第13話
一撃で魔物が倒せないなら、【劣勢強化・力】を。
速度が足りないと思った場合は【劣勢強化・速度】を。
それまでは、むき出しで持ち歩くことになるため、なるべく目立たないようにする必要がある。
他の冒険者に狙われるかもしれないという不安はあるけど、本来のステータスなら苦戦するかもしれない相手にも勝てるのは俺の特権だろう。
軽く息を吐き、消滅したオーガの体を見るが……魔石さえも残らない。
知っていたことだが、ちょっと悲しいな。
戦闘を終えてオルエッタに視線をやると、彼女はしょんぼりと落ち込んでいた。
「すみません……私のせいですね」
「気にする必要はない。この調子で魔物狩りを行っていこう」
「分かりました……次こそは成功させてみせますね!」
意気込んでいるが、結局確率の話だからなぁ。
それから、オーガを発見しては【女帝の威光】からの討伐を繰り返す。
それは四回目のオーガと交戦していたときだった。
「あっ! 今あっちのオーガがぱぁっと光りましたよレウニスさん!」
「……ああ、そうだな!」
【女帝の威光】が成功した光だ。
俺はすぐさま目の前にいたオーガを仕留め、【女帝の威光】が成功したオーガへと向かう。
オーガはこちらに気づくと棍棒を振りぬいてきたが……すでにそこに俺はいない。
オーガの側面から首を跳ね飛ばして、仕留めた。
そして……アイテムがドロップされた。
スキルストーンだ。
「わあ!? スキルストーンです!」
「しっ、あんまり大きな声を出すなって」
「え?」
「……下手に騒ぐと目をつけられるからな。誰かに襲われても面倒だろ?」
「確かに……そうですね」
オルエッタは口に両手を当て、じっとスキルストーンを見ていた。
俺は中身を確認するように持ち上げ、【バーストブレイク】と書かれたスキルを確認してから、ウエストポーチへとしまった。
一応、リュックサックも持っているが、そちらには装備品などを入れる予定だ。
今後のドロップ率次第では、荷物持ちを雇うのもありかもしれないな。
ただ……信用できない人間を雇うのもなぁ。俺たちのドロップ率は異常なことになるから、変にみられるかもしれない。
雇うなら、何も知らない新人か、弱みを握っている相手とか……か?
……新人だと、ついてくるのに精いっぱいだろうし、難しいな。
「どんなスキルだったんですか」
考えていると耳元に吐息がかかった。
近い……。オルエッタはもう少し異性との距離感というのを理解したほうがいいよな。
「【バーストブレイク】だ。大したスキルじゃないから、二十万ゴールドほどだな」
「それでも凄い大金ですね……っ。この調子で頑張っていきますね!」
「ああ。そうだな」
オルエッタがぐっと拳を固め、笑顔を浮かべる。
ここ数日。大金を容易に入手してしまっていたため、少し感覚が狂っていたが……狩りを始めてまだ三十分ほどしか経ってなくてこれだもんな。
一日狩ったら、どれくらいのアイテムが集まるのだろうか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます