第23話
朝食を終えた俺がオルエッタと別れた後だった。
ギルド目指して歩いていくと、向かいからガラの悪い冒険者がこちらへと向かってきた。
三人組の彼らは、こちらに気づくとニヤリと笑みを浮かべた。
「なぁ、兄ちゃん。ちょっと頼みがあるんだけどさ」
「なんだ?」
明らかに面倒事なのは分かっていたが、一応返事はしてやった。
俺の方にやってくると、彼らは笑顔とともに近づいてくる。
その笑顔には強い悪意が感じられるが、俺は彼らを冷静に分析する。
動きから、恐らくD~Cランク程度の冒険者だろう。
格下、とまでは言わないが……どうにでもできそうな相手だ。
「なあ、あんた結構お金持ってるんだろ?」
「そうそう。ちょーっと貸してほしいんだけど……いいだろ?」
拒否させないとばかりに威圧してくる彼ら。
俺はそんな彼らにため息を返した。
「そんなの嫌に決まってるだろ?」
「……ああ? てめぇ、舐めてんのか?」
「別に舐めちゃいないが」
「……てめぇ、ちょっとこっち来な」
男が顎で示したのは、路地裏だ。
普通なら付き合う理由なんてまったくないのだが、ここで逃げても後でまた絡まれそうだしな……。
大人しく彼らについていくと、三人が俺を囲んで指を鳴らしている。
前後と右側を男が囲んでいて、俺を逃げられないようにしていた。
正面に立っていた男が、口元を歪める。
「なあ、兄ちゃん。あんまり調子に乗らないほうがいいぜ?」
「別に調子には乗っていないけど……」
そう言ったとき、背後にいた男が動いたのが分かった。
そちらを一瞥すると、さらに前、右側の男も動いてきて……
「ちょっと、痛い目見てもらうぜ!」
まったく。これだから金を持っているのを周囲に聞かれたくなかったんだよな。
本当に手を出してくる奴なんてほとんどいないが、後先を考えられない馬鹿もいる。
軽い運動にはなるか。
俺は彼らの攻撃をかわし、反撃を開始した。
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