第21話
一千万ゴールドを手に入れた次の日。
俺はオルエッタとともに朝食を頂いていた。
昨日大金を手に入れたことは誰も知らないはずだが、周囲の視線が気になるな。
金を持っている冒険者は様々な意味で狙われる。
オルエッタはそんなこと気にせずに、今日も山盛りの米を嬉しそうに頬張っていた。
こいつは逆に周囲を警戒しなすぎなんだよな。
俺たちが注目されている、というよりはオルエッタが見られているんだろう。
その理由は、オルエッタの食事量が異常だからだろうな。
そんなことを考えながら俺が朝食を口に運んでいると、
「あっ、リエさん! お代わりお願いしてもいいですか!?」
オルエッタは店員の名前を呼びながら、笑顔とともに空になった皿を向けていた。
呼ばれた店員はおっとりとした笑顔とともにオルエッタから皿を受け取っていた。
「ふふ、今日もオルエッタちゃんは一杯食べるわね」
「はい! 今日も一日たくさん体動かしますから!」
「そうなのね。大盛りにする? それとも特盛りにする?」
「特盛りで!」
「分かったわ。ちょっと待っててね」
俺たちが泊まっている宿では朝食、夕食もついて、おまけに米のお代わりが自由というサービスがあった。
オルエッタの食事量は一般人と比較してもかなりのものなので、このサービスは俺の財布にとてもありがたい。
体を作るために、たくさん食べるというのは非常に大事なことだ。
食事が体を作る基本だからな。
なので、オルエッタには強い体を作る才能があるんだろう。
オルエッタは嬉しそうに食事をするからか、店員からの受けもいい。
生まれつき、他者と交流するのが上手い人というのはいるものだが、オルエッタはまさにそれだった。
お代わりが運ばれるまでの間も、オルエッタは子どものような期待溢れる笑顔でいたのだが、不意にこちらを見てきた。
その頬には米粒がついたままだ。
本当にこの子、貴族のご令嬢なのだろうか? ラグロフの勘違いなんじゃないか?
「あのレウニスさん。そういえば、今日はどうするんですか?」
「……そうだな。俺はギルドに迷宮の件で話があるから、そっちに向かうつもりだ。オルエッタは自由行動で大丈夫だからな」
「迷宮の件ってことは……もしかして競売の件ですか!?」
大きな声で言うんじゃない。
オルエッタに見とれていた冒険者の視線が俺にも集まってきてしまった。
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