第11話


「ふ、二つもですか?」

「ああ。一つは、魔物がアイテムを魔石さえも確定でドロップしなくなる。もう一つは魔物のレベルを強化する、だ」

「れ、レベルってことは……単純に強くなるということですか?」

「そうだな。ただ、こっちのデメリットは確かにあるが……でももらえる経験値も多少は増えるし、悪くはないと思う」


 【女帝の威光】は失敗すれば、この二つのデメリットがあるのだ。

 魔物を強化し、あげくに魔石をドロップしなくなるといえば、そりゃあ不人気な職業と言われても仕方ないだろう。

 魔石は安いとはいえ、冒険者にとっては貴重な金策の一つだからな。


 おまけに、職業スキル【占い師】が罠なのだ。

 他の職業がだいたい職業と同じ名前のスキルを強化すれば、様々なスキルを獲得できるのだが、【占い師】は違う。


 【占い師】は、成功確率を上げるだけなのだ。

 もちろん、成功確率を上げるのは悪くないが……それはスキルがあっての話だ。

 それこそ、まだ情報がロクにない時代は、【占い師】のスキルを上げてしまい、ただただ何のスキルも持たずに冒険者を引退する人が多かったらしい。


 上に上がり切れない冒険者は、レベル20から30程度で引退するからな。

 【占い師】にレベルアップで得たスキルポイントすべてを割り振ってしまえば、そりゃあ何もできないって。


 そういうこともあって、下手したら【暗黒騎士】よりも不人気な職業のはずだ。


「それにしても、レウニスさんって色々詳しいですね。たくさん勉強されたんですか?」

「……まあな」


 前世のおかげもあって無駄に知識だけはあったが、それをこうして活かせているのは、運もあるよな。


「とても凄いです。レウニスさんのおかげで、私も強くなれそうです!」

「それなら良かった」


 そういえば、オルエッタはどうして強くなりたいのだろうか?

 ラグロフがオルエッタの家名とかについても話していたよな。

 やはり、家に関係しているのだろうか。


「それではもうこれで出発しても大丈夫ですか?」

「ああ。早速迷宮でスキルを試していこうか」

「はい! 行きましょう!」


 準備も整ったので、俺たちはCランク迷宮へと向かった。

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