第15話



「……今は、必要ないな。それに、俺はともかく、オルエッタのHPなら、中級程度の魔法じゃないと安定して回復できないだろうしな」

「そうですかぁ。では、こちらも売ってしまっていいですね」

「了解だ。装備品はどうする?」

「うーん、私も今は必要ありませんかね」


 装備品もいくつかドロップしていたが、このランクの魔物だと+10~+40程度の補正の装備品ばかりだ。

 +40の装備品は一つだけあったが、これは体力だったので俺は不要だ。


 これならば、それなりの値段で売れるだろう。

 ゴーレムメイルを参考にするなら、最低でも二百万ゴールドくらいはいくはずだ。

 【回復魔法・下級】も最低でも五百万ゴールドは固いだろうし、細々としたスキルストーンを売れれば……一千万ゴールド近くはいくかもしれない。

 そうすれば、Cランク迷宮攻略の権利もいくつか落札できるはずだ。


 ……運が良ければ、ここの迷宮攻略の権利だって買えるかもしれないよな。


「そうか。なら、これも売却だな。……とりあえず、またリベティに頼んでみるかな」

「そうですね。これから向かいますか?」

「……一応、そうだな。あとで話をする予約でも取り付けられればそれでいいしな」


 時間もそろそろ良い頃合いだ。

 俺たちは迷宮での稼ぎを切り上げ、王都へと帰還した。



 

 王都に戻ってきた俺たちは、早速『アルケイク』へと向かった。

 中へと入った俺たちは、そのまま受付へと向かう。

 受付嬢もこちらに気づき、丁寧な礼を返してきた。


「いらっしゃいませ。どうされましたか?」

「リベティと取引をしているレウニスというのだが……ちょっとリベティに会いたくてな」


 リベティの名前を伝えると、受付の眉尻がぴくりと上がった。

 それから、俺の顔を見て、頬を緩めた。


「レウニス様、ですね。はい。リベティ様からお名前は伺っています。会いたくて、というのはどのような御用でしょうか? 確認し、すぐに対応できれば対応しますが」


 リベティから交渉の話はしてもらっていたが、よかった。ちゃんと話を通してくれているようだ。


 特に有名でもないしがないGランク冒険者の俺とリベティが交渉してくれるのか? という不安はあったからな。


「また、商品の取引をしたいと思っていてな。時間の都合がつく日はあるか?」

「それでしたら……今夜十九時からでしたら空いていますね」

「……その時間で逆に迷惑ではないのか?」

「ええ。問題ありません」


 それなら、具体的な話とまではいかなくとも、簡単に話をしておくか。


「分かった。それじゃあ、十九時からで頼む。もしも、難しいようならまた十九時に来た時に教えてほしいとも伝えてくれ」

「かしこまりました。あっ、ただいま【念話】がつながりましたので確認します。少々お待ちください」


 受付は、そういって俺に一礼をしてから背中を向ける。

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