第14話



 俺の期待を、オルエッタは完全に上回ってきた。

 ドロップはあくまで確率だったが、装備品が八つ、スキルストーンが九つという成果だった。


 装備品、スキルストーンのうち、目立つものはスキルストーンのほうに一つだけあった。

 【回復魔法・下級】だ。


 まず、スキルについてだが、基本的にこのような名称のスキルは使える魔法が多いため、高価であることが多い。


 例えば、【火魔法】などが顕著だ。

 【火魔法・下級】ならば、ファイア、ファイアボール、ファイアアローなど、自由自在に火を操れるため、自分のイメージ通りの魔法が使える。

 だが、【ファイアボール】などは、ファイアボール以外の形では使えないため、汎用性が減る。


 もちろん、それぞれメリットデメリットはある。【火魔法・下級】などは自由自在に使えはするが、慣れるまでは上手く魔法の形をイメージできないので、発動に時間がかかる。

 【ファイアボール】などは、即座に発動できるが自由さがない、などだ。


 ただ、それらのメリットデメリットを考慮しても、基本的には【火魔法・下級】などのほうが効果なことが多い。


 だから、最低でも【ヒール】よりも高値が付くため、このスキルストーンに関しての扱いは非常に大事になってくる。


「オルエッタ、どうする? 【回復魔法・下級】は欲しいか?」

「私持っていたほうがいいですかね?」

「どうだろうな。俺以外と組むなら持っていたほうが重宝されると思うが……」


 オルエッタのステータスは基本的に優秀だ。

 【回復魔法・下級】をセットしておけば、占い師としてではなく、ヒーラーとして、パーティーに誘われることも増えるだろう。


「でも私、今のところそういった予定はありませんよ。レウニスさんとずっとパーティーを組んでいたいと思っていますっ」


 ずいっと迫ってきたオルエッタに、俺は苦笑を返す。

 そう言ってもらえるのはありがたい。

 彼女を今失うと、金を稼ぐ手段がなくなるからな……。


「それは……俺としても嬉しいが」


 そう言うと、オルエッタの目がぱぁっと輝いた。それから、嬉しさを表現するかのように体を左右に揺らしている。


「えへへ、良かったです。それでは、改めてですが……このスキルは必要でしょうか?」


 俺とパーティーを組むのなら、という意味での質問だろう。

 オルエッタの問いに、俺は首を横に振る。

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