈妹とその友達に挨拶するイケメンお兄さんって感じ。ああ、尊いぃいいい!〉

〈あたおかそこ代われ!〉

〈↑モンスターの餌食になりたいのか?w〉

〈あたおか式格闘術で勉強になるのか?www〉

〈↑実力に合わせた戦い方の指導の上手さは、学園での指導動画流出で明らかになったぞ〉


「今日はですね、僭越ながらこの3人の現場戦闘教官役を仰せつかりました! コラボのお話自体は前々からあったんですが、深紅さんが具体的に纏めてくださいましてね? 本当に光栄です!」


「いえいえ、お兄様の本当の妹として、当然です!」


〈は!?〉

〈ふぁぁあああ!?〉

〈はぁあああん!? お兄様の妹様は美尊さん。次点で私だからなぁあああ!?〉


「……深紅?」


「美尊ちゃん、落ち着いて! み、深紅ちゃん!? 私が美尊ちゃんを抑えてる間に、早く訂正して!」


 美尊が「それは聞き捨てならない」とばかりに、深紅さんへ近づき顔を寄せ睨みを利かせている。

 身長の高い美尊が見下ろす形だから、それはもう……絡んでるみたい。


 涼風さんの突っ込みと言うか、ストッパーとしての力が冴え渡るね!


「ごめんなさい、冗談です。み、美尊? ゴメンってば、ちょっとした掴みのギャグじゃん!」


「……ギャグなら良い」


 美尊はフッと微笑み、元の立ち位置に戻った。


 なんか妹を名乗るネタに過敏な反応じゃない?

 深紅さんと何かあったのかな?


〈大草原www〉

正妹せいまい戦争www〉

〈喧嘩ドッキリを仕掛ける枠かと思ったw〉


「そ、そんな殺伐とした枠にするつもりはありません! さて、今日の企画なんですけど……。舞台はここ、トワイライトが普段から修行に使っているBランクダンジョン! 本当はAランクまで行きたいんですが、Bランクダンジョン最深部に待ち構えているボスを倒して帰って来る! それに俺が口出しやら、お手本……のような事をする枠です!」


〈いぇえええ! ワイも指導されたいぃいいい!〉

〈この間のランク制限破りの時、姉御が可愛かったぁあああ!www ナイスドッキリ!w〉

〈流石に今回はランク破りすんなよ?w 災害で仕方なかった初回は兎も角、それ以降は……ウン、だからなぁw 姉御の言ってたように資格停止とか剥奪になったら嫌だぞぉおおお!?〉

〈唯の指導枠じゃ、ないんだろぉおおお!? なんでトワイライトは手ぶらなのかな!?〉

〈トワイライトの手ぶら!?(がたっ)〉

〈↑良いから座れ。通報するぞ?w〉

〈今日はお兄様が持ち帰ったユニコーンの一本角性武器のお披露目ですかぁあああ!?〉


「その通り! 今回は、彼女たちの実力を更に高める素敵な武器と、アクセサリーを作ってもらいました! それでは、まず武器の紹介をします、こちらです!」


 地面に並べていた道具に、カメラの武器を合わせ――バッと、武器に巻かれている包装を解く。


 厳重に包装されていたけど、本気で動けば――一瞬で丸裸よ!

 ぐへへ。



―――――――――――

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