生き別れの妹とダンジョンで再会しました 〜10年間ダンジョン内で暮らしていたら地底人発見と騒がれた。え、未納税の延滞金?払える訳ないので、地下アイドル(笑)配信者になります〜
第218話 羅針盤が開拓者になった理由は!?
第218話 羅針盤が開拓者になった理由は!?
そうして、あっという間に時は過ぎて――俺は初めて来るBランクダンジョンへと向かっていた。
羅針盤さんが過去に潜っている動画と、姉御から以前にもらったダンジョン情報が詳細に載っているレポートを見て、予習もバッチリ!
見ていると呪われそうな姉御の絵を見て「懐かしいなぁ」とか思うには早すぎるけど、それでも懐かしい気持ちを抱いてしまった。
引っ越し直後に、前の家が懐かしいと思う気持ちとかかな?
とにかく、俺の魂はやっぱりシャインプロにあるんだなぁって思ったわ。
旭プロのマネージャーが運転する車に乗りこみ、俺たちは無言でダンジョンへ向かっている。
正直――気まずい!
マネージャーさんも仕事に徹しているって感じで、挨拶をしても川鶴さんのようなフランクさはない。
うん、アットホームな職場ではないみたいだね!
「あ、あの! 羅針盤の皆さんは、なんで開拓者を選んだんですか!?」
重苦しい空気に耐えきれず、尋ねてみる。
初対面らしく、今の自分のルーツとかを聞くのはありだろう!
我ながら、ナイスな話題選択だ!
「大神くん、魔力を持っている時点で、開拓者への道は開けるだろう?」
「そうですが……。民間で働くのを選び人だって多いじゃないですか」
「民間なぁ……。ワイは御免や。アレはダメ、コレはダメ。そんで理不尽だらけで自由なんて欠片もない中働いても、雀の涙の報酬やろ? 自由業の開拓者で仰山稼げるなら、それが1番や!」
西条さん、商人なの?
いや、プロとしては正しいのかもしれないけどね?
「僕は、何となくだね。開拓学園で学んでいて、気が付けばそれが順当なルートだと思ってたから」
「ワシは、いざという時に誰かを守る為だ。……もう災害で、大切な人を失うのは嫌なのでな」
「俺は、アレだ。1番楽しそうって思ったからだ! モンスターとのバトル、強くなる自分。こんなの、燃えるじゃねぇか! 命を賭けて強くなり、人も護れる! 最高だろ!?」
南条さんの理由は、多分1番多い理由だ。
開拓学園は、開拓者を養成するのがメインカリキュラムだからね。
北条さんは、ダンジョン災害で大切な人を失ったんだろうな。
だから、タンクなんて人を護る為に身体を張る役をしているのかもしれない。
東条さんは……うん。
他流派の道場に、こんな脳筋な人がいたなぁ~。
「俺は、開拓者になった時には年齢もそこそこ行ってたからな。……職歴に空白期間があると、民間では中々雇ってもらえない」
口を発したリーダー、正樹さんの理由は、想定外だった。
姉御と同じ、Aランク開拓者。
国内トップ開拓者らしからぬ言葉だと思う。
「そ、そうなんですか? 正樹さんレベルの……トップ開拓者なら、開拓者関連の仕事が沢山ありそうですけど」
「開拓学園の教師も、教職者として相応しくないと、人相で落とされた。開拓者関係の公務員も、書類審査は通っても面接で落とされた」
「それは……なんとも」
確かに。
中高生の前に、眼帯をした強面のイケオジが……それも、淀んで生気の薄い瞳をした教師がってのは、ちょっと悩む。
美尊の担任なら、ハキハキと元気で、礼儀正しい先生が良いなぁ~とか、思っちゃう。
「……自衛隊も同じだった。俺には国を護る志が足りない、だとさ」
「う……」
大人の事情~。
戦力としては大きいから、有事の際には予備自衛官として依頼をされるんだろうけど……。
常時、中には置いておきたくない。
ましてや実績的に、司令官ポジションの幹部扱いじゃないとって難しさもあったんだろう。
別の職も資格も取得させてくれた姉御には、本当に感謝だなぁ。
「結果、食っていく仕事としてだけの理由で開拓者を続けている。……自分や人の命を賭けるなんて、まっぴら御免だ」
「え?」
「開拓者だって、報酬を得る仕事の1つだ。身の丈に合わない仕事で命を落とせば、何もかも失う。生きる糧を得る為の仕事で死ぬ。そんなのは本末転倒だ」
「それは……そうかもですけど」
話題選択、ミスりましたね。
ええ。
明らかに、車中の空気が重くなりましたわ。
まぁ……パーティメンバーがこれだけいれば、皆が同じ志な事の方が珍しいでしょう。
トワイライトの3人が特別だったんだなぁ。
「向琉。お前はなんで開拓者をやってる?」
重々しい声で、正樹さんが尋ねてきた。
なんでって……。
―――――――――――
ここまで読んで下さり、誠にありがとうございます!
楽しかった、続きが気になる!
という方は☆☆☆やブクマをしていただけると嬉しいです!
ランキング影響&作者のモチベーションの一つになりますのでよろしくお願いします!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます