生き別れの妹とダンジョンで再会しました 〜10年間ダンジョン内で暮らしていたら地底人発見と騒がれた。え、未納税の延滞金?払える訳ないので、地下アイドル(笑)配信者になります〜
第212話 世間の利益と個人の望みが一致するとは限らない
第212話 世間の利益と個人の望みが一致するとは限らない
俺が1人で、皆さんと語り合う場。
その飯テロ配信を行う別荘に欠かせない食料庫に――異変が起きていた。
思わず、
「なんで――モンスターが1匹もいなんですか!?」
〈うぇえええ!?〉
〈食料庫って常時100体ぐらいのモンスターが湧き出てたよな!?〉
〈どゆこと!? 遂に、あたおかから逃げた!?〉
〈↑あたおかの気配を感じたモンスターが逃げる。有り得るw〉
〈いやいや、Dランクのモンスターなんて、発見、即攻撃。ぐらいの知能しかないだろ?〉
〈じゃあ、これは一体なん!?〉
コメント欄も、混乱している。
それはそうだ。
こんな異常事態、混乱しない方がどうかしている。
俺の飯テロ配信は、どうしたら良いの!?
『それだけではないぞ、向琉。……このダンジョン全体から、魔素が消えておる。
〈ロリ銀狐の
〈めっちゃ久し振りに喋ったなwww〉
〈流石に黙ってられない異常事態ってこと?〉
〈ダンジョンから魔素が枯渇? それって、まさか!?〉
『恐らく、人々がダンジョン枯渇と呼んでいる現象じゃろう。もうこのダンジョンから、モンスターが生まれ落ちることは、2度と無いじゃろう』
「……な、なん、だって?」
そんな……。
まさか、俺が乱獲し過ぎたとでも!?
〈ええええええ、マジで!?〉
〈あたおか、遂にやったなぁ!?〉
〈今、トレンドランキング1位になったぞwww〉
〈今は亡き旭社長の悲願、果たされるw〉
〈↑勝手に殺すな。シャバにいないだけだ〉
〈ガチのマジで偉業じゃん!〉
〈お兄様にとっては通過点んんんんん! でも、おめでとうございます! 一生ついていきます!〉
〈本当に? 正式に認定されれば、世界で2例目の偉業じゃん!〉
〈これで、このダンジョンは永遠にダンジョンピードしなくなったのか。つまり、この近隣の
『……良かったな。世界で2例目のダンジョン枯渇。偉業ではないか。ん?』
「――俺の別荘地がぁあああ!」
〈そこ?w〉
〈涙目で崩れるな、イケメンの泣き叫ぶ姿。好きになるだろ〉
〈英雄にも、憩いの場は必要よなwww〉
〈↑あたおかの憩いの場は、美尊ちゃんの元だろ?〉
〈↑それが旭プロへのレンタル移籍で、無くなるという〉
そこですよぉおおお!
俺の憩いの飯テロ配信ダンジョンが失われ、挙げ句の果てには寮にも暫く帰れない!
日々、せこせこと快適な別荘地になるようにと荷物を運び入れていたのにぃいいい!
なんだろう……。
地方に単身赴任が決定した人って、こんな風に寂しく、辛い気持ちになるのかな?
「あ! だから最後の絞り魔素で作られたミノタウロスも、あんだけ脆かったの!?」
謎が解けた!
俺が強くなったのかと思ってたけど、ボスとして十全な魔素で構成されてなかったのでは!?
ぐっぞぉおおお!
ぬか喜び、そして俺の大事な場所がぁあああ!
「ぬぅぉおおお! 絶対に、絶対に仇討ちをして! 道場に帰ってやるんだからなぁあああ!?」
〈ねぇ、偉業を達成したのに、なんでこの人は涙を流して悔しがってるの?〉
〈トレンドから来た。嬉し泣きには見えないんだけど……〉
〈↑アーカイブを視てあげて〉
アイドル開拓者として、皆さんを喜ばせるのも……まぁ続けるけどさぁ!
