第65話


「なんだ、一緒に迷宮攻略するのか?」

「Aランク冒険者が参加するって話なら頼もしいぜ」

「まあ、参加はするけど……私後ろで見てるだけだよ? この子たち、本当に強いんだよね」

「……そ、そうなのか?」

「たぶん、Sランクくらいはあると思うよ。まあ、正確な評価は次の能力測定の時期までお預けってことで」


 ラーナさんの言葉に、自警団の人たちは驚いているようだった。

 一言も発さず、頬を引くつかせながら俺を見ている自警団に、ラーナさんが続ける。


「とりあえず……宿というか泊まる場所ってあるのかな?」


 旅の途中にラーナさんから聞いたが、この村は宿とかは特にないらしい。

 旅人がほとんど来ないらしく、彼らが来た時に空き家を貸し出すくらいだそうだ。

 固まっていた自警団の人たちは、時が動き出したように頷く。


「それなら、空き家があるからそこを使えばいいさ。ちょうど、迷宮攻略のために冒険者が来るって聞いてから掃除しておいたんだよ」

「そっか。それなら、私もそっちに泊まろっかな? たまには、オルエッタちゃんと女子会も開きたいしね」


 ラーナさんの言葉に、オルエッタがぴこんっと反応する。

 

「一緒にお泊り会……いいですね!」

「それじゃあ、それで決定ってことで――」


 ラーナさんが笑顔とともにそういうと、自警団の人がジトっとした視線を向ける。


「いやいや、ラーナは一度顔を見せてやれよ。ライルさんとイーナさんも心配しているからな」

「母さんはともかくお父さんが心配なんてしてるの?」

「……そりゃあ、大事な一人娘なんだし、心配するだろ。ほら、顔出して来いって。他の人たちはオレが案内しておいてやるから」


 とん、とラーナさんの背中を押し、彼女は諦めた様子で肩を落としていた。

 それから、落ち込んだ顔をこちらに向けてくる。

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