第19話
私はリベティ。
Aランク冒険者として、クラン『アルケイク』に所属しているAランク冒険者だ。
オークション会場の管理をほぼ任されている立場の人間だ。
『アルケイク』には経営部門と、迷宮攻略部門の二手に分かれており、私はどちらかというと経営のほうが好きだったので、今はオークション会場の管理を行っていた。
わりと問題を起こす人間も現れるため、経営だからといって戦闘能力もある程度必要なのが現実ではある、が。
多少の浮き沈みはあれど、変わりない日々を過ごしていた私だったが、とある男性と出会った。
その人はレウニスという冒険者だ。
強弱とかではなく、なんとなくただならぬ気配を感じた。
それは、ほとんど直感のようなものだ。
レウニスがただの冒険者のようには感じず、【オートヒール】の取引を終えてからすぐに彼を調べさせた。
その調査結果が出たそうで、クランメンバーがその結果について教えてくれた。
「……レウニスさんは、先日の成人の儀でGランク判定をされた冒険者ですね」
「……Gランク、ですか」
「はい。迷宮攻略などにも参加はされているようですが、そのすべてで荷物持ちでの参加となっていますね。特に目立った部分はないようですが」
送られてきた調査資料に目を通した私は、勘違いだったのかと落胆することになる。
自分の勘もまだまだか、と思っていたすぐあとだった。
レウニスが、大量のドロップアイテムを持ってやってきたのだ。
これにはさすがに驚かされた。
だって、調査報告書を参考にするなら、どう考えてもあり得ない量のアイテムだったからだ。
最初は、レウニスと一緒に行動しているオルエッタが関係しているのかとも勘繰った。
オルエッタ・ダムマイアー。
ダムマイアー家といえば、昔はAランククランを持つ家として有名だった。
ただ、今はCランククランにまで落ちてしまった。
それでも、過去に稼いだ遺産は残っているだろう。
レウニスがオルエッタを騙し、過去の遺産を巻き上げたのでは? と勘繰って、調べてみたがその様子はない。
再度、レウニスとオルエッタを調査してもらい、分かったことは――。
「彼女らは……毎日Cランク迷宮に潜っていますね。かなり周囲への警戒も強く、さすがに中まで尾行することはできませんでしたが……魔物とも戦えているようです」
上がってきた報告は、そんな常軌を逸したものだった。
これに、私は困惑と納得という矛盾した感情を抱いた。
困惑は、普通ならばありえないという理由から。
納得は、初めに自分が感じたレウニスへの違和感だった。
「……つい二ヵ月ほど前にGランク判定をされた冒険者が、Cランク迷宮の魔物と戦えると思いますか?」
私が抱いた当然の疑問に対して、部下は首を横に振った。
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