第64話
Bランク迷宮の競売は、問題なく落札できた。
今の俺はかなり金があるので、多少金額が吊り上がっても、それを上回る金額で落札が可能だ。
シェイナ村行きの馬車は普段はほとんど出ていないため、俺たちは馬車を一つ借りてそれに乗った。
御者は、ブールが経験があるそうなので、彼に任せている。
馬車の荷台で揺られていると、オルエッタがラーナさんに声をかけていた。
「シェイナ村ってどんなところなんですか?」
「うーん……田舎って感じかねぇ。あんまり楽しいことはないよ? カジノもないし、酒場くらいかな? 静か、静か。基本的にはね」
「そうなんですねっ。でも長閑なところっていいですよね」
オルエッタは旅自体が好きなのか、どこに行くにも笑顔だ。
旅の途中は特に問題はなかった。
シェイナ村についたのは夕方頃になった。
村の入口にて、自警団の人たちがいて、彼らは俺たちに警戒心を見せていた。
「キミたちは……どうしたんだ? 旅の者か?」
「迷宮攻略に来たんだ。これが、その証拠だ」
ギルドで購入した攻略権を見せると、自警団の男性は驚いたように目を見開き、俺の顔と紙を見比べていた。
「……えっ、迷宮攻略に来たのか?」
「……まだ、子どもじゃないか」
確かに彼らからすれば幼く見えるかもしれないが、それでももう成人はしている。
戸惑っている様子の彼らを見てか、俺の後ろからラーナさんが前に出た。
「あんまりそういうこと言わないであげてよ。この子たち、滅茶苦茶強いからね」
「……え? ら、ラーナじゃないか! 久しぶりだな!」
「久しぶりだね。元気してた?」
「あ、ああ! てか、噂聞いてるぞ! Aランク冒険者になったんだよな? すげぇな、おまえ!」
「……あっ、うん。ありがとね
気まずそうである。
ラーナさんの目標が、Sランク冒険者だったからだろう。
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