第31話
「ブール。そういうこと、ダメだよ?」
「……は、はい……すんません、すんません……!」
優しい声音のラーナさんは、それからこちらをじっと見てきた。
「ちょうどルーレットも終わったし、レウニスくん。ちょっと付き合ってくれないかな?」
「何にだ?」
「それはもう……色々と、ね」
「実力を見たいってことでいいのか?」
「冷静だねぇ。そんなところかな。ちょうど、ルーレットも終わったところだしね」
台を見れば、ラーナさんの予想は見事に外れていて、チップが回収されていた。
「……どこでやるんだ?」
「ギルド併設の訓練場なら今の時間も使えるし、そこにいこっか」
ラーナさんがとん、と肩を叩いてくる。
……腕試し、か。
「試すって言っていたけど、引き受けてくれる条件はあるのか?」
「うーん、そうだね……」
にやりと笑ってから、ラーナさんは少し真剣な目を向けてきた。
「さすがに、迷宮攻略となれば私個人の問題でもないんだよね。失敗したら、ギルドや色々な人に迷惑かかっちゃうでしょ? だからせめて――私に勝てるくらいかあ?」
笑いながらも真剣な声音のラーナさんに、俺は唇を噛んだ。
勝てるくらい、か。
前世でも、俺はラーナさんと戦ったことがあった。
ただ、前世の俺は今のように自分に適したスキルを見つけられてはいなので、もちろんまるで歯が立たなかった。
笑顔とともに訓練をつけられたことがあるが、連戦連敗だったんだよなぁ。
「そういえば、ラーナさんって……冒険者のランクってどのくらいなんですかね?」
俺の隣に並んだオルエッタが
そういえば、オルエッタには何も伝えていなかった。
俺は前世の知識を思い出しながら、口を開いた。
「ラーナさんはAランク冒険者だ」
「えっ、Aランクだなんて……えー!」
オルエッタ、今若干ふざけなかったか?
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