第24話
「す、すみませんでした……」
喧嘩を吹っ掛けてきた冒険者たちをボコボコにした俺は、それから彼らに言いつける。
「いいか? もしも、今後俺たちに絡んでくる奴がいたらおまえたちから注意するようにな? そうしたら、今回のことは誰にも言わないでやる」
「は、はいい! もちろんであります! 兄貴!」
「よし、それならもう行っていいぞ」
俺がひらひらと手をふると、冒険者たちは怯えながら逃げていった。
冒険者同士の問題などは、基本的に当人同士で解決するのだが、もちろん公的な機関もある。
極悪な行為が度重なって行われれば、『影の者』たちが動くし、小さな犯罪行為ならば国お抱えの騎士団が対応する。
冒険者の対応を終えた俺は、予定通りギルドへと向かった。
ギルドに到着すると、多少人手は落ち着いていた。
毎朝九時に新しい依頼が張り出されるそうなのだが、冒険者たちに絡まれたこともあり、その一番混む時間は過ぎていたからな。
今回の俺の目的が依頼ならばあの冒険者たちの顔面にもういくつかほど痣が増えていたかもしれないが、今回の目的は攻略権の競売だ。
誰に話をすればいいのか分からなかったため、俺は総合受付へと向かう。
「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件でしょうか?」
「今度、Cランク迷宮の攻略権が競売に出されると思うんだが……それに俺も参加したいんだ。どこに相談すればいいのかと思ってな」
「……え?」
丁寧な口調で対応していたギルド職員の表情が引きつった。
俺がふざけてこんなことを言っていると思ったのかもしれない。
恐らくは、俺がまだ若い見た目というのが原因だ。
新人冒険者に該当するような見た目の俺が、まさか競売に参加できるだけの実力と金額を用意しているとは思っていないのだろう。
「し、失礼ですが……お客様。冒険者カードを拝見してもよろしいでしょうか?」
「……ああ」
ギルド職員に言われたとおり、冒険者カードを差し出す。
登録時に使用した能力証明書のステータスと、現在所有している金額が内部のデータにはあるはずなのだが……。
「……条件の一つ、金額のほうは問題ありませんが……このステータスではちょっと、厳しいと思います。失礼ですが、レウニス様が代表者で間違いありませんか?」
俺の名前は冒険者カードから得た情報だろう。
金額、の部分は周囲に聞こえないよう配慮しながら言ってくれた。
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