第75話


 村へと戻ると、疲れた様子のラーナさんがいた。

 ラーナさんは魔銃を支えにするように身を屈めている。

 疲れ切った様子なのはラーナさんだけではない。


 村の自警団の人たちも、皆地面で寝そべるようにしていた。

 それだけで、どれだけの戦いだったのかは容易に想像できた。

 俺が近づいていくと、彼らは警戒するように身を起こし、それから俺たちだとわかるとほっと息を吐いていた。


 自警団の人たちの表情が明るくなっていくのを見て、迷宮攻略に失敗していたらどんなことになっていたのかと安堵の呼吸をついた。


「よかった、レウニスくん。無事攻略終わったんだよね?」

「迷宮の攻略自体は問題なかったな」


 魔石の話など、ギルドに伝えなければいけないことは多くあるが。

 それは、またあとですればいいか。

 疲れている村の自警団たちを巻き込んでする話でもないしな。


「それは良かったよ。お父さん、無事攻略終わったってさ」


 ラーナさんがそういうと、大剣を持っていたラーナさんのお父さんは小さく頷いた。


「ああ、聞こえてる。……ありがとう、レウニス、オルエッタ。キミたちが一早く攻略に向かってくれたおかげで、被害が出ずに済んだよ」

「俺たちも、冒険者として迷宮攻略をしただけだから、気にしないでくれ。それより、まだ魔物は残ってるのか? 必要、俺たちで討伐に向かうけど」

「いや、そちらは大丈夫だ。もうほとんど魔物は狩りつくした。二人とも疲れているだろうし、今日はゆっくり休んでくれ」


 ラーナさんのお父さんは僅かに口元を緩めてそう言ってくれた。

 確かに、迷宮からシェイナ村までの帰り道で、魔物に襲われることはなかったしな。


「分かった。それじゃあ、俺たちは休ませてもらうよ。オルエッタ、行くぞ」

「はいっ! 皆さんもゆっくり休んでくださいね!」


 俺たちは頭を下げてから彼らの前から去っていった。

 ……緊急での攻略だったこともあり、体の疲労感は確かにあった。

 考えることは色々あるが、今はゆっくり休もうか。


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