第18話
「レウニスさん。たくさん稼げましたねっ」
「そう、だな」
ここで、一つ問題がある。
オルエッタとの山分けについてだった。
……冒険者の稼ぎは、金額を頭数で割るのが一般的だ。
となると、このゴールドを俺とオルエッタで割るのが普通なのだが……。
――今すぐに、迷宮攻略の権利購入に参加したかった。
「なあ。オルエッタ」
「はい、なんですか?」
笑顔とともに振り向いたオルエッタに、俺はすっと頭を下げる。
「……今回の稼ぎ、俺に六百万ゴールドほどくれないか?」
「ええ、いいですよ!」
「あとで必ず今回もらった分は支払う……は?」
交渉を覚悟していた俺は、当然とばかりに頷いたオルエッタに困惑した声を返してしまう。
「別にいいですよ。私お金には興味ありませんし」
「……いや、でも普通は多少、気にしないか?」
「そういうものですか? うーん、でしたら気にしたほうが良いでしょうか?」
それを聞くこと自体も、だいぶおかしいが。
オルエッタは腕を組んで、うんうん唸りながら首を傾げている。
今回は、彼女に甘えさせてもらおう。
「いや、まあそれが一般的ではあるけど……今回は、金を貸してほしい」
「はい。分かりました。あっ、でも今夜は少しお腹が空いてしまったので、たくさん食べても良いでしょうか?」
「ああ、いくらでも注文してくれ」
「わっ、ありがとうございます!」
笑顔とともに頷いたオルエッタは、それはもう上機嫌な様子だった。
オルエッタから借りた金額については、きちんと把握しておかないとな。
彼女の優しさに甘えてばかりもいられない。
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