暫くは、旭プロでの活動メインだから、純粋な開拓配信じゃん!?
うぅ~……。
姉御、やっぱ単身赴任は寂しいっす……。
〈¥50,000
偉業達成おめでとう。これはご祝儀〉
〈¥10,000
ワイも少ないけど、人類として英雄に感謝!〉
〈¥15,000
おめでとう! ミノ肉はないだろうけど、これで焼き肉に行って!〉
「うう……。皆さん、スパチャありがとうございます。後で、元気になったらお礼のDM送りますので……」
〈¥5,000
そういうファンサービスがあるから、たまらんのよなぁ!〉
〈¥2,000
大神先生。まだダンジョンでの稼ぎが低く、本当に少ない額ですが、お祝いです〉
〈¥10,000
お兄様ぁあああ! 副業増やしてでも、何処に行っても応援します!〉
「あぁあああ! 皆さん! 無理のない課金、無課金でお願いしまぁあああす!」
やめて!
受け取りずらい!
衣食住は、姉御に支援して貰ってるし……。
あれ?
俺――俗に言う、ヒモ男なのでは!?
「衝撃! 俺は姉御のヒモ男だった!? うわぁ、反省して旭プロで結果を出さなきゃ!」
『世界で2例目の偉業を成した英雄のセリフとは思えんのう……。妾へのリンゴカードをくれても、いいのじゃぞ?』
「ヒモ男のヒモって、複雑に絡みすぎだろうよ、白星!?」
〈ワロタwww〉
〈白星ちゃんが、役立つ日は来るのか!?〉
〈現状、ドッペルゲンガー戦以外では疫びょ……おや、誰か来たようだ〉
『誰が疫病神か!? いずれ
〈顔真っ赤にして、腕をブンブンと振ってるチビ狐が脳内に浮かんだ〉
〈尊い……〉
〈はいはい、そうですね~。うんうん、来るかもね~〉
『ぬぅがぁあああ! 妾は
コメント欄の皆さんと喧嘩する白星も、久し振りに見たなぁ。
なんか誰かが喧嘩してると、自分の感情の
とは言え、切ないなぁ……。
〈大神さん。参考になるかは分かりませんが、Cランクダンジョンでミノタウロスや、ブラッディベアー。豚と魚が混じったホグフィッシュ、ペリュスって言う鹿と鳥が混ざったようなモンスターが居るダンジョンが都内にありますよ?〉
「ま、マジッすか!?」
〈はい。食料庫があるかまでは、知らないですが……〉
「うわぁあああ! やったぁ! 良いじゃないっすか! 熊、鹿、つまりジビエ! さらに魚料理までいけそう!?」
〈スパチャより嬉しそうwww〉
〈なんて投げ銭の甲斐がないんだwww〉
〈でも不快じゃない不思議w〉
〈では公式SNSにダンジョンの場所、DMしておきますね〉
「はい、お願いします! やったぁあああ! これでキャンプ、別荘配信も続けられそうですよ! 新規別荘開拓!」
コメント欄の皆さんも楽しそうだし、エンタメコンテンツとしても継続が出来そう!
いや~良かった!
そうと決まれば、帰還だ!
俺は飯テロ配信を終えると、外で苦笑しながら待っていた川鶴さんの車へ、持ち込んでいた荷物を運び入れて行った。
何時も、ご迷惑をおかけします!
そうして自宅マンションの前に着くと――。
「――お兄ちゃん、待ってた」
「お兄様……。お兄様、本当に旭プロに? ウチ、捨てられてないですよね?」
「あの、お兄さん先生? 私、2人を止めたんですよ? 迷惑だから、明日の朝にしようって……。でも、私も内心では気になってて、強くは止められなくて……」
トワイライトの皆さんが、マンションの共用エントランスで待ち構えておりました――。
―――――――――――
ここまで読んで下さり、誠にありがとうございます!
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