第5話 姉御ぉおおお!?(2)
「そんな事が言いたい訳ではない!……10年前、
「……すいません、
「あ!?」
「す、すいません!」
兄弟子、誰か……。誰かいないんですか!? 姉御から守って下さい!
これならダンジョンの中で巨大なモンスターと戦ってる方が怖くないよ!
「……いや、すまん。私が端折り過ぎたか。仕方がないな」
「本当に、アホの世間知らずで……すいません」
「良い、私も少々、こうよ……動揺しているのだ。……
「…………」
「異界と繋がる言われるダンジョンの出現は、多くの家屋、人を地中へと飲み込んだ。銃火器すらまともに通じないモンスター。私たちのように、古くから異形の物と戦って来た者を中心に戦い……気が付けば、モンスターは地上からダンジョンへと帰って行った。まるで
「ちょ、ちょっと待って下さい!」
「なんだ?」
今、聞き捨てならない言葉が聞こえたぞ!?
当たり前のようにサラッと語ってたけど!
「私たちのようにって……。まさか、天心無影流の事ですか?」
「……は? 師範は、それすら貴様に教えてやらなかったのか?」
「実質、破門されてましたからね、俺は」
「……それも優しさ、か」
「え?」
指を組みながら、姉御はフッと
なんだろう……。優しさ? 俺としては、
「なんでもない。……その通りだ。あくまで誰に知られる事もなく
「確かに、みんな金に困ってましたもんね。水道水で腹を満たしたり……」
「……それは否定が出来んな。その反動で私は今、金を得る為に必死な訳だから」
「……すいません、話の腰を折りました」
「ああ。兎に角、人々が災害で打ちひしがれ、魔力や神通力という超常的な概念を認めざるを得なくなったのが10年前。それら魔力などはウイルスのように散らばり、世界各地で
「意外に多いですね」
「ああ。世界には約1億5千万人の覚醒者――今では
「成る程?」
「新たな力を得た人類は、3年の歳月でダンジョン生物や発掘される
「ほうほう?」
「それから7年をかけて
「はぁはぁ?」
「かくして、ダンジョンというのは国策としての新エネルギー確保や軍事力拡大、果てはエンタメコンテンツとして支援を受けることになる。人類がいかに外交で安全を確保しようとしても、ダンジョンが繋がっていたとされる異界は待ってはくれない。前回を上回る
「それで?」
「……それで?」
「あ、いや……すいません!」
「貴様、途中から聞いて居なかったな!?」
「だって姉御、話が長いし! でも要点は聞いてたし、疑問にも思いました!」
本当に姉御、話が長くて硬いんだもん!
全然頭に入って来ないし……聞き流してましたよ、そりゃあね!
誰でもそうでしょう!?
もしこの話を文章化したら、みんな流し読みで内容とかすっ飛ばしますよ!
「ほう、何が疑問だ、言って見ろ! ちゃんと聞いていたなら、言えるだろう!?」
「あの、その……。開拓者の管理とか、どうしてんだろうなぁ~、兵器より強いとかヤバくないかなぁとか! なんでそんな、人から怖れられそうな物がエンターテインメントになるのかなぁとか!」
「ほう……。良い眼の付け所だな。私の話を聞き流していた事は、不問にしてやろう」
「ありがとうございます!」
あっぶねぇえええ!
姉御を本気で怒らせたら……。
ヤバい。昔しごかれて、魂に刻み込まれた恐怖が
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