第10話
二件目も……ない。
【根性】はどの程度認知されているスキルなんだろうな?
俺からすればかなり重宝されるが、スキルごとに
そもそも、【根性】が発動する機会自体が少なく、その効果を知らない人の方が少ない可能性もある。
まあ、一応スキルストーンショップの大手は、スキルについて詳しい人が振り分けて店におろしているらしいから知っている人はいるんだろうけど。
もしかしたら、それなりに有能なスキルとして認知されていて、オークションでしか手に入らない可能性もあるかもしれない。
【ヒール】などの有名スキルは基本オークションでしか手に入らない。
汎用的で使い勝手の良いスキルなどは基本オークションに回されてしまうんだよな。
三件目を見終え、体の節々が疲労を訴え始め、休みたい気持ちに襲われる。
しかし、ダメだ。
ここで休んでいては、ラグロフを死の未来から救うことはできない。
俺のステータスはこの世界でも最弱に近い。そんな俺がSランクに到達するには、人並み以上の努力が必要になる。
頬を叩いて気合を入れなおし、四軒目を見ていく。
中に入り、いつものように身分証を提示した後
「店員さん。【根性】っていうスキル見たことないか?」
知っている可能性は低いが、とりあえず店員に聞いてみる。
もし見たことがあると答えてもらえば、それだけ手っ取り早く見つけ出せるからだ。
「ん? ああ、見たことあるね」
「あー、やっぱりない…………え?」
「なんだい、お客さん。あんなスキル探しているのかい?」
「あ、ああ……そうだ。知っているのか?」
「まあね。前にそこら辺に放り込んだよ。あれ、滅茶苦茶弱いスキルでね。持ち込んできた冒険者曰く、HPがある程度あるときに大ダメージを受けて1で耐えるそうだよ。そんな体力がある程度あるときに全部削られるような攻撃喰らってたら普通まともに戦っていられないよね。ああ、でもタンクなら万が一に備えてで必要とかはあるのかな?」
店員はそんなことをぼんやりとした表情で口にしていた。
確かに弱いスキルではあるかもしれないが、俺にとっては必要なのだ。
「ど、どの辺に入れたかわかるか?」
興奮が僅かに言葉に漏れ出てしまいながらも、俺は努めて冷静に問いかける。
目的のスキルが、まさかこんな早く手に入るかもしれないなんて……っ。
「ああ、つい最近買い取ったきたからね。その辺だったかな? 一番安い箱に入れといたよ」
店員がちらとある棚を指差した。
確かにこの店の中では一番安い棚だ。
ただ、それでも金額は十万ゴールドだ。
ちなみに、成人が一ヵ月に必要な生活費が二十万ゴールド程度とされている。
……安いといっても、スキルストーン自体が高いからな。
俺が支度金として渡されたのも二十万ゴールドなので、すでに手持ちの半分が持っていかれるというわけだ。
俺はすぐに【根性】のスキルを探して、箱を片っ端から見ていった。
本当は【リジェネ】とかも欲しいけど、そんなに買う余裕はないからな。
何が何でも真っ先に手に入れるべきスキルは【根性】だ。
一つとって違うと分かれば、すぐに次のスキルストーンへ。
そうして、三つ目の箱を手に取ったときだ。
――あった!
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