第29話
どうしよう。
オルエッタはちょくちょく問題事を増やしてくる。
あの三人の冒険者と知り合えたのも、結果的にはオルエッタのおかげだからな。
「いや、でも……夜遅いし……その、早く寝ないと肌荒れしちゃうぞ?」
一緒に行きたくない、と言えばオルエッタが悲しむかもしれないと思った俺の口から出た言葉は、なんとも微妙なものだ。
俺のやんわりとした断りを、オルエッタが察してくれることはなく、笑顔のままに胸を叩いている。
「大丈夫です! それに私、カジノには行ったことありますからね! レウニスさんをご案内しますよ!」
ああ……どうやら着いてくるので確定のようだ。
ならば、俺が彼女にできることは――。
「分かったよ。その代わり、あんまり無駄に話さないこと。いつ、誰に聞かれて面倒事に巻き込まれるか分からないからな?」
「はい! 分かりました!」
本当に分かったのだろうか?
笑顔のままのオルエッタに不安を抱きながら、俺は夕食を頂いた。
三人組の冒険者とオルエッタとともに、俺はカジノへと向かう。
時刻は二十一時を過ぎたというのに、カジノは今も魔石による明かりが漏れ出ていて、騒がしい。
俺は前世でもカジノなどに行ったことはほとんどない。ラーナさんとパーティーを組んでいたときは何度か連れていかれたものだが、嵌ることはなかったしなぁ。
カジノの運営もクランが行っているのだが、すべて国に認可された合法の娯楽施設だ。
三人組の冒険者のリーダーは、ブールというそうだ。
ブールは慣れた様子でカジノへと入っていく。
「迷宮攻略……するんですよね?」
「まあ、競売で勝てたらな。その時は、荷物持ちとして依頼してもいいか?」
「え? え、ええと……そ、それはその大変というか……」
「さすがに報酬くらいは払うぞ? 迷宮攻略中は一日二十万ゴールドくらいだな」
「に、にじゅ……っ! こ、攻略するときはいつでも呼んでください!」
……現金な奴だな。
そんな会話をしながら、カジノを進んでいく。
入ってすぐに目につくのはバニーガールの姿が多いことか。それ以外は至って普通のお店という感じだ。
飲食の提供もされていて、食事や飲み物を楽しみながら様々な遊びで賭け事を楽しんでいる。
ブールたちがきょろきょろと周囲を探していき、俺も視線をさまよわせていると。
ルーレットの席についているラーナさんの姿があった。
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