第17話


 まあ、そりゃあそうか。

 普通の冒険者ならば、一ヵ月ひたすら迷宮に潜って一つ手に入れば運が良いほうだしな。


 俺たちがどれほど迷宮に潜っているかは知らないだろうが、だとしても普通なら考えられない量なのは確かだ。


 賢いリベティなら、俺が数日で手に入れたのではないかという考えもあるはずだ。

 もしも、これだけのアイテムを持っていれば、ゴーレムメイルを売却した時に一緒に持ち込んでいるだろうからな。


「俺たちはドロップアイテムを高確率で得られる手段を持っていてな。それでまあ、こうやって手に入れたんだ」


 ある程度情報を伝えないと、疑われる可能性がある。

 

 盗品などと疑われ、嫌な思いをしたくはない。

 ……それでもまあ、俺の発言が突拍子もないことは自覚している。


 これだけ情報を伝えても、やはり疑われてしまうだろうか?

 リベティの表情を伺っていると、彼女は未だ驚いている様子ではあったが、ひとまずは頷いてくれた。


「……そうですか。詮索してしまって申し訳ありません。これらのスキルは……なるほど。いくつかめぼしい物もございますね。こちらの商品は……どうしますか? オークションの競りに出すか、こちらで買い取るか」

「俺としては、買い取って欲しいと思っているが、そちらの都合もあるだろう。どっちでも大丈夫だ」

「……そうですか。では、すべて買い取りでもよろしいでしょうか?」


 探るような目だ。

 基本的に、商品は買い取ったほうが『アルケイク』としては利益を出せるからな。

 オークションに出した場合、売却益の何パーセントかしかもらえないらしい。

 だから、買い取って高値まで釣り上げられるようなときに出品すれば、大体の場合『アルケイク』が儲けられるだろう。


 ただ、俺としてはオークションの競売に出してしまうとお金がすぐに入ってこないというリスクもある。

 ちょうどCランク迷宮攻略の権利が売りに出されている以上、俺も参加しておきたかった。

 だから、リベティの提案に対して俺は頷いた。


「それで構わない。合計金額はいくらになる?」

「……そうですね。総じて、一千万ゴールドほどでいかがでしょうか?」

「……分かった。それで、大丈夫だ」


 決して、大きくはぼったくられていないだろう。

 むしろ、俺の想定よりも多少は上がったくらいなので、俺としては満足だ。

 契約書を書き、それにサインを行って商品の売却を行った。


 俺の冒険者カードに一千万ゴールドが振り込まれたのを確認したところで、席を立った。


「それじゃあ、また今度」

「ああ。今後とも、よろしくな」

「ええ。よろしくお願いいたします」


 ぺこりと頭を下げたリベティに、俺も軽く会釈を返す。

 呑気に手を振っているオルエッタの背中を押すようにして、俺たちは『アルケイク』の拠点から外へと出た。

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